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流天の剣女 -蒐-

こちらはカクヨムでも連載している作品です。自分が学生時代に監督、脚本をやった実写映像作品、「流天の剣/女」の小説版となります。YouTubeでも配信されているので、どうぞ。

※この回はプロローグ的な立ち位置になります。読み飛ばしてもらっても以降の話に支障はありませんので、ご自由に。





 2022年、秋。日本某所。時刻は24時。静かな道路の上に白装束を来た少女が倒れている。すぐ頭上の電灯が彼女を物語のヒロインとでも言うように冷たい光を降らしていた。


 僕はソレを予定通り保護した。




─────────────────────


 ざあざあ、びたびたと雨が地面を叩いている。

しかしわたしはこの音を知らない。


 暗い空にあったはずの無数の輝きがずっと見えない。代わりに光を灯した細長い塔が、この道に何本も建てられている。

 この光景もわたしは知らない。


 胸の中に暖かくて冷たいモノが潜んでいる。それがわたしをこうして歩かせている。

 この感覚も、わたしは覚えがなかった。


 生きている。感じがする。


 死んでいる。感じもする。


 夢を見ているみたいに意識が朧気だった。視界がオカシイものでずっと満たされていた。

 でも地に足はついていて、黒く硬い地面を踏み込むたびにジグジグとした痛みが走るのだった。

 それならきっと、これは現実なんだろう。


「いるの? ●?」


 家族の名前を呼ぶ。●はわたしを助けるために、幾年もの時を一人で過ごしてきた。同時にわたしも●をずっと待ち続けていた。


 いつかの約束を果たすために、あなたをずっと待ち続けていた。


 ———静かに眠れる場所に行こう。一緒に生きて、そして死を迎えよう。


 どれだけ離れていても。どれだけ時間が経っても。わたしたちはこの約束を忘れなかった。

 ああ、今流れているこの時間がどうか止まらないでいてくれますように。

 もしくは、永遠の物になるように止まってくれますように。


「———……いたぞ!」


 後ろから人の声が。幾つもの足音が迫ってくる。


「ああ、ああ……!」


 まただ。こうして人はわたしたちの平穏を邪魔してくる。ずっと追ってくる。わたしたちの存在を否定したい誰か。この世の悪いことをわたしたちのせいにしたい、世界の意思。どこにも居場所はなく、今にもひしゃげてしまいそうなこの足を必死に動かすしかない。もう放っておいてほしかった。ただ生きていられればそれだけで十分なのに、どうしてみんなは許さないの?


「待て!」


 軽々と動かせていたはずの身体。でも今は重い石を全身に吊るされているみたいで自由が利かない。


 追いつかれてしまう。


 また、あの真っ黒な部屋に閉じ込められてしまう。


 もう、嫌だ。


「———邪魔だ」



「クソ! 逃げるな、何としても奴を捕まえろ!」

 そう叫ぶ有象無象を彼女は一撃で叩き伏せた。それに伴い他の兵士が狼狽える。噂通りだ、我々が適うはずがないと次々に物を言う。次第に戦意を失って逃げ去る者も出てきたが、お構いなしだ。ソレは目に入った生体を容赦なく貫いていく。


 彼女の手には一本の刀が握られている。それ自体に何か特殊な施しがあるわけではない。ただ剣を振るう彼女の動作が凄まじすぎるだけだった。


 とても剣術と呼べるものではない。ただ無茶苦茶に、荒々しく棒を振り続けている。そしてその足も先ほどまでとは様子が違っている。たどたどしく歩いていたはずの細い足は一息で敵との間合いを詰める。相手が防御の構えをとった時にはもう、段々と近づいてくる地面が最期に見る光景となる。


 そうしてただの一人も逃すことなく、今日もソレは生き延びたのだった。


 こんな話があった。

 意思を持つ刀が次から次へと人の身体に乗り移り、そして千年も前に囚われた主をずっと探し求めていたと。


 そしてあるとき。そんな怪談話の元になった村から、剣を背負った白装束の少女が出てきたんだとか。行く当てもなく、今も彷徨(さまよ)い続けているのだとか。


 夜を歩いている時に会ってしまったらすぐに斬り殺されてしまうらしい。


 由来は不明だが彼女は、「流天(るてん)剣女(けんにょ)」とかいう名で呼ばれているそうな。


 どうかあなたも気を付けて。深夜に歩く際は気を付けて。

 見た目麗しき亡霊に、つい斬り殺されてしまいますよ。




















※何言ってるかわかんねえと思った方はフォローと応援よろしくお願いします。

次回も何が起こってるかわかんねえので是非お読みください。


※次回の佐々木迷宮-1は、13,000文字のボリュームになってしまっていますのでご了承ください。



 


言ってる意味がわからねえと思った方はぜひ次もお読みください。

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