表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽だまりのコタロウ  作者: じょんどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/33

『真夏の夜の再会と、見えないお客様』

『真夏の夜の再会と、見えないお客様』


### 1. お盆の「特別な匂い」


サチコさんが、リビングの小さな棚にお供え物を用意し始めた。

ナスやキュウリに割り箸を刺した「馬」と「牛」。そして、どこか懐かしいお線香の匂い。


「コタロウ、チビ。今日からお盆よ。昔、この家を守ってくれていた『先代』の皆さんも帰ってくるわね」


サチコさんの言葉に、コタロウは背筋をピンと伸ばした。

現役の警備局長として、大先輩たちに失礼があってはならない。


「先輩、なんだか玄関のあたり、透明な足跡がいっぱいある気がするよ!」

チビが何もない空間に向かって、楽しそうに尻尾を振っている。


### 2. ルークの「霊的」プロファイリング


生垣へ向かうと、ルークが神妙な面持ちで座っていた。

「コタロウ、今夜は特殊なエネルギーが街に充満している。僕のセンサーによると、過去にこの地を守護していた優秀なエージェントたちが、一斉に帰還しているようだ」


「ルーク、お前も感じるか。先代たちの視線を」

「ああ。特に、君の家の庭にある『あの桜の木』だ。あそこに、とてつもなく偉大な気配が留まっている」


二匹で庭を注視していると、ソラが空から静かに降りてきた。

「ギィー……。今夜は空の道も大渋滞だ。でも、悪い気配じゃない。みんな、自分の愛した場所を確かめに来ているだけだ」


### 3. 深夜の「合同演習」


夜中。サチコさんが寝静まった頃、庭でカサリと音がした。

僕はチビとルークを連れて、音のする方へ向かった。


そこには、月明かりに照らされた「銀色の影」が二つ、三つと揺れていた。

それは、かつてこの家でサチコさん(や、その前の家族)と暮らしていた、先代の犬や猫たちの姿だった。


「……お前が今の警備局長か」


一番大きな影——かつてこの家を十数年守り抜いたという伝説の柴犬「クロ」さんが、僕の前に立った。

僕は言葉を失い、ただ深く頭を下げた。


「なかなか良い面構えだ。泥だらけで鍵を探し、カメを守り、氷を運ぶ……。お前たちのやり方は少し型破りだが、この家の『陽だまり』は、俺たちの頃よりずっと温かい」


### 4. 伝説の技術継承


クロさんは、僕に「極意」を教えてくれた。

「コタロウ、忘れるな。俺たちの真の仕事は、不審者を追い払うことじゃない。サチコがふとした時に感じる『あぁ、一人じゃないんだ』という安心感の、その『理由』になることだ」


クロさんたちは、明け方まで僕たちと一緒に庭を見回り、効果的な「おねだり」の角度や、一番日当たりの良い場所の掘り起こし方など、秘伝の技を伝授してくれた。


朝、東の空が白み始めると、彼らの姿は朝霧に溶けるように消えていった。

「後は任せたぞ、若造」

その声は、松ぼっくりが埋まっている土の底から響いた気がした。


### 5. 新しい一日の始まり


サチコさんが起きてきて、仏壇の前で手を合わせた。

「みんな、ゆっくりできたかしら。コタロウ、なんだかあなた、今日は一段と頼もしく見えるわね」


サチコさんは僕の頭を力強く撫でてくれた。

その手のひらを通して、先代たちから受け継いだ「守護者の重み」が、じんわりと僕の心に染み渡っていく。


庭では、カメくんが池の淵で深々とお辞儀(のような動き)をし、ソラが空高く舞い上がって朝の報告を始めた。


「陽だまりの警備保障」は、僕たちだけじゃない。

目に見える仲間、目に見えない先輩、そしてこの家を包む全ての記憶。

そのすべてで、今日もサチコさんの笑顔を守り抜く。


さあ、夏休みはまだ続く。

次はどんな冒険が待っているだろうか。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ