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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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9話 お呼ばれでお仕事 4

 一室分ありそうな玄関を通ると、まずは居間のようなところに通された。畳の上に小さないすと机が並んでいる。

 タイツ越しに、つま先で畳を触る。


「ジャパニーズ・畳……」


 つやつや、でこぼこして気持ちがいい。ああ、裸足で来ればよかった。

 椅子に座ると、家政婦がお茶を出してくれた。

 温かい薄めの緑茶にほっと一息つくと、目の前の大きな画面に、「本日の日程について」という字が映し出された。


「これから、本日の日程について、プレゼンテーションおよび検討会をさせていただきます」


 皇が、テレビの横に立っていた。リモコンをテーブル上に置かれたままのパソコンに向けると、画面が切り替わった。皇の母は、私の右隣のソファに座って背筋をピンと伸ばし、皇を見つめていた。


「まず、A案です。まず、午前のはじめに、着物に着替えていただきます。着物は、母のものから好きなものをお選びください。その後茶室にて、茶道体験を行います。昼食は12時に小和室に用意いたします。なにかアレルギーや苦手なものがありましたらおっしゃってください。午後は13時から、次のうち好きなものを選んで体験していただこうと思います」


 画面が切り替わった。

 花道、書道、香道、琴。

 憧れの日本文化とその画像が並んでいる。


「ぜ、全部できるのですか」


「はい。ただ、時間が限られていますので、お好きなものを二つほど選んでいただけたらと思っています」


 全部やりたいところだが……!

 ここは、緋王様の得意とする書道をぜひとも選びたい!

 もう一つをどうしようか考えはじめたところで、画面が切り替わった。


「なお、おかえりはお夕食前の16時半を予定しています。お夕食もご一緒できるようであれば、ご用意します。

 次に、B案です。まずはじめに、先ほどお見せした物のどれかを体験していただきます。12時に昼食をとり、13時からもう一つ選択いただいた体験をしていただきます。その後、着物に着替えていただき、茶道体験を行います。

 A案ははじめに着物を着るパターン、B案は終わり頃に着るパターンです。着物を着るのがはじめてとのことでしたので、着物を着たまま食事をとるのが不安であればB案がおすすめです。ただ、今日は基本的に母がついているということですので、苦しければいつでも着替えられます。なので、A案を選んでいただいても構いません」


 考えるまでもない。


「すぐに着物を着たいです。A案で」


「分かりました」


「午後は、書道と、もう一つはお任せします。ただ、二つ、入れてほしい内容があります。

 一つは、写真を撮ることです。皇さんの」


 機会を逃してまだ撮っていなかったのだ。


「もう一つは、お庭を見ることです。午前午後どちらでも構いませんので、予定に入れてください」


 この豪邸には、立派なジャパニーズ・庭園が広がっていた。真ん中の池にいた鯉たちもじっくり見てみたい。


「盲点でした。では、それは午後にいれます。16時半までの予定だと茶道、書道以外の体験を入れるのが難しい可能性がありますが、帰宅時間は延長されますか」


「とりあえず大丈夫です。写真が撮れれば、かなり満足ですので」


「決まりね! じゃあ早速、着替えに行きましょう!」


 皇の母が、明るい声で話を割った。


「写真を撮るにしても、2人並んで撮った方が記念になるし。ささっ、行きましょう」

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― 新着の感想 ―
皇の母もわかっておるようじゃな!そこ大切じゃよ!ふふふじゃ。
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