8話 銃撃でお仕事 2
イベントがはじまると、緋王様の神々しい人間性が炸裂した。
「皆さん、今日はお忙しいところ、完成披露試写会イベントにお越しくださり、本当にありがとうございます。原作者の先生や監督、キャスト、スタッフが一丸となって、愛を込めて作った作品です。ぜひ皆さんにもたくさん愛していただけると嬉しいです。今日はよろしくお願いします」
礼儀正しい主演挨拶! そしてその後、次から次へと緋王様の素晴らしい人間性を表すようなエピソードがキャストや監督から紹介される。
「毎日、キャストやスタッフ全員に差し入れを手渡しでくれるんです、感謝の言葉とともに」
「主演が決まってすぐ、監督と原作者の意図をしっかり反映したいから話しを聞く機会が欲しいって話をもらって。3人で、3時間以上話したんです。その時の彼の真剣なまなざしで、この作品は成功する、絶対最高の作品になるって確信しました。作品と役柄に本気で真摯に取り組んでくれた。彼以上にこの作品の主演にふさわしい俳優はいません」
「あれだけのアクションをスタントマンなしにこなせる俳優は、なかなかいないと思ってて。もともとの身体能力の高さもあるんでしょうけど、僕は知ってるんです。毎日夜遅くまで撮影した後、ジムに行って努力していたこと。誰にも何も言わずに密かにやっているのが、彼の人柄を表しているというか……本当に最高の俳優です」
称賛の言葉をもらっても、緋王様は静かに俯き、ときどきかすかに首を振るばかり……。その所作も美しいが、最後にマイクを持った緋王様は、とても謙虚に「恐縮です」と呟いた。
「皆さんにお褒めいただきましたけど、僕がここにいられるのは、本当に皆さんのおかげやと思ってて。ここにいる人たちだけじゃなくて、それこそアクション指導の先生とか、ジムのインストラクターさんとか、本当にたくさんの人たちに助けてもらって、ここまでこられました。何より応援してくださるファンの皆さんのおかげです。いつも僕にたくさんの愛と力をくださり、ありがとうございます」
深々と礼をする緋王様に、大きな拍手が浴びせられる。私も感動で涙を浮かべながら、拍手を送った。
ああ、素晴らしい。なんて人格者。人間的魅力の塊。好きすぎる……!




