大魔導師様は日常生活がなっていない。
オッス俺月見ユウジ17歳!数日前まで冴えない男子高校生をやってた筈だったのに、気づいたら異世界で奴隷として謎多きチビッ子に買い取られてたぜ!
今は朝から台所で朝食の準備中!俺のフライパン捌きが火を噴くぜ!ボゥボゥ!
まぁ焼いてるのは目玉焼きだけどな!
「で、チビッ子。俺を生き返らせるのはいいが、何をどうやって生き返らせるつもりなんだ? そもそも俺生きてるけど?」
「………君は絶望し過ぎてる。だから、まずは生きる素晴らしさ、というものを教えたいと思う…。」
寝起きのチビッ子はリビングでソファに腰かけ、はだけたパジャマ代わりのYシャツやピョンと跳ねた寝癖が愛らしい姿で、ボーッと魔導テレビを眺めている。
あぁそうそう、この異世界の外観はいわゆる中世ヨーロッパとか、なんかそういう感じで一括りにできてしまう。
建物は大体石とか木で素材感丸出しだし、服装は皆地味な麻のシャツにボロボロの使い古したズボンだし、車も飛行機も存在しない。
ただその割には何故か水道やテレビやガスコンロらしきものはあって、電球だってある。まるでそこだけ後付けされているかのように、文明の中に異質な現代感が混ざっているんだ。
ちなみにそれらは全て魔力を封じ込めた魔石というものが動力源らしく、しばらく使っていれば魔石の中身が空っぽになるので、また新しい魔石を買わなくてはならないという。
全て奴隷商人に教わった知識だ。
「チビッ子、乳首見えてるぞ。」
「む……。………いい。気にしない。」
コトン、と、テーブルの上に目玉焼きを乗せた皿を置く。
流石にトースターは無いので、パンはフライパンで焼いた。オーソドックスな朝食の出来上がりだ。
チビッ子はのそのそとソファの上で座り直し、まじまじと俺の用意した朝食を眺めている。
だから乳首見えてるぞ、と言いたいが、やはり気にしないと言われるだろうから、もう俺も気にしない。
チビッ子。外見年齢小学校中学年~中学校一年生くらい。
昨日の会話を察するに400歳は越えていると思われる。コミュ障。
少し毛先の跳ねたふわふわで銀色のショートヘアと、宝石のように赤い無愛想な瞳が特徴。
食器の扱いは苦手らしく、目の前にフォークがあるのに素手で目玉焼きを握り潰しておられる。…うん、これくらいか。
「って何してんの!?」
「え? ……何って、食事だよ。」
半熟の黄身は握り潰した拍子に飛び散っており、チビッ子の身体の至るところにぶっかかっている。
顔にかかった黄身が煩わしいのか子供のように手で拭おうとするが、手も黄身でベタベタなので、汚れはただ広がるばかりだ。あぁあぁ。
黄身は目に入りかけているのか、今度はその手で目元を拭い始めようとしている。流石にその手は掴んで止めた。
「ああもう、もったいない!」
「…え?」
俺はチビッ子の両腕をがっちり捕まえ、そのままグッと顔を近づける。別にキスするつもりは無い。
ただ、ペロペロするだけだ。
ペロペロと顔についた黄身を舐めとる。それだけ。
「ぁ……、ちょ、やめ……っ。」
俺が顔を舐め出すと、チビッ子はすぐに俺の手をほどこうと暴れ出そうとするが、大魔導師とか呼ばれてたわりには見た目通り貧弱だ。まるで抵抗できてない。
瞼、頬、顎、唇の黄身を舐めとり、次はそのまま顔を下げて、首筋についていた黄身をペチャペチャと舐め取る。
「んぁ………!」
「へんなほえらふなよ」
「くっ……。」
チビッ子は色白なので、赤くなるとすぐにわかるようだ。
顔から首回りにかけて、肌がピンク色に紅潮している。
「そ、それ以上は……っ!」
「おい、はだけてたせいでシャツの中まで入ってるじゃないか。お前なぁ、食べ物は粗末にしたらいけないんだぞ?」
「あ……、やぁ……。」
「………ん? ……あ。」
ダボダボのシャツをワンピースのように着ていたので、下から潜り込んで身体の分も舐めとろうと股を開かせて、絶句した。
チビッ子は、いわゆる裸Yシャツというファッションだったのである。
ちょうど目の前に、まあ、綺麗な生命の生じる所が来ていた。そりゃもう、ツルッツルのド新品。
「あ………すまん。」
「べ、別に………き、気にしない………っ。」
と言いつつ彼女は、真っ赤になった顔を必死に俺から背けようとしている。
まぁ本人が気にしないと言うのなら俺も気にしなくていいか。まずは太ももにかかっている黄身から舐めとることにした。
「ぁ………っ! ……ん、くふ、うっ………!」
チビッ子は相当くすぐったいのか、身悶えしながら自分の指を甘噛みし、必死に笑いを堪えているようだ。
おいおい、こんなとこまで垂れてきてるじゃないか。まったく世話の焼けるご主人様だぜ。
「っ!!?」
―こうして、俺とチビッ子との初めての朝食が終わった。
………
……
…
嫌がるチビッ子を風呂場に運び、べたつく貧相な身体を魔導シャワーで洗い流していると、玄関のほうでゴンゴンという大きな音がした。
「なんだ?」
「……多分、国軍。」
お湯に濡れたチビッ子は、さながら雨に降られた子犬の如くしおらしい。
「ふーん。」
「ふーんって……ボクの客だよ?」
「ちょっと待って貰えばいいだろ。そもそも国軍なんて大層なもんが、なんでこんな辺境暮らしのお前の家になんか来るんだよ。暇なのか?」
「………仕事だよ。ギルドには回せないようなうしろ暗い仕事が、ボクの所に回ってくるんだ。」
チビッ子はどうでもよさそうに呟いた。
なので俺もふーんと言って聞き流し、そんなチビッ子の細い首や、少しポッコリした腹を撫でて洗い続ける。
「……く、くすぐったい。」
「だろうな。わかってやってる。」
「わ、わざとなの?………じゃあさっきのも…? あ、あんなの完全にクン―」
「ていっ。」
乳首をキュッとつまむと、チビッ子は背骨に電流でも走ったかのようにピンと背筋を伸ばし、顔を真っ赤にした。
「はぅっ…!?」
「悪いな。そういう風にスケベな御奉仕をするように育てられたもんでよ。」
「き、きみ………!」
チビッ子は紅潮したまま潤んだ瞳でキッと俺を睨んでくるが、乳首をまたつまむと、身体をビクンと反応させて小さな悲鳴を上げる。
「にゃっ!?」
まるで迫力が無い大魔導師様だ。
ま、いつもの淡白な振る舞いよりはいくらか愛嬌があっていい。
「チビッ子…お前面白いくらい敏感なのな。 …痛い訳じゃないよな?…400歳なら発育終わってるもんな?」
疲れたようにぐったりして湯船のふちにもたれかかるチビッ子の背中を、撫でて洗い流す。
彼女は俺の問いには答えないが、まぁこのリアクションを見る限り、答えはイエスだと見て間違いない。
「まぁいいや。じゃあ次は股間を―」
「もう自分で洗うよッ!」
そう言って顔を起こして睨みつけてくるチビッ子からは、並々ならぬ迫力を感じた。
しかしコイツ、食器は使えないわ一人じゃ身体も洗えないわで、今までどうやって生活してきたんだろう?
本来ボディーソープくらいはある世界の筈なのに、この風呂場には、そういった類いの物が一切置いていない。
台所も立派だったが、あるのは昨日買ってきたパンと牛乳と卵だけ。調味料さえ無かった。
ゴンゴン、と、また玄関のほうから大きな音がする。
「…うん。まぁとりあえず、そろそろ急いでやろうか。」
「………え? な、何を…!」
要領が悪いのかひたすら腹と腕だけ洗い続けていたチビッ子の前で、俺は指をわきわきと動かす。
「何をってお前、あと洗ってないのは下半身だけだろう………?」
「え……? や、やめ………っ!」
俺はチビッ子の細い両足を掴んだ。
………
……
…
小さな洋館の玄関前。
風呂場から響いてくるグリムの大きな悲鳴に、若い兵士二人はすぐさま身構える。
「なんだ!?」
「…ってよく考えたら、ここグリム様の家だしな。なにかあっても、ご自分でどうにかされるか。」
「はは、確かにそうだな!」
そんなことはない…というのを、若さゆえか、二人の兵士は知らない。
湖のそばでは二頭の馬がそれぞれブルブルと鼻を鳴らしたり、湖の水を飲んだりしてのんびりと過ごしていた。
この世界、わりと平和なところは平和である。
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