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嶺二寮の住人たち。

空の彼方に燃るかの綺羅星からの波動砲が我が隠されたる魔眼を焼きつくさんとする。

魔眼を失う前に、永き刻からの覚醒の儀を行う。



『図ったなっ!我が暗闇の火炎龍バーニングドラゴンの召喚を持って、天界を目覚めさせる!!』


この魔眼を見せる時がきたなっ!愚かなる綺羅星の住人め!


『ぬおおおおっ!!』


邪な呪いをかけられた、法衣に身を包む。あとは、あの虚ろなる扉を開けるだけだ!!



『はあああああっ!!!』



コンコン。

『いやーエミリ。制服に着替えたなら早く飯を食べてくれ。片付かんのよ。』


40代のちょいワル親父。体はがっちり鍛えている。黒髪短髪。この街随一の人妻キラー、ネコ耳誘拐犯、ロリコンおじさん、様々な異名をもつこの素敵な殿方が、ヤマさんだ。


『いやしかし!空の彼方の堕天使たちの最終防衛ラインがっ!!』


『今すぐバケツ水ぶっかけられて、スケスケの制服で学校行くか、さっさと飯を食べて学校行くか

どっちがいい?』


脅迫が微妙にスケベなのが、ヤマさんが変態扱いされてる所以でもある。



『はははは!図ったな!裏世界の住人め!我が法衣は黒だ!聖なる水如きで浄化されると思うなっ!はーはっはっは、ふぅはっはっはっ!』


両腕を開き、天井そらを仰ぎ、勝利を確信する。



ピロっ。



『エミリ、今日はシマシマパンツかあ!ヤマさん、シマシマ好きだぞっ!』


『なっ・・・・いやああああああっ!』






ダッダッダッ!


『五月蝿いぞ、エミリ。早く飯食ってしまおうよ。』


『そうよ、姉様がそう言うのだから早く食べてしまいなさい。この厨二病女。』


メイドと着物を着た双子がエミリの部屋にくる。



『お、お前はだってそんな格好・・・。』


『あら、私たちは特に問題ないわ。』


着物の女の子が回答する。


『ええ、姉様の言うとおり。体育祭の振替休日があるのよ。』


メイドは着物姿の姉の腕に抱きつく。


メイド姿の銀髪ショートヘアにピンクリボンが、ラン。

着物姿で黒髪ロングの青リボンがロンだ。

抱きつかれるのが、嫌なのかロンは腕を動かす。ランは離さない。めちゃくちゃ笑顔。


『ラン、くっつかないで。まあ、でもエミリは頭はいいから、別にどうでもいいのよね。遅刻とか欠席とか。はあ、やだやだ。努力は裏切るわね。所詮人生なんてね・・・。』


着物を着なれているのか、動きが滑らかに、両肩をあげ、参ったという意思の現れのようないでたちをロンはしている。


『姉様。今日は私、姉様とお買い物いきたい。』


『ええ、通販でいいじゃん。買いたいもんなんて店じゃ見つからないよ。』


ネガティブなのか、やさぐれているのかよくわからないがあらゆる事情に批判的だ。


『なんで、そう言うこと言うの。姉様!姉様は、私なんて、私なんて。。もういい。』


ダッダッダッ。


ランは走り去る。



『あー、エミリちゃん。一緒にランちゃんを止めよう。ヤンデレさんも悪くないけど、命の危険の及ばぬ範囲でだよね。』

ヤマさんは的確な指示を飛ばす。


『仕方ない。今は一時休戦し、同盟国たる隣国を救うとしよう。』


厨二病マックスである。



♦︎

ランは寮のベランダから飛び降りようとしていた。


『やめろ!ラン。』


ロンが押さえる。


『姉様に拒まれたら私は生きていけないっ!どうせ、私は!ああああっ!死んでやる!呪い殺してやる!ああああああ!?、』

ランは涙をぼろぼろ流しながら、ベランダの柵に手をかける。


ただチラチラとロンの方を見てくる。


『あーはいはい。ランが大事で死なれたら寂しいから飛び降りないでください。』


ロンの棒読み。側から見れば気持ちがこもってないのは明確だ。しかし、ランは。


『姉様、そんなに私のことを。おねええさまあああ!!

お慕い申し上げます!愛してます!大好きぃぃぃぃ!』


目に光がなく、揺れてる瞳と引き笑いが恐怖だ。


ラン、うわああんと泣きながらロンに抱きついた。



『いやあ、百合もいいよね。高貴なエロス。』

ヤマさんはスケベおじさんに相応しくよだれダラダラであった。



さてさて、こんな朝からバタついた寮生活だがそれなりに充実はしている。気を許す中。平和な時代になった。


ヤマさんお手製の朝食を食べて学校に行こう。

時間に遅れてはならない。







なぜなら、私は優等生だから。

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