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小品

超光速のローレライ

作者: 星野☆明美

宇宙船の開発全盛期に、外宇宙へ行くための宇宙船を作る上で光速を超える航行速度を備えた船が求められた。

実際に試運転をする段階になって、ロイとレンが搭乗することになった。彼らは同じアカデミーの出身だったが、常にお互いをライバル視しあっていた。

宇宙船は通常航行で他の天体から影響を受けない時空点にさしかかると、いよいよ外宇宙へ向けて加速に入った。

「なんか、女の歌声が聞こえる」

「馬鹿言え」

否定しながらロイは背筋が凍った。本当に女の歌声が聞こえたからだ。

宇宙線の群れが矢印を描き、宇宙船内のあらゆるものがグニャリと曲がって揺れ動く。

高く、低く、女声が歌う。

レンが操縦席で減速のスイッチに手を伸ばそうとした。しかし功を焦るロイはそれを阻止しようとした。

二人の間で世界が半分に別れた。

無事に減速できたレンの宇宙船は静寂と秩序が戻った。しかし、そこにロイの姿は忽然と消えていた。

一方、超光速の宇宙船でロイはキュルキュルという音を聞き、レンがいたはずの操縦席に恐ろしく長い髪の美しい女が巨大なひとみでロイを見ているのに気づいた。歌の主か?

ロイは船乗りを海に引きずり込むローレライのことを思い出した。

レン?減速が正解なのか?

ロイは減速のスイッチに手を伸ばした。女の髪がロイの手に巻き付いてくる。

もどかしさに顔をしかめて減速のスイッチを押した。

低く、高く、歌声が響く。

戻れないのか?!

一瞬が永遠に感じられた。

「ロイ、ロイ!」

レンが彼を揺さぶり起こした。

ロイは長い白髪とヒゲの老人になっていた。

「光速を超えるのは危険だ」

「ああ」

二人は宇宙船を通常航行で地球に向けた。

地球では、百年も前に行方不明になっていた宇宙船が帰ってきたと大騒ぎだった。ローレライの話はまたたく間に広がった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 超高速が開発されていない設定。 ローレライが組み込まれているのも面白いです。
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