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花言葉  作者: ことは
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2話、詩織の決意

「本日のデザートは、山梨県の甘夏の使ったさわやかなゼリーとそれに合わせた特製フレーバーティーになります。」


学校で問題(1話より)をおこし、先生たちに叱られた私たちは帰り道、天宮さんに連れられて『Miniatureミニチュア Gardenガーデン』というおしゃれなカフェに立ち寄った。そこは、美男美女が働くとして一目置かれる名門店・・・・だけではない、それをはじめ目的にする人もいるかもしれないが、そこにあるメニューは今まで口にしたこともないほど絶品の数々。表現できない美味から、何度も足をのばす人もいるが、客に対して規模が小さいため、予約半年・・・一年待ちと予約は常に殺到しているのだ。今回、そんな店の奥、本来なら休憩室または客室として使われる奥の部屋にすんなり通された。イケメンスタッフに案内されているというのに、詩織は緊張のあまり顔がこわばり、きょろきょろと周りを見ては、花音の顔色をうかがう。席に着くと、別のスタッフが頼んでもないが、季節のデザートとフレーバーティーを用意してくれた。


「梓さんに、ありがとうございます。とお伝えください。」


花音が、立ち去ろうとするスタッフに伝言を残すと丁寧なお辞儀が返ってくる。そして立ち去ったのを確認すると、花音は「いただきましょうか」と言ってフレーバーティーを口に運んだ。花音は、詩織がどうして自殺しようとしたのか、何がつらかったのか・・・聞くことはたくさんあるのに、何一つ聞くわけでもなくただただ、詩織のそばにいてくれた。詩織はフレーバーティーがあまりにも絶品だったからか、安心できるような優しい味だったからか・・・花音が優しく微笑んでくれるおかげなのか・・少しずつが、いつの間にか・・ぼろぼろと涙を流しながら、心につっかかていた気持ちを話し始めた。


「私、死にたいと思って柵を越えたわけではないんです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・進路調査シート受け取ってから、最近自分の将来について考えてみたのですが、そもそも自分にできることってなにかな?って・・・答えは出てこなかったんですけど・・・私何をとってもよくも悪くもないです。平凡ってことがとてもあてはまる生活してて・・・何もない人生・・つまらない・・退屈だな・・・・そんな風に考えてました。・・・・空を飛べたらどれだけ気持ちいのだろうか?・・・そんなことを考え屋上の端に風を浴びにいったら・・・落ちかけて・・花音さんに抱きしめていただいてました。」


天音さんは私の話を否定することもなく黙って、真剣に話を聞いてくれた。一通り話を終えると、フレーバーティーを一口飲み、天宮さんが口を開いた。


「平凡な人生とは、いったいどういうことでしょうか?」

「・・・え・・?」

「平凡とは、これといった優れた特色のないく、ごくごくあたりまえなことで、またそのさまのこといいます。だというならば、平凡な人生とは、ごく当たり前な日常を過ごしているということですか?」

「・・・」

「もしそんな日常過ごせているなら、羨ましいです。」

「・・え・・?」


天宮さんは確認するように質問してきて、まともな返事もできないまま、話は淡々と進んでいく。そして、私が苦しんでいる、平凡な人生を天宮さんは羨ましいという。私は理解できず、天宮さんの顔を覗き込む。天宮さんは本当にうらやましそうな表情でこちらの顔色をうかがっていた。


「どうして?」


私には本当に理解できない。つぶやいた一言。天宮さんは少し考えて口を開いた。


「平凡てことは、みんなが基本的にできることをこなせてるということでしょう。だから、出来て当たり前といわれてしまいます。だというのならば、多くの人と共通できる可能性がありますが、優秀であればあるほど、天才!人に賞賛され点もその気持ちは、共通者がいないため理解していただける可能性は極めて難しくなるでしょう。」


天宮さんはいつものように微笑みながら答えてくれたのだけれど、今までとは違って、今にも消えてしまいそうなくらい儚くさびしげに見える悲しい表情だった。私は、何でも優れている天宮さんがうらやましい。けど、天宮さんにとって優れていることは、私が平凡な人生を苦しむように、また天宮さんも私の理解できない悩みを抱えているかもしれない。天宮さんに今回かなり助けられた。今度は私が天宮さんを救いたい。私が何をできるかわからないけれど、助けたい。


「天宮さん!」

「はい。」

「私と友達になっていただけませんか?」

「私でよろしければ、喜んで友達になります。」


私は、精一杯右手を伸ばした。天宮さんは驚いた表情を一瞬浮かべたけれど、また太陽のような温かな微笑みを浮かべ、花音の両手でしっかり握りしめてくれた。詩織は花音とちゃんと友達になれたことがうれしくて初めて笑顔になったが、とんでもない人を友達になれたこと、そして今後起こる数多の試練が訪れることなんて考えていなかったのである。


さてさて、作者的に彼女たちがこれからどう成長していくのか楽しみです。




こんにちわ。

みなさん、お元気でしょうか?


それぞれ真逆のコンプレックスを持った二人が無事に友達になりました。

(よかったね。)


これから、どんどん試練を乗り越え、そして次々と明かされる花音の身の上情報。

詩織は花音と一緒にいることでたくさんな出来事に巻き込まれますが・・どう成長できるのでしょうか????


設定上の付け加え

Miniatureミニチュア Gardenガーデン

箱庭という意味ですが、店の名前の由来についてはいずれします。

店内はアンティークな作りで、容姿で採用しているわけではないが、美男美女のスタッフで有名でもある。しかし、一番人気は店長兼パティシエを務める梓店長で、花音とは実は古い付き合いでもある。実は、今回花音の一声で席を用意してもらっていた。


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