13話 筋肉がお仕事 7
屋上から出ると、皇が、「大丈夫ですか」と呟いた。
「雷で、怪我をしてませんか」
「はい」
「よかったです。それにしても、今日の気候と気流で雷雲が発生するなんて……。上にアンテナがあったのに、あの人に雷が直撃したのも、理由が分かりません。何より、あの人はどこへ……?」
「そんなことより、かっこよかったです。また見せてください」
私は、ぎゅっと両手を握って話題を逸らした。
ふふ。さりげなく握手をしてしまった。嬉しい。
そして、ちらりとはだける服の中を覗いた。
うっ…………! 遠くから見るよりますますいい…………! うっすら浮かぶ腹筋の筋……! 好きすぎる……!!
プールの時期が楽しみだ…………!
ジャックは害悪な男だが、皇の体と格闘シーンを見せてくれたことだけは、素晴らしい功績を上げたと言っていい。
またやらせよう。
「キルコさん。
あの人の言っていたことですが、苦手なことは人それぞれ必ずあるので、気にしないでください。僕はキルコさんのどんなところも、全部、尊重します。キルコさんがどんな人でも、全部。
お部屋の掃除もいつでも手伝うので、言ってください」
……今はもう綺麗だが。
それに、神である私の空間に入ることなどできないし、私は神だから苦手なことも欠点もない。
いろいろ突っ込むところはあったが、飲み込んだ。
皇のまっすぐな気持ちが、ただ嬉しくて尊かった。
ずっと推そう。
私は密かに決意した。




