ブレイクファースト、ロックンロール!
『我が眷属よ、目覚めの時だ。朝は悪魔の血がよい。』
『エミリちゃん、おはよう。』
ヤマさんは私の胸元がはだけているパジャマのボタンをしめる。
かぁー!
顔が熱い。
『や、ヤマさん!?見た?私の・・・見たのっ!?』
『エミリちゃんは、年頃なんだからちゃんとそのあたりはちゃんとしようね。育ち盛りなんだから。』
とりあえずヤマさんの頬を思い切り叩いておいた。ヤマさん、ノックアウト。
『ああ、エミリおはよう。ん?なんで、ヤマさんが倒れてるんだ?』
『姉様、そんな外道は放っておきましょう。早く朝食にしましょう。』
『ああ、ヤマさんは用済みだからいいか。シャケもしっかり焼けている。』
♦︎
『『『いただきまーす!』』』
今日は土曜日。私は部活だ。
『ロンとランは今日何するの??』
『今日は私は原宿で買い物よ。』
ロンは朝からバッチリ着物を着ている。
『姉様が、新しいメイド服を買ってくださるの!』
ランの頭から音符が出ているように嬉々としている。
『誕生日だからな。バイト代も入ったし。』
ロンは、浅草で着付けのバイトをしている。そこそこ稼ぎはあるようだ。
テレビをつける。
昨日ネットで見た、通り魔事件が報道されている。昨日の情報で見落としていたが、死体は頭がかち割られているのと、全身ひっかき傷があるとのことだった。
『なんだか、ネコみたいね、ひっかき傷って。』
ロンが呟く。
なんとも言えない空気が漂う。
『う、う、。』
『姉様、外道な寮長が目を覚ましましたわ。』
『ああ、ロンちゃん、ランちゃんもおはよう。』
ヤマさんは立ち上がり、イスに座る。
『この事件怖いよねえ。頭だけじゃなく、全身ひっかき傷だらけ。なんだか、怨念を感じるよね。
河川敷に追い込まれて殺されちゃうなんて、嫌な事件だよ。』
『はあ、朝から嫌な感じ。気をつけないとね。通り魔なんだから無差別だろうし。姉様がこんなになったら、私は!私は!』
ランが号泣し始める。
この妄想癖がなければ、ヤンデレ闇堕ちヒロインのレッテルは貼られなかっただろうに。
ふふふ、と笑い出しランは包丁を持ちだす。
『通り魔に殺されるくらいならっ!私が姉様を!』
ランはヨダレを垂れ流し、包丁を向ける。
『ラン、私は生きている。』
ロンがコップをランの頭に投げつける。
『あ、痛っ!はっ!姉様が、姉様が生きている!』
うわああああと言いながら、ロンに抱きつく。
ロンは構わずシャケを突っつく。
『まあ、みんな気をつけようね。しばらくは帰る時はチャットくださいな。』
『『『はーい。』』』
さてさて、ご飯も食べたし、部活に行くことにしよう。
本当は部活なんかじゃないんだけどね。