夜の詠み手
夜を仰いで、言葉を綴り
夜に身を置き、言葉を綴り
夜を思って、言葉を綴り
夜に憧れ、言葉を綴り
夜にフラれて、言葉を綴り
夜を慕って、言葉を綴り
夜に反発して、言葉を綴り
夜に寄り添い、言葉を綴り
夜をふり返らず、言葉を綴り
夜が恋しいと、言葉を綴り
夜に…言葉を伝えたいのだと
夜に…言葉を残したいのだと
夜に…言葉を送りたいのだと
夜に…言葉を届けたいのだと
夜に…言葉を伝えねばと
夜に…言葉を残さねばと
夜に…言葉を送らねばと
夜に…言葉を届けねばと
夜に贈った詩が、届かない
夜に贈った詩は、届いていない
闇はこんなにも……私を、包み込んでいるというのに
夜に愛が、伝わらない
夜に心が、伝えられない
……夜が、明けてゆく
私を置いて、明けてしまう夜
私を置いて、夜が明ける
……ああ、今日も、夜に混じれなかった
夜への慕情を胸に、私は…立ち上がり
朝陽に背を向け、歩みはじめた