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死女神キルコの推しごと  作者: 鈴奈
第7話 ウィルスでお仕事
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14話 映画の後でお仕事 8

 ぐすぐすと鼻を鳴らしていると、「お待たせいたしました。それでは、キャストと監督が登壇いたします!」と司会者が言った。

 キャアアアアアアア!! と黄色い歓声が沸き、目を上げる。


 ひ、緋王様が……来たぁあ————っ!!!!


「あああああああっ! ほほほほ、ほんもの!! ほんもの!! ちかっちかっちかいっ!!!!」


 私はハンカチとうちわを膝に落とし、なにかを握りしめた。

 生緋王様! 黒スーツ緋王様!! かかかかか、かっこよぉおおお~~~~っ!! 二列目だから最高に近い! この前のライブより近い気がする! 心なしか、いいにおいがするっ! ああぁっ……! 嬉しい……!


「――では、主演の緋王さん。最初に一言、ご挨拶をお願いします」


「皆さん、こんばんはぁ」


 キャアアアアアアア!!!!! しゃべったあああああ!!!!

 目の前の緋王様が、しゃしゃしゃしゃ、しゃべってる! ほほほ、ほん、ほんもの……!!


「この度はこのような遅い時間に、劇場まで足を運んでいただき、本当にありがとうございます。お仕事終わりの方、学校終わりの方、いろいろな方がいらっしゃると思いますが、作品一つみるのは、心の力がいるものやと思います。お疲れのところ、この作品のために心の力と時間を割いてくださった皆さんに、心から感謝します」


 ひっ…………! な、なんて美しい礼のお心……。尊い……。

 感動して、涙がじわりと滲み出た。


 ――その時だった。


 緋王様がこちらを向いた……!


 …………⁉


 目が合っているかは分からない……!

 だが、確実にこちらを見ている! 私を見ている!!

 私は声にならない声を出しながら、「わわわわわわわ……!」とわけの分からぬ声を漏らしながらぐいぐい皇を引っ張り、やがてうちわの存在を思い出した。だが、うちわに書いてあるのは「こっちみて!」と緋王様の名前である。もうこっちを見てくれているし、意味がない!

 くっ……! 「大好き!」のうちわをつくってくればよかった……!


 もだもだしていると、緋王様の視線が離れてしまった。

 ああ……。


 残念ではあったが、その後の質問のお答えもすべて素晴らしかった。緋王様イズ崇高…………。


「それでは、最後に一言お願いします」


 あっという間に時間になってしまった。緋王様がマイクを握る。


「今日は、本当に長い時間お付き合いいただきありがとうございました。上映開始は二週間後になりますので、ぜひお友達や職場の人たちに広めてもろたら嬉しいです。暗いので、気ぃつけてかえってくださいね。

 ――僕に、殺されないように」


 キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

 最後の、最後の台詞!!!!

 萌え!! 萌え!! やばい!! 萌え!!

 しかも、私の方を見たっ!!!! 絶対見た!! 嬉しすぎる!!!!

 あああ! 緋王様になら殺されてもいいっ!!

 むしろ後ろから襲ってほしい!!

 私は神なので死なないが!!


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