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10話 評価と初依頼

ギルドの中は、まだざわついていた。


さっきの騒ぎの余韻が残っている。


職員たちが慌ただしく動き回り、問題の男は奥へ連れて行かれていた。


「……派手にやったな」

ダグが呆れたように言う。


「いつも通りだ」

「どこがだ」


軽く肩をすくめる。


周囲の視線が、こっちに集まっていた。


興味、警戒、好奇心。


いろんな感情が混ざっている。


「おい、お前」


声をかけられる。


振り向くと、さっきとは別の職員だった。


少し年上。落ち着いた雰囲気。


「ちょっといいか」


「内容による」

「悪い話じゃない」


ダグが小さく頷く。


「行っとけ」


「……まあいいか」


職員についていく。


奥の部屋。


簡単な机と椅子があるだけの場所だった。


「座ってくれ」


言われるまま座る。


職員も向かいに座った。


「まずは礼を言わせてくれ」


「別にいい」


「いや、よくない」


真面目な顔で続ける。


「内部の不正は、こちらでも把握しきれていなかった。助かった」


「そりゃどうも」


適当に返す。


「それで」


職員が少し身を乗り出す。


「君の能力について聞きたい」


「企業秘密だ」

「……だろうな」


苦笑する。


「だが、ひとつだけ確認させてくれ」


「なんだ」


「“真実を引き出す力”……そういう認識でいいか?」


少し考える。


まあ、間違ってはいない。


「そんな感じだ」


「やはりか……」


納得したように頷く。


「正直に言うと、ぜひ協力してほしい」


「ギルドにか?」


「ああ」


即答はしない。


「メリットは?」

「情報と仕事、それに……信用だ」


「信用ね」


少し笑う。


「俺に一番向いてないやつだな」


「だが、一番必要なものでもある」


言い返せない。


「……まあ、考えとく」


「それでいい」


職員は一度頷き、話題を変えた。


「さっそくだが、依頼をひとつ受けてみないか」


「早いな」


「君なら問題ないと判断した」


机の上に紙を置く。


依頼書。


「……揉め事の調査?」


「最近、商人同士のトラブルが増えていてな。証拠がなく、解決できていない」


「なるほど」


「暴力ではなく、“事実”で解決したい案件だ」


「……いいね」


口角が上がる。


「得意分野だ」


「受けてくれるか」


「受ける」


即答だった。


「決まりだな」


報酬の説明を受ける。


銀貨数十枚。


「悪くねぇな」

「内容に見合っているはずだ」


立ち上がる。


「場所は?」

「市場地区だ。詳しい話は依頼人から聞いてくれ」


「了解」


部屋を出る。


ダグが壁にもたれて待っていた。


「どうだった」

「仕事もらった」

「早すぎるだろ」


「実力主義らしい」


「便利な能力だな」

「だろ?」


軽く笑う。


ギルドを出る。


外の空気が少しだけ心地いい。


「で、どうする」

ダグが聞く。


「決まってる」


空を見上げる。


「ネタを取りに行く」


「……本当にそれなんだな」


市場の方へ歩き出す。


人の流れに混ざる。


ざわめきの中。


ふと、思う。


「……そろそろか」


あの感覚。


まだ来ない。


でも――


「次も、派手にいくか」


小さく呟く。


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