(番外編)10話 皇 秀英の重要会議 3
「奥様、大丈夫ですか?」
「すっ! 好きな子! 秀ちゃんが……! 人に興味がなかった、秀ちゃんが……っ!!」
「どんなところが好きなんです?」
「どちらから告白を?」
「ききたいわぁ」
「それは本論とは関係ないので割愛します。ただ、好きという気持ちを伝えることも、お付き合いを提案することもまだしていません」
「あらあら、照れちゃって」
「坊ちゃんも人間らしいところがあるのねぇ」
「待って、秀ちゃん! つつつ、つまり、今回お呼びするのは、告白をするため……ってこと!?」
「いや。前に帰り道でキルコさんから好きだといわれたから、それがどんな意味の『好き』なのかを確かめるため」
「え!?」
「坊ちゃん、それはもう両思いでは!?」
「キルコさんは、同じクラスの男子に話しかけられても一切口を開きません。ですが、僕に対してはキルコさんから話しかけてくれますし、顔が好きだと言ってくれたことがあるので、その可能性はあるのですが、まだ定かではありません」
「もう! そんなの、いちいち確かめなくていいじゃない! 好き! 付き合おう! って当たってみればいいじゃない!」
「でも、確かめてみて、もし坊ちゃんを恋愛として好きだとキルコさんが言ったら、告白するんでしょう?」
「正式にお付き合いできるか確かめる日を別に設けます。確実にお付き合いできるよう準備しなければならないので」
「なんでなの?」
「坊ちゃんは準備と数字と定義でできてますから……」
家政婦長のトメさんが、昂る母にひそりと耳打ちした。




