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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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8話 銃撃でお仕事 3

 リン、と電話の音が聞こえた。

 ハデスめ。いい気分の時に……。しかも、こんな朝っぱらに!

 だが、出ないわけにもいかない。またここに来られては余計面倒だ。

 仕方ない、仕事モードに切り替えるか……。

 10回目のベルで、ようやく私はワインの瓶の中から黒電話を引き上げ、受話器を取った。


「おはようございます、ハデス」


『おはよう、キル・リ・エルデ。昨晩、標的の魂を届け忘れなかった? この後来られそう?』


 相変わらず意地の悪い……。湧き上がる怒りを飲み込んで、えほんと咳ばらいをした。


「本日も誠心誠意努めてまいります。必ずお届けしますので、お待ちください」


『毎日頑張るね。それでも狩れないのには、何か理由があるのかな?』


「特にありません。しばしお待ちください」


 受話器を置こうとして、はたとした。


「……一つお伺いしたいのですが。死神を見ることができる人間の存在に、前例はありましたか」


『西洋でも東洋でも聞いたことがないよ。そんな存在がいたら大問題だ。一秒でも早く魂を狩らないと』


「分かりました、ありがとうございます」


 今度こそ受話器を置いて、私はため息をついた。


 ウィルスに罹った皇の元へ行ったとき、皇は、本来目にできるはずのない死神姿の私を見つめた。

 本当に見えていたのか? 見えていたとしたら、なぜ?

 それを知れば、資料にあった「死神の姿で遠距離から仕掛けた攻撃も回避した」という理由も分かるだろう。

 皇が学校に来次第、調べてみるか。

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