(番外編)10話 皇 秀英の重要会議 7
――推し…………。
推し…………。推し…………………………。
キルコさんが帰り、僕は自室の畳に仰向けになり、呆然としていた。
今日は78%の出来だった。正直母がいなければ96%くらいにはなった。そのくらい、僕はキルコさんをよくおもてなしできていたと評価していた。
だけど……。
キルコさんの僕への気持ちが、恋愛感情ではなかったことに、僕は、この上ないショックを受けていた。僕はちゃんと、恋愛的感情の「好き」ではなかった場合のことも想定していた。なのに、どうしてこんなにショックなんだろう……。
推し…………。
なぜその可能性を考えなかったんだろう……。
キルコさんの言動――「ファンサ」や「顔が好き」から、十分考えられたのに。
僕は、キルコさんが僕を恋愛的感情で好きなのだと98%信じこんでいた。それは僕がそうであって欲しいと思っていたからだ。愚かだった。いつものように冷静に考えられなかった自分を悔やんだ。
でも、キルコさんは僕に好感を持っている。
推しではなく、恋愛感情なのだと思い直してもらえるよう、計画を考えよう。
完璧な準備と、数字と定義。これがあれば、絶対、間違えることはない。
僕は起き上がり、パソコンを開いた。
すでに考え終わっていた、「キルコさんにお付き合いを提案する日の計画」のプレゼンテーション資料を開く。
予定していた日付を消して、一月後の日付に打ち直す。
そして、新しい計画書のファイルを開いた。
僕は絶対にやり遂げる。
キルコさんと人生の最後を迎えることができる確率を、100%にするために。




