last file02. 神速
まるで嫌な予感しかしない握られた雷太くんの拳は緑色の静電気を散らす。一方で乳の事を言われたリップル姫は取り乱してエクスカリバーからショックウェーブを乱れ打ちし始めた、なにこれ。物ともせず突撃する雷太は華麗に避け懐へ、避けて! しかしそこに姿はなく私の目の前へ。噂に聞く神速使いは本当だったのね、慌ててお父ちゃんの剣で振り払う。あ爆風で皆んな吹き飛ばしちゃったうっかり。
「何してんだドロシーさんおめええ!!!」
「ごめんごめん! どこいるのリップル姫!」
「上だ!」
「斬!」
危うく二手に散って雷太くんは遠距離の電撃、私は魔法で火の粉を放つ。そして再びの土煙がなくなった時、蓮さんがリップル姫を背負い投げしていた。叩きつけられ右腕を背中方向へ締め、床に顔を向け身動きが取れない模様。あの子強いのね。
「貴様!! 親子の関係に水差しおって! 許さん!」
「だって! 地上の国が、だって!!」
「黙れ」
手刀が後ろ首のリンパへ、的確に伝わった龍の波動で姫は気絶した。ツクモさんへ縛っておくよう指示する。
「ほいっさーですわ! それと、魔王さん大丈夫ですか……?」
「問題ない、すぐに娘が手当してくれたからな」
「良かったー! あ、まあ、その……? 蓮様怒っているので、では」
「ありがとう!! 蓮さんとツクモさん!」
「造作でもない、久々に見たわリップル姫」
「貴方もなのね」
タイムパラドックス、400年前と現代と呼ばれる空間で行われている、裂け目を通じた謎の現象だ。今となってはもうある意味、当たり前なのかもしれない。
ツクモさんと蓮さんが立ち去った後しばらくお父ちゃんの怪我の治療をしていた最中怜くんが私のもとへ。
「あの、えっと」
何を今更モジモジ照れてるのだろう、ある意味彼らしくはない、気になる。そして自分で旅してみたいと切り出された。もう今となっては15歳か、自分で何でもやってみたいもんね。
「いいよ!! どーんと行ってらっしゃい!! 私みたいに黙って行ってもいーのよっ」
「うん!」
「でも戦い頼りないですからね、こあちゃんも着いていきますよ」
あんた最強クラスでしょ……。ま、頼もしいと思っておこう! ヘレナちゃんはちょっと遠くで体育座りでなぜか落ち込んでいる。
「出番少なかった、怜くんに着いていく。ぷんぷん、つーん」
「なんでもいいか! 私も旅かな〜。ねっ! リップル姫さん!」
「え? ………なんで?」
「相棒探さないと、ソル フォースっていう強い男の子」
「にゃん」
ボロボロな姿のまましょんぼり頷く、心当たりはないかと尋ねると咄嗟に雷太くんが手を伸ばしてるのを見た! 思わず手刀で止める。
「いって!! 何もしてないぞ! 俺はここでお役御免だ!! けっ! なんだよ」
「君も来なよ、謎に役に立つし」
「うるせーな!! 分かりましたよ、妹のお礼もある」
「き。よろしく」
後で雷太追放しよ。




