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吸血鬼の始祖は主席として学生を演じる  作者: 小鳥遊の園
序章
1/38

吸血鬼の始祖

『吸血鬼の始祖は主席として学生を演じる』の新連載を開始しました。

 同時連載中の『気が付いたら???』も是非ご覧下さい!


 吸血鬼。

 それは古くから数々の伝承や物語に登場し、人の血を奪い体を血に染め、残虐なイメージを持たれる存在である。

 夜にのみ行動出来ると言われ、昔から子供に「夜に出歩く悪い子は吸血鬼に襲われて干からびるわよ」と教えてられてきた。

 弱点は太陽と聖属性魔法、十字架、ニンニク等、誰でも聞けば分かる程に有名である。

 街を歩く人々に聞けば、誰しも今のように吸血鬼の特徴を述べるだろう。



「馬鹿馬鹿しい、何が人の血を奪いだ。人間が好き嫌いするように、俺だって血の好みくらいあるんだよ」


 ここは大陸の中心、エインラーナ王国。

 その王都エイナイルの外れにある丘に建つ屋敷に、その男はいた。


 肩甲骨辺りまでの美しい銀髪を首元で一纏めに縛り、鮮やかな血のような瞳は蝋燭の灯りを受けて怪しく光る。

 肌は白いが不健康と言うほどには白過ぎず健康的な印象を与える。

 整った顔立ちを正面から見れば、皆が足を止めてしまうだろう。



「もう、兄様。また物語の吸血鬼に文句言ってますの?そんなの過剰な表現だって言ってるじゃありませんか」


 豪華絢爛な調度品や美術品に囲まれた屋敷の一室。暖炉の傍で本を読んでいた兄の文句に、ソファに座っていた妹が宥める。

 腰まで伸びた絹のような美しい金髪に、青く澄み渡る空を思わせる綺麗な瞳。

 聖女のような微笑みを浮かべる彼女を見れば、誰しも祈りを捧げてしまいそうになる。


 広い屋敷には二人以外に使用人しか居らず。両親は存在しない。

 そもそも吸血鬼の始祖とは、誰かから産まれる者では無いからだ。永い年月を身一つで過ごし、時に増えすぎた記憶を封印しながら脳の負担を減らしている為、身も心もある程度の若さを保つのが秘訣なのだとか。


 だが、どれだけ永い時を生きてきた彼でも、耐えられない弱点はある。


「はぁ…屋敷に籠もって暇つぶしに本を読み続けるのもそろそろ飽きてきたな」

「私は学校へ通わせて頂いてますからそれ程では。今は高等学校入学へ向けた長期休暇ですから、こうして兄様とゆっくり過ごせて嬉しいですよ」

「ありがとうよ。お前ももう高校生か、人間ってのは成長が早いもんだな」

「兄様が特殊過ぎるのですわ。そんなに退屈でしたら、私と一緒に高等学校へ入学なされば良いのです。あ、その場合は先輩として二年生にお願いしますね?」

「サラッと願望を入れてきたが、まぁそれも暇つぶしには良いかもしれねぇな。編入制度ってあるのか?」

「はい。試験を合格すればですが、兄様でしたら何も問題ありませんわね」


 兄妹仲良く新しい生活について話していると、使用人の一人が兄の下へ一枚の書類を持ってくる。


「ん?『エイナイル王立高等学校編入試験受験票』…初めからそのつもりだったな?」

「兄様のこの頃の退屈そうな様子を見て、先にご用意させて頂きました。気の利く妹でしょう?」

「はいはい。こんな兄には勿体無い出来た妹だよ、お前は」

「ふふふ、ご謙遜を。40年程前まで学校を()()()()()()兄様にこの程度で褒められても嬉しくありませんわ」

「また使用人達に聞いたな?学校なんて優秀な教師と枠組みさえ作れば上は何もしなくても回るんだよ」

「はい、そういう事にしておきますね。それで、早速試験を受けに行かれますか?」

「今は…9時か。休暇中にいつでも来ていいらしいから、今からでも良いか」

「これで兄様を学校でも拝見出来るのですね。楽しみです」

「何とも気の早い妹だな」


 苦笑しながらも、嬉しそうな妹を見て満更でも無い兄。

 本来吸血鬼とは日中の外出など論外なのだが、始祖たる彼にそんな常識は通用しない。

 二人で外出用の服に着替えて馬車を用意させ、王都エイナイル王立高等学校へと向かって行くのであった。





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