00. 勇者が俺のせいで闇堕ちして世界滅ぼすかもしれない(´・ω・`)
「本当に、なんでも……どんなことでもします」
俺の前に跪いた勇者様に背中に汗が吹き出す。
返り血を浴び、月明かりに照らされたイケメンは中々にホラーだ。乙女ゲーなら闇堕ちスチル。
バッドエンド確定では?
え、まだプロローグなのに俺の行く末確定してるの!?
ちょっとまって!?
「あなたが望むなら勇者なんてやめますし、あなたのためなら魔王にすげ変わることも王国を倒すことも、世界を滅ぼしたって構わないんです……だから……」
「いや、世界は滅ぼすなよ」
俺の為に滅ぼされる世界ってなに?
規模が大き過ぎて付いてけないんだけど。
全米が泣いてもピンとこないし東京ドーム何個分とか全然わかんない。
世界滅ぼすとか魔王になるとか国を滅亡させれるとか気軽に言っちゃうの?
マジでできるの?
勇者強過ぎない?
そう、勇者である。
俺は目の前にいる青年を改めて見た。
勇者ソール・ウォルンタス。
若くして聖剣に選ばれた王国期待の教会公認勇者。
のはずが飛んだ地雷案件である。
「置いていかないでください。死なないで……俺のそばにいてください。お願いします」
ところで勇者改めて地雷男が頭を下げている俺。
俺の職業、詐欺師なんだけど。
世界の存亡は一人の詐欺師に託された!
それでいいのか。
どうしてこうなった。