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6話 ファンサで推し事 3
3限は体育、4限はコミュニケーション英語だったために、その後のリベンジは叶わなかった。
4限が終わると、いつものごとく、豚どもが私を取り囲み、昼食を誘ってきた。
「ごめん。ちょっと道あけて。
キルコさん、行きましょう」
豚どもが、ばっと皇を振り向いた。
どの休み時間も自席に座っていた皇がそんなことを言ってくるなんて……。正直、私も驚いていた。
「なっ……なななっ! 皇っ! 貴様……!」
「キルコさんと、ふふふっ、2人きりになるつもりかっ!?」
「おのれ、許さんぞ! ボンボンで学年一位の天才な上に、エルデさんをも手に入れようなど!」
「そうだ! 抜け駆けは卑怯だ!」
「金曜日に直接許可をもらったから、問題ないはずだけど。ごめん、時間もったいないから、続きは放課後に」
ブヒブヒと豚どもが文句を垂れ、邪魔をしてこようとしたので、適当に念じ、食堂に流れるように暗示をかけた。ぞろぞろと教室を出ていく豚どもの姿にほっと安堵し、
「僕たちも行きましょう。屋上でいいですか」
と皇が言った。手には、紺色の弁当袋があった。




