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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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12話 文化祭で推し事 4


 一部が終わった。あとは時間いっぱいジャパニーズ・文化祭を楽しむのみ!

 窮屈でいやだったので、まだ着ていなかったコスプレ衣装に着替えた。

 黒いワンピースに、白い襟とフリフリのエプロン。白い網ニーハイ。

 着姿を見て、メイド服だと分かった。まさか、ジャパニーズ・メイドコスプレをする日が来ようとは……!

 しかも、胸元が猫の形に空いており、スカートには白い尻尾のようなものがついている。猫耳メイドというやつのようだ。衣装の山を探ると、猫耳と鈴のついたチョーカーを見つけた。

 リン、と鳴らして廊下に出る。廊下の椅子に座り、パソコンを開いていた皇が、顔を上げた。


「あ、キルコさ…………」


「おかえりなさいませ、ご主人様。です」


 猫耳カチューシャの後ろで結んだツインテールが揺れた。

 皇は、微動だにしなかった。前髪とメガネのせいで顔がまったく見えなかった。

 私は、すっとメガネを取った。

 が、なぜか両手で顔を覆い隠してしまった。はぁ、と長いため息をつき、うつむく。

 皇が、その美しい顔をやっと上げた。

 皇の顔は、紅潮していた。瞳が潤み、唇が歪んでいる。


 も……萌え萌え、キュ――――――ン!!


 そして、なんたる色気!!

 緋王様の落ち着いた色気ではない、湿っぽい色気……!

 色気を通り越してエロい! いいっ!


 皇は、小さな声で「座ってください……」と呟き、自分の隣に私を招いた。

 膝の上のパソコンのキーボードを、震える指でそっと押す。プレゼンテーションが表示された。

 皇は、この後の動きについて、A〜Gのプランを提案してきた。私が一番ワクワクするのは、日本文化らしいところ。それがより楽しめる出店を選んでくれていたようだった。ステージ発表は興味がないので、そこに行かないFのプランで回ることにした。


「では、行きましょう」


「あ、その前に」


 皇が、鞄から白い時計を出し、私に差し出した。


「脈拍計です。今日一日、僕といる時の脈を測っていただけたらと思います。証明の資料にしますので」


 画面を見ると、十一時十二分とあった。時計の機能もあるらしい。ひとまず右手首につけてみた。


「分かりました。では、私のお願いも聞いてください」


「なんでしょう」


 握手――それは今少し物足りない。

 私は、欲張る!

 

「一日、手をつないでいてください」


 皇は、大きな瞳をこれでもかというほどに見開くと、


「……わ、分かりました」


 と消えそうな声で言った。


「では、いきましょう」


 手が、差し伸べられる。キュンキュンしながら、皇の手に触れると、胸の音がドキドキに変わった。



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