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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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14話 映画の後でお仕事 10

 結局、二人で平らげる形になった。最後の一束は私に譲ってくれた。

 皇は足りなかったのか、いつのまにか私と同じパフェを頼んでいた。

 甘ったるい抹茶クリームを口に運ぶ。中のスポンジも抹茶味のようだった。

 私の興奮は落ち着いていた。


「質問していいですか?」


 皇を見た。メガネと前髪で顔が隠れている。許可を出し難い。


「顔を見せてくれたらいいですよ」


 皇は、あっさりメガネを取った。そして、前髪を掻き上げた。

 ドキッ――。

 やっぱり、緋王様に似ている……。

 落ち着いていた興奮がじわじわと復活してきた。


「比較検証に関する質問です。三点、質問させてください。

 一つ目です。僕への反応と彼への反応には結構な差があるように思います。例えば、彼が登壇した時と話しはじめた時、キルコさんは、僕の腕をものすごい強さで握って喜びました。僕に対してはそのような反応はありません。その理由はなんでしょう」


 皇のカーディガンの二の腕部分がわずかに伸びていた。私が握ったところらしい。あまりの興奮で、皇の二の腕を握ったことさえ自覚がなかったし、力加減もよく分からなかった。

 

「よく会えるか会えないか……あとは、推しでいる期間の違いでしょうか」

 

「なるほど。

 二つ目です。彼に望むこと、僕に望むことに違いはありますか。また、それぞれに望むことを具体的に教えてください」


 難しい。違いはあるが、これもやはり距離感の違いによるものだ。もし緋王様と皇の立場が入れ替わったら、皇に要求していることを緋王様に――いや、要求できない。恐れ多い! 緋王様が皇の立場になったら、私は私を見てくれるだけで、嬉しくて昇天するだろう……。

 そう思うと、皇と緋王様への気持ちは、同じ推しでも違うもののように思える。緋王様へは崇拝の気持ち、皇へは――もしかすると、甘えてしまっているのかもしれない。そしてそれが心地よい――そんな気持ちなのかもしれない……。

 そう考えたことをつらつらと呟きながらパフェにスプーンを刺すと、中から一口サイズの餅が出てきた。

 だが、白くない。透明だ。

 これは……?


「わらび餅です」


 これが、ジャパニーズ・わらび餅……! 口に入れると、やわらかくてとろけるような餅食感で感激した……! 甘さも控えめ……! まさにジャパニーズ!

 皇の口元が、ふっと緩んだ。突然の微笑みにキュンとする……!

 だが、皇はすぐにまた真剣な顔に戻った。そして自分のパフェをどかし、パソコンを開いた。


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