表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

呼び出し 真夜中の公園

嶺二寮から1時間ほどの駅に

湖畔公園がある。


ダムの下流にある公園は日中は家族連れで賑わっているが、夜は人っ子1人いない。


DMの主は邂逅の場所として指定してきた。



SNSのDMの主なんて、あてにならない。

おそらく捨て垢だ。


ではなぜ、私達3人はそいつの手招きで

こんな夜にきたのか。


それは、私達しか知らない事を知っていた。

DMに書き込まれたその情報は私達を招くには

十分な信憑性があった。


ランはロンがいなくなってから情緒不安定だ。


泣くか、叫ぶか、笑うか。


感情がぐちゃぐちゃになっている。


『姉様、姉様、姉様、姉様・・・・。』


重度のシスコン。

これは、性格によるものなのか。

生育歴?


私達ネコ耳族の待遇は凄惨なものだった。


だから、憎しみ、悲しみ、怒り・・・。


それゆえの歪み。



私も生きていく為にはいろんな事をした。



今が平和すぎる。




ヤマさんが、そんな私達の福祉を担っている

理由もよくわからない。


信頼は得やすいだろう。

さほどの稼ぎにはならないが独身男性が暮らすにはありあまる報酬だ。



それにたぶんネコ耳が好きなんだろう。

そして変態。


私にスケベな事をしてくる。



私も歪んでいるのだろう。

それを嬉々として受け入れてる。




そう、そんな歪んだ集まり。


そんな共依存。

愛とか恋とかはよくわからない。



でもいないと不安。


だから、こんな夜の誰もいない公園に来た。





『エミリちゃん、あれじゃあないかな?』


ヤマさんが公園のベンチを指さす。



誰か座っている。


『・・・・・!!』


ランが駆け寄る。


『姉様!!!』


DMの主はロンだった。




♦︎♦︎♦︎

ヤマさんは妙に気がきく。

夕飯を食べてない私達の為に、

おにぎりを握って持ってきていた。


ロンはおにぎりを貪り食べる。

『お腹空いてたよね、ロン。』


ヤマさんは、ポットにいれた味噌汁をロンに

渡す。


『ありがとうヤマさん。』


ロンは味噌汁を啜る。


ランは、ずっとロンの腕に抱きついている。

ずっと耳を震わせている。


『エミリちゃんも食べるかい?』


『我が眷属よ、、気持ちはありがたいがなぜ貴様の食べかけなのだ?』


拳を握る。


『ああ、ごめん。これじゃあ間接キスになってしまうね。』


思わず顔が熱くなる。


『まあ、いいだろう。限られた資源だ。』


ヤマさんの手からおにぎりを奪い、

一気に食べた。

耳がピクピクする。


『いい食べっぷりだね。』


ヤマさんはニヤッと笑う。

本当に変態だ。



ただなぜか体の奥底が熱くなるのを感じる。

ヤマさんの唾液。

もっと味わいたい気持ちを抑える。



今はなぜ、ロンがここに来たかを尋ねなくては。



話しかけようとした時、

ランがロンに何かを渡した。


紙幣?なぜ?


ロンも首を傾げる。



ランは耳を震わせながら、口元に笑みを浮かべている。



その時。







『なっ、、パトカー・・・・!!?』


ロンが耳をピンと立てる。


『な、なぜ?なぜここに警察がっ!くそっ!』


ロンがランを振りほどいた。


ダッダッダッ!!



四つ足で地面を蹴り飛ばし、

颯爽と逃げていった。



『姉様!』

『ロンッ!』


ヤマさんとランは同時に叫んだ。

警察がロンの逃げた方へと、怒号を飛ばしながら走っていく。


『ヤマさん、ラン。逃げるわよ。』


ヤマさんを抱えて、ランと跳躍しこの場を去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ