大魔導師様、ご購入ありがとうございます!…とか思ってたら、俺、殺されるらしい。
オッス俺月見ユウジ17歳!現在異世界トリップ中!
ただこの世界には魔力を扱えない人間を《ワースレス》と呼んで蔑む風習があるみたいで、今は奴隷商人に奴隷として雑多な街中を連れ回されてる最中なんだ!誰か美人な人が買ってくれたら嬉しいな!
俺達ワースレスは正直触るのも嫌なのか、こんなに人混みの凄い街だってのに、歩いてるだけで勝手に開けゴマ状態だぜ!快適!
だと思って歩いてたのに、ふと先頭を歩く奴隷商人様の前に誰かが立ちふさがって、列が止まったぞ!
見てみたら陰気なローブを羽織ったチビッ子だったぜ!なんてこった!
「てやんでい!おいこらチビッ子!俺達ゃ今忙しいんだ!邪魔だからそこを退きな!」
あ、言ってるの俺ね!
「……ずいぶんと活きのいいワースレスだね。」
「いやぁ、すみません。つい最近仕入れたばかりで、まだまだ躾がなってないんですよ。妄想癖も凄くて、私も手を焼いてるんです。」
「そう。……なら、ボクが買ってあげるよ。」
「はい?」
「闇の大魔導師グリムエンド・アタラクシアが、そのワースレスを買うと言ったんだ。……聞こえなかったかい?」
――オォ……!――と、周囲が沸き立った。
奴隷商人は急に血相を変えてへりくだり始め、陰気なチビッ子に目線を合わせるように腰を折り、すりすりと手を擦り合わせ始める。
なんだなんだ、あのチビッ子はそんなに凄い奴なのか?
確かに髪色は他と違って銀色だし、目だってやっぱり他と違う赤色だ。でも多少見た目が違うくらいで、こうも人々の反応が起きるものなのか?
「なぁおいチビッ子、俺を買うのは良いけどさ、お前一体何者なんだよ?」
「わっ、バカお前!なんて口の利き方してんだ、ちょっと黙ってろ!」
「なんで?」
「いいから!商品が商売に口出しするんじゃねえ! へ、へへえ、すいやせんね、この通りで…。」
「…構わないよ。」
奴隷商人との値段の取り引きに生返事を返しながら、クリームランドとか名乗ってたチビッ子は、その深紅の瞳でジッと俺の顔を見つめてくる。
瞳からは一切感情が読み取れない。髪も男にしては長い程度で女としてはショートだから、性別もよくわからない。
顔つきもガキだから性別は判別し辛い。ただまぁ、可愛い顔はしてんじゃねーかな。俺ロリコンじゃないけど。
そんな謎多きチビッ子に買われた俺は、そのまま所有権が奴隷商人からチビッ子へと譲渡され、何も言わずに歩き出したチビッ子に見えない力に引かれて続くしかなかった。
チビッ子はそんなに凄い人間なのか、周囲からの視線をかっさらい、ざわざわと騒がれながらもただ淡々と何も言わずに歩き続けていく。
街には子供の好きそうな軽食やデザートの出店や本屋だってあるのに、パンと卵と牛乳だけ買って、あとはまるで見向きもせずに……だ。
そうしてしばらく歩く内についには街を出て、舗装された道を外れ、しばらく何もない平原を歩く。
すると次は深い森に入っていく訳だが、そこで出てくる魔物や動物達も、なんでかチビッ子を避けていくという有り様だった。
森を歩いていると遂には日が暮れたが、それでもチビッ子が何も言わずに歩いていくので、俺も黙って続くしかできない。奴隷にはそういう魔法がかけてあるんだ。
主人の許可を得なければ必要最低限の事以外は何もできないという、クソみたいな魔法が。
更にしばらく歩くと、少しだけ開けた場所に出た。
森の木々に囲まれた小さくも美しい湖と、そのすぐそばに建てられた小さな洋館。
小さいが趣があり、なかなか立派だと感心していると、なんとチビッ子はその洋館の中へと入っていく。無論俺も続いた。
チビッ子は服掛けに陰気な黒のローブをかけ、その華奢な身体をあらわにすると、すぐにぼーっとしていた俺へと近づいてきた。
ま、まさか乱暴する気か?エロ同人みたいに!
と思って後退りするが、チビッ子が一言「止まれ」と言えば、そこで立ち止まるしか無くなってしまう。
そんな風に動けなくされた俺の目の前まで来て、チビッ子はそっと、甘えるように俺の身体に自分の華奢な身体を沿わせてきた。
胸元に来た銀の髪から、ふわりといい匂いがする。こいつ女だ…!
「………ワースレス。君に最初に言っておくよ。」
チビッ子の口調はあくまで淡々としていた。
その事に、少しゾッとする。今の行動とその声色が、まったくそぐわないからだ。
チビッ子はロボットのような冷たい声でそう告げた後、そっと俺の胸元を細くか弱い指先で撫でてくる。
ちょ、ちょっとエッチな雰囲気だな。あくまで声は淡々としてたけど、なんかちょっと…ドキドキする。
「………ボクは、君を殺す為に買ったんだ。」
…………ん?
あれ、このチビッ子、今なんと…?
「…だからボクは、今から君を殺す。」
――ドクン。と、心臓を鷲掴みにされた気がした。
ふとランプで作り出される影に目をやると、チビッ子の影は、なんでか翼や尻尾やトゲトゲしたものまで生えていて、まったく人の形をしていないように見えた。
…み、見間違いか?見間違いだよな?
「発言を許可するから、沢山悲鳴を聞かせてよ。それがボクの………四百年ぶりの悦びだ。」
「え、あ、えっと、ありがとう。」
「……え?」
俺が思わず感謝の言葉を口にすると、チビッ子は不思議そうな声を出して、ふと小首をかしげながら俺の顔を見上げてきた。
…うん、顔だけはやっぱり子供らしくて可愛らしい。ただ感情が見えずに不気味ではあるが、さらさら揺れる銀髪とか、見慣れない俺にはただ美しいとしか思えないな。別にロリコンじゃないけど。
「……ありがとうというのは、どういう意味?」
「だって殺してくれるんだろ?ならありがとうだよ。 俺は元々死にたくて死んだんだ。でも気づいたらこの世界に居て、あの奴隷商人に拾われて、まぁアイツ自体は悪いやつじゃなかったけど、酷い光景も沢山目の当たりにしてきた。 俺はこの世界でも人間以下なんだろ。だったらやっぱ、死にたいなぁって思ってたんだ。 …だから、ありがとう。」
俺はニッカリと笑ってた。ここまで落ち着いた気持ちで素直に人と話せたのなんて、いつぶりだろう?
あ、この前奴隷の女の子をオカズに抜いた後の賢者タイムぶりだ。
チビッ子はそんな俺の笑顔を少し驚いたような目で見ていたと思ったら、ふと下を向いて、そっと俺から身体を離した。なんだ、あったくて気持ち良かったのにな。
「………ありがとうなんて、言われたくない。」
「でも俺からすればお前は救いなんだ、チビッ子。だから、ありがとう。な。」
「………予定を変えるよ。 君は殺す。必ず。」
「そうか、ならさっさと頼む。」
俺は静かに目を閉じた。
チビッ子の指が、トンッ、と、そんな俺の胸を突いてきたのがわかる。多分直接心臓を木っ端微塵にする魔法でも使うのかな?
一瞬で死ねるなら、そいつはありがたいや。
「………でも、その前にまずは君を生き返らせる。 死体を殺しても、それは殺した事にはならないから…。」
チビッ子は相変わらず淡々とした口調でそれだけ言い残して、俺の胸から指を離し、静かに背を向けていた。
そのまま何も言わずに、部屋を後にしてしまう。
えーっと、まぁなんかよくわからないが、つまりはそういうことらしい。
こうして、俺とチビッ子と、後に+αの共同生活は、始まりを告げたのだった。
ヒャッホウ久しぶりの連載だぜイェイイェイ!
下ネタいっぱいで行くぜイェイイェイ!
どうか感想か罵倒か評価を頂けると嬉しいですイェイイェイ!
ブクマ欲しいから一気にまとめて三話上げちゃうぜイェイイェイ!早速書き貯め無くなったぜイェイイェイ!
―――楽しんだもん勝ちなんだよォォォオオオッ!!!!!




