とある投稿者のぼやき。 番外編
零になったブックマークを見て、私はスマホの前で深々と頭を下げた。
──今までの閲覧、有り難う御座います。また気が向いたら何時でも来て下さい。──
二ヶ月間、細々と続けていた連載小説に、初めて入ったブックマーク。見たときは泣く程嬉しかったし、床中転げ回ったのは良い思い出だ。
頭を上げて、パソコンに浮き出た零の文字をもう一度見て、苦笑いに溜息を着いた。
元々『一旗上げよう』という気持ちで始めた訳ではない。ほぼ趣味で投稿し、欲を言えば『読者がいれば良いなぁ……』程度の気持ちで連載を始めた。
趣味に付き合わせて申し訳ないなぁ……と思いながら、書くのを楽しんでいる自分がいた。
今までずっと読んでくれていたんだ。繰り返される、大して面白くもない、二番煎じな作品を。だから──“取り消した”。
『辛いか?』、『悲しいか?』と問われれば、辛いし、悲しい。でも一度付けたブックマークを取り消すというのは、“きちんと読んでくれないと出来ない事だから”。
だってそうじゃないか。ブックマークを付けて、そのまま読まれずに放置されていたのなら、下がるなんて事はない。ずっとそのままだ。
だから嬉しさ半分、悲しさ半分。
文章評価とストーリー評価が零に還った時も同じ気持ちだった。言葉は違えど筋は一緒。だから付けてくれた、外してくれた人に一定の敬意を払う。
プライドなんて有りはしない。有名になりたい訳じゃない、作家になりたい訳じゃない。ただ書いたものを読んで欲しい。目が曇って見下すぐらいなら、地の底を這っている方がいい。それだけだ。
私はもう一度頭を下げた。
「何時でもお待ちしております」
─終─
贅沢を覚えると、貧乏に帰れなくなるのと同じ様に、私は有名になったら“間違い無く”天狗になります……。
だったら今のままの方が良いなぁ……。
何時までも読者様に、感謝と敬意を払い続けられる投稿者でありたい……。