14話 映画の後でお仕事 2
皇の弁当をつまみながら、私は、ほくほくした気持ちで今日の皇のファンサを思い出していた。
今日の私の渾身のファンサ要求は、「ボタン外して!」。
戸惑いながらも一つずつ、ゆっくり外していく皇……。指の動きも、ゆっくりと開いていく課程も、色気があってよかった……!
そして、皇の体が、見えるか、見えないかの瀬戸際で――。
ちらっと見えた――!!!! 胸からへそ上くらいまでのところが、わずかに開いた服の隙間から、ちらっと――!!
ああ、ジャパニーズ・チラリズム! これぞ日本の控えめな文化が生んだ究極の色気……! ありがとう……っ!!
うん、我ながら最高の要求だった。
「今日のあの要求は一体……。
いえ、今日はそれよりも、聞かなければならないことがあります。しばらくいろいろあって、キルコさんの僕への感情が推しではないことを証明するための問いができていませんでした。今日は、それについての質問をさせてもらいます。
今日は、僕以外の推しと僕への感情の比較検討を行います。この検討が終われば、証明するための情報収集は終了です。よろしくお願いします。
まずは、僕以外の推し……前に言っていたアイドルについて、どのような点が推しだと思いましたか?」
緋王様の、推しだと思った点――つまり、緋王様の魅力。
「たくさんあります。まずは顔。透き通るような瞳、長いまつ毛、ずっと通った鼻筋、口元のほくろ、美しい輪郭、いつも称えているやさしい微笑み! 私の理想そのものです……!
それに加えて、涼やかで礼儀正しい物腰、しなやかなお体、穏やかな京都弁、やさしい口調、甘い声音……。他のアイドルのように意図したような甘い言葉を吐くことがなく、物腰や表情だけで魅力と色気を爆発させ――だからこそ歌詞で甘い言葉を歌った時の爆発力が大変で! 透明感と色気のギャップ、色気爆弾の期待度が高いのです! イメージキャラクターである『帝』そのもの!
その上、性格も素晴らしくて……! ファンや世界にグループや日本の魅力を知ってもらうために、多忙なお仕事のかたわら、「ひおさんぽ」という動画配信を行っているのです! 忙しいのに日本に貢献しようとする姿勢が素敵ですし、スケールが大きい目標をさらりとやっている点も素晴らしい! 紹介するお酒も質が高く目も舌も肥えているところも尊敬しますし、紹介する本のチョイスも文学的なものばかりで最高です! つまり、上品で育ちがよくて知的なのです! その上、「ひおさんぽ」の際は、周りにファンが集まれば立ち止まってまんべんなく手を振ってお礼を伝え、お店の人にははじまる際に深々とお辞儀をし、終わり際には必ず握手とサインをするなど、最高のサービスをしてくださる! 映画やドラマで関わった人たちにもいつもその性格の良さを話題にされていて……人間的魅力の塊! 人格者としかいいようがありません!」




