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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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8話 銃撃でお仕事 5

 終会が終わるとすぐ、私は屋上にワープし、死神の姿に変わった。

 玄関から歩いていく皇の姿を見下ろす。

 また様々な部活から声を掛けられているが、あまり声が出ないのだろう、「ごめん」というジェスチャーをして断っていた。


 皇は豪邸住まいの大金持ちだが、登下校に車は使わない。電車もバスも使わない。

 40分かけて徒歩で登下校しているのだと、引継ぎの資料に書かれていた。

 

 私は、皇の跡をつけた。人のたくさんいるところに出たら姿を見せてみようかと思ったが、全然、人気のあるところに出る気配がない。ずっと人も猫もカラスもいない閑散とした裏道を歩いている。

 あるところで右に曲がって、私は、はっとした。


 ジャパニーズ・居酒屋……!


 日本酒と、ジャパニーズ・つまみの宝庫……!

 あ、この店のメニューに書いてある日本酒、この前の「ひおさんぽ」で緋王様がおすすめしていた銘柄では?

 おつまみに、牛筋の煮込みもある! ほかほかの煮込み、食べてみたかったのだ……。

 緋王様の「ひおさんぽ」で巡っていたところではないが、この仕事が終わったら帰りに寄って……。


「キルコさん?」


 はっと皇の方を見る。

 皇が、振り返っていた。

 はっきりと私の方を見ているわけではなかった。

 だが、きょろきょろとあたりを見ながら、私の方に近づいてきた。

 しゃがんで店の看板を眺めていた私は、とっさに看板の後ろに隠れた。皇が、ゆっくり前を通過していく。

 見えていない? だが、やはり何かに気付いていた様子だった。

 確かめるなら、今か。


 私は、JK姿に変わった。


「皇さん」


「キルコさん。やっぱり。どうしたんですか? こんなところで」


「ちょっと用事があって。それより、どうして私がいるって気付いたんですか?」


「準静電界です」


 人が発する微弱な電流――つまり、気配を察する、ということらしい。

 え? 私、神だが? 神にも準静電界があるのだろうか?

 おそるべし、科学。おそるべし、皇の察知能力。


「でも、どうして私だと?」


「僕もまだ準静電界について十分な研究ができておらず、はっきりとしたことは言えないのですが……なんとなく、キルコさんのことは分かるんです」


 なぜ……?

 しかし、皇にも分からないなら、これ以上追求しようがない。

 諦めよう。


「ところで、用事とはなんですか?」


「もう済みました」


「そうですか。それなら、この先の道は危ないので行かない方がいいです。戻って、右に曲がると安全に駅の方に行けます。送りたいのですが、この道だと、僕が一緒にいる方が危険なので、せめて見送らせてください」


 皇が道に手を伸ばし、帰るように促す。

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