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花言葉  作者: ことは
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1話、出逢い

「平凡」とは、これといった優れた特色もなく、ごくあたりまえなこと。また、そのさまのことをいう。


私は、国語辞典を閉じ、自分の人生を振り返ってみる。

成績は常に平均点。体育系も平均。何をとっても、並の成績を残してきた。家庭・友達との関係さえも可でもなく不可でもなく、「普通」の一言につきる。つまりは平凡な人生を歩んでしまったというわけだ。


・・・そんな人生になんの意味があるのだろう・・・


私は、学校の屋上の柵を越え地面を眺めた。死にたいわけではない。けれど、今ここで飛び降りたなら、一瞬でも空を飛ぶことができたのなら・・どんなに気持ちよくなれるのだろうか????


『死』という終止符が、その先にあったとしても、不思議と怖く感じなかった。私は、学校の屋上から自らの身体を投げ出した・・はず・・だった。


なのに、ふわりと私の身体は一瞬だけ浮かんだ。その次の瞬間、自然に落ちていく身体が勢いよく別の力に引っ張られ、温かな柔らかいものに包まれた。自分に起きたことを理解するまもなく、温かなものから少し離れたかと思うと・・・


≪バチーンッ!!≫


大きな音がその場に響き渡った。そしてもう一度、温かな柔らかいものに包まれ、私は目から涙がぽろぽろと流し始めた。私は優しい薔薇の香りに安心感を感じたのか、どんどん激しく泣き始め・・ついには、子どものように声を上げ、その場に泣き崩れた。

なぜ、そんなにも涙が止まらないのか、自分でもわからない。

左頬が痛いためか、死への恐怖からか、家庭のこと・学校のことでつらいのか・・・・自分でもなんでこんなにも苦しいのかわからない。私はただその時溢れだす涙を止める手段を知らなくて、ひたすら泣き続けた。


・・どれくらいの時間が経ったのだろうか。

泣き疲れて、ぐったりした状態で、周りを見て我に返ると、みるみる恥ずかしさのあまり顔がだんだん赤く染まった。


私は、何を思ったのか・・屋上に向かい、空を飛べたら気持ちよさそうと飛ぶ鳥を見ながら思っていた。死にたいと心から思っていたかと言われれば、自分でもその答えはわからない。けれど、息苦しいと思う毎日。変わらない日々にうんざりしていたのは事実だ。死にたくて飛び降りたわけじゃなくても結果的に私がしたことは自殺だ。実際、落ちると思ったとき、『それでもいい』と“死”を簡単に受け入れた。

しかし、受け入れたはずでも、優しくて薔薇の香りのした温かく柔らかいものに包まれたときに、今まで心に引っかかっていたものを流すかのように、思いっきり泣きだした。


そして、目の前にいる彼女・・・同級生で優等生の女性の天宮花音あまみや・あやねが抱きしめていてくれていた。その証拠に彼女の胸元は私の涙でびしょびしょに濡れている。


『・・・・あああぁぁぁぁなんてことをををををぉぉぉぉぉ!!!!』


心の中でいまさら叫んだところで、現状を変えられない。理解すれば理解するほど、顔がみるみる赤く染まっていく。『死にたい』と思うほど恥ずかしい。


「和泉さん、甘いものはお好きですか?」


恥ずかしさのあまりに困り果てていると、天宮さんのほうから微笑みを浮かべたまま、口を開いた。しかし、一度だけでは理解ができず頭の上には?(クエスチョンマーク)がいくつも浮かんだ。二度目は聞き間違いなのかときょろきょろと周りをみて、ほかにいない私にお誘いが来ているのかと、うれしくて大きな声で「はい!」と答えると、彼女は嬉しそうにクスッと嬉しそうに笑った。


「ありがとう」


タイミングがおかしいかもしれないけど、このとき私は自然にこぼれ落ちるようにつぶやいた。彼女は、あえて何も言わず静かにうなずいた。そして、空を見上げすこし深呼吸すると再び口を開いた。


「さて、そろそろ、頭を下げに行きませんか?」

「へ?」

「先生方、大変心配なされていましたから、お詫び申し上げしにいきませんといけませんね。」

「あっ」

「いろいろ、頭が痛くなるようなこともおっしゃられると思いますが、その分甘いケーキが癒してくださるとおもいますので、ここは耐え抜きましょう。」


天宮さんの提案を聞いてキョトーンとなる私を、天宮さんがくすっと笑って説明する。すっかり忘れていたのだが、結構な時間私たちは屋上にいる。つまりは、本来受けていたはずの午後の授業をさぼってしまっている。なんていうことだ。おまけに、優等生の天宮さんまでこんなことに巻き込んでしまった。今更後悔などしても意味ないのだが、とりあえず立ち上がり二人で職員室へ向かった。これからすごく先生方に怒られだろうけど、不思議とその足取りは意外にも軽かった。


天才中学生 天宮花音あまみや・あやねと平凡中学生 和泉詩織いずみ・しおり

この出会いがふたりの人生を大きく変えていくのである。

 

初めまして。

作者の言葉ことはといいます。

この作品の原作は高校時代に書いたものなのですが、改めて原作を読み返すと滅茶苦茶なストーリーで訂正するのが大変なのですが・・・・頑張ります。

自由気紛れな作家ですが、気ままに作品を読んでいただけると泣いて喜びます。

気が向いたら、作品の感想などコメントしていただけると嬉しいです。


この花言葉は、天才女子中学生花音と平凡女子中学生詩織の二人を舞台に、いろいろな視点から見えてくる価値観をはじめ、生き方などなど、自分を見つめなおす作品となってます。(願望)


第一章「価値観」

学校で自殺未遂をしてしまった平凡に悩む和泉詩織は、同級生の天才優等生こと天宮花音と出会った。今まで以上に多種多彩な人たちといろいろな考え方(価値観)の知っていく。詩織はたくさんの出会いから少しずつ心も成長していきます。




ではでは、気長にお楽しみください。作者。

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