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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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12話 文化祭で推し事 2

「何やってるの」


 チャイナドレス姿で写真を撮られていた時。文化祭運営委員に呼び出され、最終打ち合わせに行っていた皇が帰ってきた。

 いつのまにか他クラスからも観客が集まってきていたようで、見知らぬ豚どもが廊下にびっしり詰まっている。皇は、それらを掻き分け、なんとか教室に入って来たらしい。

 メガネがずれてまったからか、皇はメガネを外し、前髪を掻き上げた。


 うっ……。今日もいい顔…………!


 皇が、自分の着ていたブレザーで、私の肩を包んだ。

 皇のぬくもり。キュン。


「最終準備の時間だから、みんな着替えて。他のクラスのみんなも、あと二十分ではじまるから、急いで戻って」


 皇が冷たい声でそう言うと、豚どもはのろのろと自教室へ帰っていった。我がクラスの豚どもも、ぶうぶう鳴きながら自分の赤い衣装を手に取った。


「何してたんですか」


「ジャパニーズ・コスプレです。衣装係に着て選ぶよう言われて」


「元凶は衣装係ですか。あとで先生に報告しておきます。ひとまず、これが本当の衣装だと思うので、着替えて来てください」


 渡された衣装は、体にピッタリと貼りつく白いロングドレスだった。大きく開いた胸に、マントのクリップがついている。胸が窮屈な上に、クリップが食い込んで鬱陶しい。


「い、いい…………っ!」

「なんてプロポーション……!!」

「まさに、女神……!」

「最高です…………っ!!」

「たたた、たにま……! えるでさんの、たにま…………!」

「バスト98、ウエスト54、ヒップ86とみた……!」


 パシャパシャと、赤い衣装の豚どもが膝をついて私を撮る。

 その時、皇が更衣室から帰ってきた。

 はぁ……っ! まるで、アイドル……ッ! 豚どもと同じ衣装だが、全然ベツモノに見える……っ! 

 緋王様のステージ衣装姿といい勝負! つまり、美しく、かっこいい!!!!

 私は、運命写真機で、皇を撮った。私を見たまま呆然と立ち尽くしている皇が写真に浮かび上がる。いい……! 皇のアイドル衣装ブロマイド、ゲット!!


「エルデさん! こっちを!」

「いやいや、こっちを見てください!!」


 私に向けられるスマホたちを見て、私は羨ましくなった。

 いいな、スマホ……。スマホがあれば、無限に今日の皇を撮れたのに……。



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