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追放された悪役令嬢ですが、港町で寿司屋を開店します~前世の知識で寿司を握ったら辺境伯様に溺愛されるようです~  作者: 緋村ルナ


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【番外編2】不器用な恋の握り方

 ポルト・マーレの本店「海の幸 リズ」は、今や一番弟子のマルコが、立派な大将として店を切り盛りしていた。そして、カウンターの向こうで朗らかに客をもてなすのは、店の看板娘として誰からも愛されるソフィア。

 マルコは、そんなソフィアにずっと想いを寄せていた。しかし、極度に不器用な彼は、その気持ちをどう伝えればいいのか全く分からない。魚に愛情を囁く方が、よほど得意なくらいだ。

「ソフィア、今日の賄いは、お前が好きだと言っていたイカだ…」

 それが、彼の精一杯のアプローチだった。

 そんなじれったい二人を見かねたリズとカイは、休暇でポルト・マーレを訪れた際、彼らの恋のキューピッド役を買って出る。

「いいかマルコ君、女性というのは、もっと情熱的な言葉を求めるものだ。『君の瞳は、朝獲れのイカの透明感にも勝る』とか、そういう風に言うんだ!」

 カイは謎の恋愛指南を始めるが、的外れなアドバイスにマルコは混乱するばかり。一方、リズはソフィアのために、新作の甘いデザートを開発して、彼女の恋の悩みを聞き出す。

 ドタバタが続いた末、マルコはついに覚悟を決めた。彼は、リズに教わった技術のすべてを注ぎ込み、特別な創作SUSHを握った。それは、ソフィアの明るい笑顔をイメージした、色とりどりの花びらが飾られた、宝石のように美しい一貫だった。

「ソフィア…俺は、魚のことしかわかんねぇ、不器用な男だ。でも…これだけは言わせてくれ。俺の握るSUSHを、一生、隣で食ってほしい」

 不器用すぎる、しかし最高に心のこもった告白。ソフィアは顔を真っ赤にしながらも、涙を浮かべて「はい!」と頷いた。港町に、また一組、幸せなカップルが誕生した瞬間だった。

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