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メィルティア王国ストーリー  作者: 三田弾正
大西洋海戦史
2/4

戦艦と戦艦の果たし合い

一年前の物を移動させた物です。

加筆修正はしました。

1943年6月22日


■大西洋アドレス諸島沖


ナチスドイツの傀儡政権であるフランス・ヴィシー政権に所属するダカール艦隊の中で尤も大型艦は新造戦艦リシュリューであった。彼女はフランス降伏時に完成度90%でカサブランカへ逃走し係留されていた。その後、アメリカのレンドリースによる支援に基づきカサブランカへ入港した工作艦メデューサとカサブランカ工廠の努力で1942年10月に残工事が終わり就役する事が出来た。


それ以来ヴィシー政権ダカール艦隊の旗艦としてイギリス本島と喜望峰周りのインド航路の通商破壊を行い続けてきた。今回もダカールから、イギリス海軍の護衛の元、オーストラリアから運ばれてくる戦略物資船団を攻撃すべく彼女は軽巡グロアール、モンカルム、大型駆逐艦ル・ファンタスク、ル・マラン、ランドンターブル、ル・テリブル、駆逐艦ラルション、ブレストーズ、フグー、フロンデルを率いて出港したのである。


6月22日午前7時37分水平線上に複数の煙が見え始めた。早速グロアールよりアメリカ製のヴォートキングフィッシャー水上偵察機が飛び立つ。暫くすると水上偵察機から無電で船団は軽巡洋艦2隻駆逐艦12隻と貨物船40隻からなる船団だと判った。それを聞いた指揮官のマルセル・ブルーノ・ジャンスール中将はイギリス艦隊に戦艦が居ない事を聞き襲撃を開始するように旗下の艦隊に命令を出した。


増速するリシュリュー以下のヴィシーフランス艦隊、フランス艦隊を発見したイギリス艦隊は船団を逃がすために、ヘンリー・ハーウッド少将の旗艦シェフィールド以下が増速しながら、突撃を開始する。本艦と僚艦ベルファストの主砲は“Mark XXIII 15,2cm(50口径)速射砲”を装備していた。その性能は同クラス砲弾に比べて軽い50.8kgの砲弾を最大射程23,300mの射程で発射する性能であった。


英軽巡では、リシュリューの38cm砲に対抗はまず無理であるが、輸送船団を逃がすために犠牲になる気合いだとジャンスール中将は考えていた。リシュリューは命中率を上げるために3万メートルで砲撃を開始する為にアメリカ製レーダーを使い距離を測ろうとする。


しかしそこは電子の国イギリスである、既に水冷式の大出力マグネトロンを開発済みであり。その分野ではアメリカ、ドイツの電子技術より遙か先を行っていた。そしてその研究結果とも言えるECM攻撃を始めてフランス艦隊のレーダースコープを乱れさせる。


そこへ煙幕を張りながらロイヤルネービー自慢の見的必殺の精神で軽巡2隻と駆逐艦8隻が突っ込んでくる。フランス艦隊からは、リシュリュー自慢の38cm砲が火を吐くが、砲弾は明後日の方向へ水柱をあげる。ハーウッド少将はシェフィールドの露天艦橋上でしたり顔をしながら、突撃する僚艦を指示している。


「良いぞ。ラプラタ沖のシュペー提督の様に枢機卿猊下リシュリューも大西洋で水泳させて差しあげろ!」


フランス軽巡グロアール、モンカルムが最大射程26,960 mの主砲を23000mで使い砲撃を開始する。それに対抗して、シェフィールド、ベルファストが反撃を開始する。シェフィールド、ベルファスト共にRDFを使い確実に距離と方位を測定していく。


ファイヤーのかけ声と共に第一、第二砲塔左砲から50.8kgの徹甲弾が発砲される。初弾は前方に水柱をあげる。「上げ2.5°」発令所では砲術長の声が響き、各砲塔に電路で信号が流され仰角を上げた右砲が発砲する。


フランス軽巡の砲撃は、レーダーを使用しての測敵方法に未だに慣れていないため、砲弾はシェフィールドの遙か彼方へ水柱を上げる。


「蛙喰い野郎共は未だ未だ未熟だな」

ハーウッド少将の軽口に艦橋内に笑いがおこる。


数回の殴り合いの最中、最初にシェフィールドが放った徹甲弾が軽巡モンカルムの煙突付近に命中した。50.8kg徹甲弾は38mmm甲板装甲にめり込み信管を作動させ破壊力が発揮された。その結果煙路から排煙が吹き出し、第2缶室の出力が低下し始めた。


歓声が上がる艦橋内しかし次の瞬間僚艦ベルファースト至近に高々と水柱が上がったのである。中々軽巡の命中しない砲撃に業を煮やした、マルセル・ブルーノ・ジャンスール中将が、リシュリューにも英軽巡の排除を命じたのである。


しかし中々当たらないフランス艦隊の砲撃に対して脂の乗りきった英国海軍の砲撃は、次々と命中弾を与え各艦に火災を生じさせ始める。


そんな中、大音響が響き渡った。フランス側の砲撃に命中弾が出たのである。


リシュリューの38cm砲弾がベルファースト左舷側を引きはがすように命中し水偵カタパルトがはじけ飛び、煙突にスプリンターによる風穴が空きまくる。ベルファストは大音響と共に艦体が震えまくり、吹き飛んだ水偵施設からガソリンが漏れ火災が発生して燃え始める。


しかし、軽装甲の軽巡洋艦なら一発で轟沈できるほどの意力のある38cm砲弾を喰らった割にベルファストの速度も落ちず、盛んに主砲を撃ちまくっている。いったい何が起きたのかと不思議がる所で、煙幕の隙間から姿を現したベルファストを見て、フランス側もやっと納得がいった。


確かにベルファストは38cm徹甲弾を食らったが、非装甲部位であったため信管が働かずに艦体を削りカタパルト部分が構造材まで見える状態になったが沈まなければ何とか成るものである。


火災もガソリンが無くなれば下火になるはずだが、最高速度の32.5ノットで航行中では炎と煙が第三砲塔の照準を甚だ疎外しはじめる。更に排煙がスプリンター被害の穴から漏れまくり艦体後方に黒煙がたなびく。


そんな損傷にもかかわらず健気に突入してくる、英国海軍ロイヤルネービーだが、リシュリューには一発も当てることなく、フランス軽巡との交戦が続く、しかし再度ベルファストに38cm砲弾が降り注いだ。その砲撃は一発も命中しなかったが夾叉した為、水中爆発により左舷スクリューが変形し速力がガクッと低下しはじめる。


それを狙ってフランスの超駆逐艦が13.8cm砲弾を矢継ぎ早にたたき込みはじめる。ベルファストは次第に穴だらけに成りながらも、艦載兵器全てを使って反撃を続ける。それを確認して、リシュリューは目標をシェフィールドに変え砲撃を始める。


シェフィールドは変針しながら砲撃を避けつつ、反撃を行う。しかし悲しきかな高々1万トンの軽巡が戦艦に対抗可能では無く、更にフランス軽巡の攻撃を受けているのである。そして次第に敵の照準が合ってきて、夾叉されはじめる。


既に、シェフィールドとベルファストの砲撃でフランス側は軽巡モンカルムが大火災を生じ戦場から離脱しつつあり、グロアールはベルファストの放った執念の一発が艦橋直下命中し艦長以下艦橋要員が死傷し、一時的に指揮と舵を取る人間が居なくなり、明後日の方向へと迷走し始めていたが、リシュリーと超駆逐艦群は健在で、次第に距離を縮めてくる。


リシュリューは勝利を確信しながら、シェフィールドを叩き潰す為に増速したが、その直後に艦体を囲むように水柱が上がった。驚きを隠せないフランス艦隊、何故ならその砲撃は英国艦隊と全の別の南南東方向からの砲撃だったからである。しかも着弾した水柱の大きさは戦艦クラスのそれだったからである。


ジャンスール中将は驚愕の顔でその水柱を見ながら呟いていた。「まさか、戦艦だと!」


ジャンスール中将が驚くのもしょうがない、何故なら英国海軍の戦艦16隻全ての所在地はスパイの報告で既に把握していたにもかかわらず、戦艦クラスの砲撃を今受けているのだから。




ジャンスール中将が驚愕した砲撃を放った艦は英国の同盟国メィルティア王国海軍大西洋艦隊所属巡洋戦艦ラジェンドラであった。彼女は今年5月22日に竣工したばかりの最新鋭のR級巡洋戦艦であり、今回が処女航海であった。


彼女は完成前からの猛訓練で練度も上がっており、英国海軍輸送船団に3時間後を追走していたが、襲撃の連絡が入るやいなや、8基のボイラーから高圧蒸気を4基のタービンに送り込み最大出力132,000馬力の最大出力を発揮させ31,5ノットの最大戦速で戦場に急行してきたのである。


ラジェンドラは、発砲可能距離に入ると対水上RDFを駆使してリシュリーを捕らえると主砲のL55/29.5cm四連装砲塔×3 三連装砲塔×2から牽制の為に砲撃を開始する。主砲が発砲される事に秒速950m/sの速度でタングステンバナジウム合金製徹甲弾が毎分3.5発のスピードで矢継ぎ早に発射されていく。


この攻撃により、フランス側の陣形に乱れが生じ始めた。

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