第十九話 『プライマル』 OP
突如として蒼穹を引き裂き現れたその巨影は、あざ笑うかのごとくに空の上から人類を見下ろしていた。
おまえ達などいつでも滅ぼせると言わんばかりに……
「ざけやがって!」
灼熱のシルエットと化した陸竜王の中、礼也の魂が真っ赤に燃えた。
「おし、行くぞ! 光輔、夕季!」
『わかった、一気に決めようぜ!』
『了解』
ガーディアンを集束させ、すぐさま大地を蹴って駆け上がる。
血気にはやる三人に釘を刺すように、桔平ががなり立てた。
「てめえら、無茶すんじゃねえ。まだどんな相手かもわからねえんだからな!」
横並びのコクピット内で、礼也と光輔が奮い立つ気持ちをただ真っ直ぐに叩きつけた。
「だから、やってみなきゃわかんねえって!」
「とにかく一気に決めていこう。な、夕季!」
「……」
日輪の輝きを背に受け、ヴォヴァルの巨体が妖しくゆらめく。木彫りのような、或いはおもちゃのようにも見えるひとこぶラクダの上に、甲冑をまとった中世の騎士を思わせる鈍色の巨人がまたがる様は滑稽でもあった。ただ不気味なのは、仮面の奥の表情が一切見えないことと、体長の倍もあるランスをかまえながら、まるで攻撃の意思が見受けられないことだった。
臥竜偃月刀を上段にかまえ、空目がけガーディアンがさらに伸び上がっていく。
ほぼ同じ体躯のヴォヴァルの頭上まで飛び上がり両断しようとした時、その姿を見失った。
大地に降り立ち空を見上げると、先よりもはるか頭上に黒い影を確認する。
ガーディアンのジャンプ力ではそこまで到達することは不可能だった。
「ち!」
歯がみする礼也へ、夕季が顔を向けた。
「礼也、あたしにやらせて」
じっと夕季を凝視する礼也。
「おし、わかった」瞬きもせずにぶすりと言った。
背筋を伸ばし、夕季が前だけを真っ直ぐ見据える。
「礼也、光輔!」
「おう!」
「俺もいいよ」光輔の瞳がめらめらと燃え上がった。「ここで一気に決めようぜ!」
再びガーディアンが七色の光に包まれる。
噴き上がるように雲を突き抜け、それは空高い場所で人の形を成してとどまった。
空竜王によく似たシルエットの、それまでの形とは別のタイプのガーディアン、エア・スーペリアだった。
青く輝く両眼に、胸部の装飾部分と全身のラインにはそれぞれ赤と黄橙色の光を宿していた。
轟々と風を従え、空間を切り裂き、白銀の翼を持つ巨人がヴォヴァルへ挑みかかっていった。