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05.詐欺師だけど世界救ってみた(`・ω・´)」


勇者はもうどうにもならん。

世界はもうおしまいだ。


俺はそう思い、勇者を適当に宥めすかして宿で寝かしつけた後に脱出した。

ダミーの気配を発する装置を置いてきたのである程度時間は稼げるだろう。


意気揚々と街を出て街道に入った俺だがここで盗賊に襲われた。

それ自体は大したことではない。

なんせ俺はこれまでこの貧弱で戦闘力0の体で行商と詐欺で生きてきた身だ。


相手が知性ある人間であればどうとでもなる。なんなら仲間になって盗賊側につくことも吝かではない。盗賊達を護衛に俺が商団に詐欺を働いても良いのだ。なんなら盗賊を使い他所の盗賊相手に詐欺を働くことも可能だ。

知性ある存在は全て商売か詐欺の対象。金儲けの道具だ。


自信満々な俺!

おおっと、しかしここでモンスターが!?


多重事故過ぎない?俺の人生どうなってんの?

盗賊に倒せる範囲ならともかく、どう見ても盗賊で対処できるレベルではない。魔王の使い魔とかにいそうなレベルの立派なドラゴンゾンビだ。

知性や理性も蒸発してそうで詐欺ではどうにもならんだろう。


俺は人生を諦めた。

短い自由だった。

勇者から脱走したことに関して微塵の後悔もない。

妹の花嫁姿を見られなかったことは心残りだが、奴ならなんか良い感じの金持ち捕まえてうまいことやるだろう。

来世の俺、ガンバレ!


そう思いながら目を閉じる。

なんかすごいやばそうな音と盗賊達の断末魔が響き渡っているが運良く俺には傷一つない。

ドラゴンゾンビの咆哮が聞こえ目を開ける。


血飛沫が目の前を覆った。

ドスンと音を立ててドラゴンゾンビが地面に横たわる。


「フラウさん……」


ドラゴンゾンビの血飛沫を浴びた勇者がそこにいた。

盗賊達も皆殺しにされている。傷跡が全て刀傷だったのは見なかったことにしよう。




「本当に、なんでも……どんなことでもします」


かくしてプロローグに繋がるわけだ。

5話にして月明かりに照らされ血塗れで跪くイケメンヤンデレ勇者の完成だ。


「置いていかないでください。死なないで……俺のそばにいてください。お願いします」


ふう、仕方ないな。

ちょっと世界救っとくか。

このまま離脱しようとすれば狂った勇者に斬り殺され来世にご期待エンドもありうるからな。


俺は勇者に手を差し伸べた。


「わかりました、この世界で一緒に生きていきましょう」


訳・だから世界滅ぼさないで。


「フラウさん……」


勇者が微笑み俺の手をとった。

やりましたよ!俺、勇者から世界を救いました!!


「本当に……ずっと一緒ですよ?」


ハイライトゼロの瞳が俺を見る。

ゾクっときた。


闇堕ち回避できてない!?

どうやら世界の危機はまだ終わっていないようだ。

油断したらまたこの勇者、闇堕ちして世界滅ぼそうとするかもしれない。


まあ、勇者が世界滅ぼしても俺の事は殺さなそうだしいっか!

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