7話 ウィルスでお仕事 2
時間になった。ライトが消え、キャア! と高揚した悲鳴が上がった。
これ以降は、絶対に皇のことは考えまい。緋王様のことだけを、推しに推しに推しまくるのだ!
「こんにちは―! ニッポンDANJIでーす!」
ギャ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!
ほほほほほほほほほほほほほほほほ本物! 本物本物本物本物ほほほほほ本物の緋王様――――――――――!!!!!!!!
「今日は、来てくれてありがとさん。皆に会えて嬉しいわぁ」
ギヤァアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!
ほほほほほほほほほほほほほほほほほほ本物の、本物の緋王様が、しゃ、しゃ、シャベッタァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!
生きてる! 生きてる生きてる生きてる!! こんなかっこいい存在が、この世に存在するものなの!?
うう、かっこいい……っ!!
涙やら何やら、体中から歓喜の液体が噴射する。
――さ、さいっこうだった……!
生緋王様の美しい顔面と存在感、身体中から放たれる輝き……!
これが、ジャパニーズ・「尊い」……!
登場からずっと指を組んで涙を流し続けていた私は、「こっちをみて!」のうちわを振ることができず、ファンサをいただくことができなかった。惜しい気持ちもあるが、何より尊かったので、今日はいい。緋王様の存在に感謝。
来てよかった。やはり緋王様は私の推しだ。皇を「推せる」などと思った自分の愚かさに気づかされた。ファンサをもらえなくても、存在を崇めるだけで、これだけ幸福になるのだ。レベルが違う。緋王様は偉大。偉大な推し。唯一神。一生推す。
しかも……上裸のチラ見せ! 生裸! あぁ~~~~~~~~っ!!
もう、死んでしまうかと思った! 何もかもが最高だが、とりわけ、あの体の引き締まり方は最高すぎる! 理想の細マッチョ! 好きすぎる! あんなに美しい体はこの世に一つしかない! 緋王様こそ日本の宝。いや、世界の宝! おっと、よだれが……。
はぁ……。本当に、永遠に生きていてほしい。
いつかこの方に死神の鎌が向けられることがあれば、私がその死神を殺してやる。
最後に、7月にこのツアーの締めくくりとして、ドーム公演が行われることが発表されたのも興奮した……!
今回のアリーナツアーとはまた違う演出と興奮が得られるはず! 絶対行く! 今から楽しみだ!!
緋王様のおすすめの日本酒をたんまりと手に入れて帰った。
幸福感に浸ったままソファに寝そべり一升瓶を開けると、リン、と電話が鳴った。
パチンと指を鳴らし、留守電に変える。
どうせハデスからの明日の仕事の催促だろう。
今日は寝るまで余韻に浸る。
ぐっと日本酒を体に流す。
ああ、久しぶりの日本酒! 生き返る!
明日はいい仕事ができそうだ。




