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七つ鍋

作者: せおぽん
掲載日:2025/11/13

ー 病む鍋 ー


暗闇の中心に鍋。

くつくつと何かしらが煮込まれている。


暗闇の中心に鍋。

私は今日の愚痴を摘み入れる。

「彼氏に振られた」

私の愚痴は、すぐに溶けて無くなった。


暗闇の中心に鍋。

入れられた具は、芸能人の不祥事。

芸能人の不祥事は、しばらく煮えたけど。

誰も口に入れないまま消えた。


病む鍋に、皆は具を入れる。

病む鍋が、ドロドロに渦巻いてる。

ドロドロに煮詰まった病む鍋。


箸を差し入れる事なんて誰もしない。

病む鍋の具になってしまうから。


ー 怒鍋 ー


凄まじい火力でカンカンと鍋尻を炙られている怒鍋には誰も触れられない。


中身の無い怒鍋はカンカンと滾っている。


ばしゃん。と水をかけられて怒鍋はパリンと割れた。


中身の無い怒鍋は、水をかけたらすぐに割れてしまう。


ー 泣鍋 ー


土鍋に研いだ米を入れ、水を張り私は火を入れる。


お米は少なく。

水は多めに。


弱火でトロトロと、三分粥をつくる。


身体がだるい。

誰か助けて欲しい。


土鍋の蓋の小さい穴から、少し吹きこぼれた。

私は、涙といっしょにそれを拭く。


ー 笑鍋 ー


くつくつと鍋が煮えだす。


小3の息子が、今日の学校のエピソードを話している。


息子の話に笑い、太り始めた嫁を見る。


まずい。と思っていた発泡酒も今では悪くない。


2人目は、男だろうか。女だろうか。


鍋も、くつくつと笑っている。


ー 恋鍋 ー


流行りの火鍋が、私は苦手なの。1つの鍋が二つに別れてるでしょ?


ハートが二つに別れるようで私は好きになれないな。互いに苦手な具材も混ざりあって美味しい鍋になるほうが、素敵な鍋になるんだよ。


と私は言って、彼氏のお家に初めてお泊りに行った時、お鍋に勝手にキムチ鍋の元をドバドバ入れたら振られちゃった。ちょっと刺激が強すぎたかな?


ー 忘鍋 ー


僕が唯一できる料理は、常夜鍋。豚肉とほうれん草だけの鍋。


僕の彼女は料理が得意で、僕にいろいろな料理を振る舞ってくれた。おかげで僕と彼女は大分太ってしまった。


デブのカップルと笑われて、僕は彼女を責めて別れてしまった。


常夜なべ。豚肉とほうれん草だけの鍋。彼女を忘れる為の、忘鍋。


ー 夢鍋/虚鍋 ー


松葉蟹。最高黒牛。鮑。利尻の特級昆布。最高の具材を集めた夢鍋を独り占め出来る贅沢。スープを一口味わい、僕は溜息を吐く。美味しくない。1人で食べる鍋なんて。夢鍋じゃない。虚鍋だ。


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