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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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13話 筋肉がお仕事 5

「じゃあ、好きにかかってきてくれていい。僕は護身しかしない。ただし、僕が勝ったら、二度とキルコさんに近づくな」


「人間ごときが俺に勝てるわけねぇだろ。お前は死ぬ。今、ここでな!」


 ジャックはブレザーと白いシャツを脱ぎ捨てた。

 パンパンに膨らんだ筋肉が太陽の光に照らされる。おえっ、気持ち悪い。

 190㎝をゆうに超える屈強な筋肉男に見下ろされる、180㎝の細身の皇。

 一見、体格差だけで勝敗が分かるようなビジュアルである。

 

 皇は、メガネを取り、ポケットに入れた。

 前髪から透ける目が、鋭く、ジャックを睨んだ。


 か…………かっこいい…………っ!

 真面目な顔に怖さを加えたような戦闘モードの表情! いいっ……! いつものやわらかい皇とのギャップがたまらない……っ! 萌えっ!!


「死ね!!」


 ジャックがこぶしを唸らせ、皇に殴りかかった!

 皇は動かない。こぶしが、皇の美しい顔面に迫る。

 あと1mmで触れてしまう――と思った、その時。

 皇が、体を斜め前に逸らし、ジャックの手首を捉え、ぐるんとジャックを投げ飛ばした!


「…………はっ⁉」


 背中を打ちつけられたジャックは、わけが分からないという顔をしていた。

 皇は冷たく見下ろしたまま、ジャックから手を離し立ち上がる。

 かっこいい……!


「まだだ!」


 ジャックがしつこく立ち上がり、皇に殴りかかる。皇は後退しながらすっすっと避けると、一定の間合いになった瞬間、伸びてきたジャックの腕を思い切り蹴り上げた!

 美!!!!


「くっ……!! まだだこの野郎!!」


 掴み掛かろうと迫るジャックの胸ぐらが皇の細い手に掴まれる。さっと足が払われて、ジャックの背筋は再びコンクリートの地面に打ちつけられた。


「……かっ………………! な、なんだ、てめぇ……! ひょろひょろのくせに、な、なんで……!」


 やはり。この馬鹿のことだ。資料を最後まで読んでいないだろうと思っていたが、その通りだった。


「合気道、空手、柔道、少林寺拳法、剣道、弓道。大体の武道はできますので」


『襲いかかる刺客たちをそれらの武道で倒してしまうため、接近戦は不可。』

 そう資料に書いてあったのに。

 本当に脳みそのない馬鹿な男。反吐が出る。


「それと、それらを完璧にこなすためにある程度の筋肉量は必要だから」


 皇が、ネクタイをとった。

 静かに、シャツのボタンを外す。


「ちゃんと、筋肉はある」


 皇がシャツをめくる。

 中が、見えた。

 控えめながらも確かに存在する、引き締まった、美しき筋肉……!!

 

 あ……あ……あ………………。


 あぁ――――――――――――ッ!?!?!?


 叫びそうになる寸前で、咄嗟に両手で口を覆った。

 

 す、すすすすすすす、皇の、体!!

 はっ、はっ、はっ、はっ……!!

 心臓がドクドクと鳴り響いて息が上がる。

 よよよ、よすぎる……! 最高すぎる!

 好きすぎる――――――――ッ!!


「うるせぇ! 筋肉は、俺の方が上だ――ッ!」


 ジャックが腕を振り上げ、再び皇に襲いかかった。皇は、さっと体を翻してこぶしを避けると、そのまま一回転し、思い切り、しかし華麗に飛び蹴りをした!

 ジャックのみぞおちにクリティカルヒット! ジャックは宙を舞ったかと思うと、ばたりとコンクリートの床に転がった。


 ウィナー、皇!

 ジャパニーズ・武道、最高――!


「僕の勝ちだ」


 キャ――――――! 萌え――――――――――!!



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