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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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15話 恋愛証明でお仕事 2

皇家の車に揺られ辿り着いたのは、スカイツリーだった。日本のシンボルの一つ……! 

 せっかく日本に来ていたのに、まだ足を運んでいなかったのだ。ナイスチョイス、皇!


「あの人、かっこよくない⁉」

「っていうか、緋王くんに似てない⁉」

「似てる似てる! もしかして、本物⁉」


 えっ⁉ 緋王様⁉

 慌ててあたりを見ると、皇の声が聞こえた。


「キルコさん」


 声の方を見て、はっとした。

 前髪を、緋王様のように真ん中に分け、美しい顔をあらわにした皇……! 白いシャツに、黒いテーラードジャケットで、いつもより大人びて見える……。

 美しさ、マシマシ……! 輝いて見える……! 美…………っ!

 そんな尊い美しき男が、微笑を浮かべながら私の方に近づいてくるのを、周りの人間たちは呆然と眺めていた。


「今日は遅い時間にありがとうございます。それと、今日も綺麗にしてきていただき、ありがとうございます」


 私は何も考えず、黒のミニワンピースをさっと着てきただけだった。髪のセットなりなんなりで時間をかけたのは、皇の方だっただろう。

 皇が、すっと手を差し伸べてきた。


「よければ」


 きゅ――――――ん!

 手の差し伸べ方、微笑み、きゅ――――ん!

 萌え……っ!

 手をつないで歩きだすと、周囲がひそひそ囁き合った。


「あぁ、やっぱり彼女さんかぁ……」

「彼女さんも綺麗〜……。モデルかなんか?」

「もしかして、撮影?」

「似てるけどやっぱ緋王くんじゃないっぽいね」

「でも、めっちゃかっこいい〜!」


 緋王様のようだと噂されていたのは、皇だったのか。たしかに、髪型が同じだからか、いつもよりいっそう似ているように見える。皆、そう思うのだな。


「今日は、メガネではないんですね」


「大切な日なので。コンタクトにしてきました」


「持っているんですか?」


「武道の稽古の時は基本的にコンタクトなので」


 武道の稽古をしている皇……⁉ 見たい! 道着姿、絶対にかっこいい! 想像するだけで萌える……!

 

 エレベーターに乗り込み、上層階のレストランに通された。夜景の見えるソファ席に並んで座る。

 いつもの昼休みと同じようだけど、少し違う。皇が美しすぎるからだろうか。少し暗くて、ムードがあるからだろうか……。

 目の前に広がる東京の景色にも感動した。これが、日本の夜景……。先進的で整っていて、美しい。


「ここでの食事が終わったら、最上階に行きましょう。その方が、もっといろいろな地域が見えますので」


「はい」


 話題が途切れた。景色を眺めながら、ふと、今日の仕事について考えなければ……と思った。

 運命写真機で、皇を撮る。

 美…………!


 ぶわりと文字が浮き出す。

 今日は私の手でどうにかつくりだすしかなさそうだ。

 ここにある凶器となりそうなものといったら――。

 

 あれを使うか。



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