表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/23

ツンデレに対しての憧れ

 本日、俺は自分の部屋でのほほんと本を読んでいた。よくアニメ化されている、王道中の王道、そんな設定を盛り込まれたベタなライトノベル。しかし、例えベタであっても面白いものは面白い。

 そう床に体育座りして頁を捲っていると、不意にドアの開く音が聞こえた。その犯人が誰だか分かっているが故に、俺は見向きもせずに会話する。

「いらっしゃい」

「ごめん。邪魔した?」

「ううん、丁度暇してた。こっちにおいで」

 此処に来て漸く顔を上げる。走ってきたのか所々着崩れた制服に、耳元で纏められた長髪。学校では決して見せないような無表情が張り付いていた。

 彼女、つまり(サトリ)は言われるがままに俺の側に擦り寄り、ぐっと体制を傾けた。どうやら読んでいるものが気になったらしい。

「気になるの?」

 そう言って、本を閉じて表紙を見せると、納得したように頷いた。その表情が何処か辛そうだ。

「あぁ、これ。ツンデレキャラ居るよね」

「嫌い?」

 そう問いかけると、覚は少し悩ましげに眉を顰め、体育座りをした。目線が忙しなく交錯し、一点に定まらない。困っているときの癖だ。

 俺は急かす事なく覚から目を外し、ライトノベルに目を戻す。言葉が纏まったら口を開くだろう。そう思って丸々一頁を読み終えた時、声が聞こえてきた。

「嫌いじゃ…………無いと……思う。ただ…………その……」

「うん?」

「羨ましいとは……思う」

 “羨ましい”……ねぇ。また独特な考えをお持ちのようだ。捻れた考え方をするところがこの子らしいところ。

 覚は床に手を着くと、だらんと両脚を伸ばし始めた。そうしている間にも、目一つ合わせない。

「無愛想に振る舞っても好かれている所とか……。ちょっと……羨ましい…………」

 その答えを聞いた時、俺は無意識に覚に抱き付いていた。女の、細く華奢な体をすっぽりと包み込む。それは彼女自身の性格を表しているようにも思えてしまう。

 覚自身、本来の性格は御世辞にも明るいとは言えない。どちらかと言えば無愛想で、物凄く口下手。それでも必死に明るく振る舞うのは、人から悪く言われない為の防御。人間関係を円滑にする為、人からの愛を得る為、必死になって振る舞っている。そしてその演技は、上級の女優さえも凌ぐ程に上手い。

 だから……嫉妬しているのだと思う。奔放に振る舞って、理不尽な事をしても許される子に。ああ成りたいと心から願っているのだと思う。

宵光(ヨミ)、駄目だよ。抱き付く相手を間違えちゃ」

 その声は酷く優しく、其れでいて悲痛だった。


          ─終─

ツンデレとの戦い(?)は忍耐力です!!

私はしょっぱやで心が粉砕されます……(・_・、)

もっと強くなりたい……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ