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 間話2「五分の証明」

夜。


部屋は静かだった。


カーテンは閉めたまま。


机の上のスマホだけが、光っている。


「……また、来るかな」


ミオは小さく呟いた。


前の配信から、数日。


あの五分。


あの映像。


何度も見返した。


保存もした。


でも――


「……わかんないよ」


本物なのか。


作り物なのか。


結論は出ないまま。


SNSも、ずっと荒れている。


“トゥルース復活”


“異世界配信疑惑”


“映像技術検証”


どれも、決定打がない。


「……トゥルたん」


名前を呼ぶ。


返事は、ない。


その時。


スマホが震えた。




【トゥルース 配信開始】




「……っ!」


反射的にタップする。


画面が開く。


映っているのは――


建物の中。


人。


鎧。


剣。


「……また」


息を呑む。


コメント欄が一気に流れる。


『きたあああああ』

『トゥルたん!!』

『今度は室内!?』

『ギルドっぽくね?』

『いやセットだろ』


ミオの指が震える。


『トゥルたん……』


打ち込む。


流れる。


でも、いい。


“ここにいる”。


それがわかるだけでいい。


映像の中。


男の怒鳴り声。


揉め事。


「……やめて」


小さく呟く。


嫌な空気。


でも。




「話、聞かせてくれよ」




その声が、響いた。


「……!」


間違いない。


トゥルースだ。


コメントが加速する。


『声きた!!』

『本人だろこれ』

『いや似てるだけかも』

『でもタイミング完璧すぎる』


ミオは画面から目を離せない。


やがて――


男が、話し始める。


止まらない。


暴露。


内部事情。


不正。


「……え」


ミオの目が見開かれる。


「……なに、それ」


コメント欄が爆発する。


『黒じゃん』

『やらせなら脚本うますぎ』

『これガチなら大問題』

『いやいや現実じゃないだろ』


でも、ミオにはわかる。


「……トゥルたんだ」


あのやり方。


あの流れ。


間違えるはずがない。


そして――


別の男。


視線を向けられた瞬間。


崩れる。


「……紹介料、もらってた」


「……っ」


息が止まる。


完全に、暴かれた。


「……すごい」


ぽつりと呟く。


怖い。


でも。


それ以上に――


「……助けてる」


前と同じだ。


暴いて、終わりじゃない。


誰かを救っている。


それが、トゥルース。


画面の中。


騒ぎが広がる。


そして――




「ちゃんとやれよ、ギルド」




暗転。




【配信終了】




「……はやい」


思わず漏れる。


時計を見る。


ほぼ、五分。


偶然とは思えない。


コメント欄は、完全に暴走していた。


『は????』

『終わるな!!』

『これ絶対続きあるだろ』

『ガチっぽすぎる』

『どこだよここ』


SNSの通知も鳴り止まない。


トレンドが更新されていく。


“トゥルース”

“異世界配信”

“ギルド暴露”


一気に、広がっていく。


ミオはスマホを強く握る。


「……トゥルたん」


小さく呟く。


「……どこにいるの」


わからない。


でも。


「……生きてる」


それだけは、確信できた。


そして――


「……行きたい」


ぽつりと漏れる。


あの場所へ。


あの人のいる場所へ。


その想いは、小さく――


でも確かに、生まれていた。


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