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螺旋と教室とB子の家と

私たちは車を追って走っていた


追い付けるよな。

俺が走ったときは追い付いたぞ。


と言っている本人は乗っていて本当に足が早いのかも分からない



クラスの皆で郊外に出掛けていた


荷物を乗せた車が先に戻るから追いかけて走ってこいと言うのだ


信号待ちを見つけ少し追い付くも見えなくなりそうにもなる



私は先頭を走っていた


それぞれいた場所が違うから車が走り抜けたあとに向かう方向が近かった私は有利だった



クラス一秀才の男の子が私の後ろまで来ていて抜かされた


私は近道をして抜かす


それに着いてきて抜かされる



というのを何度が繰り返し


彼の方が先に学校に着いた


学校に着くとまずは地下にある自分のロッカーから鍵を出しにいく


螺旋階段を7段くらい降りるのだが


律儀に階段を走り降り始めた彼を見て


私は螺旋階段の途中途中にある掴める太さの柱を掴み体全体で半円を描きながら降りていく


柱を掴んでは重心で半円を掴んでは半円を描いて

コンパスのように降りていく


圧倒的に早い


私が降りきったとき彼は私の動きを真似していた




集まるまでは休み時間のようなもの


螺旋階段で駄弁っている人たちが沢山いる



私は横目に階段を上った




そのあと教室に戻り片付けをした

修学旅行で来たのかというように自分の物があちこちに散らばっている

自分の机の中には教科書も入っている


担任の女の先生が片付け始め、と言うと

皆は持ってきた箱や鞄や貰った段ボールに自分の物を詰めていく


何人かは席を外れて片付けている



これはもう良いかしらね?


と先生がまとまったと思われる箱を見つけて教室の隅にまとめていく



私の裁縫道具は後ろの方だ

私も席を外した

教室の後ろの方にしゃがみ

小さい毛糸達を集め始める

ハサミもある


誰かが引っかけたのか箱の中にまとまっていたはずの道具は床に散らばっていた


危ないなと思いながら

ハサミを手に取ったとき


私の頭の上から誰かが毛布をかけ

私か見ていた場所は真っ暗になった


なにこれ毛布?

落ちてきた?

なわけないか


毛布を避けたとき

また毛布をかけられた


私はそこでぶちギレた



毛布をかけた人へもそうだが


この薄暗い教室にも腹が立った




先生、なぜ教室は薄暗いんですか?


私は今、裁縫道具を片付けていました。

ハサミももちろん針もあります。

裁縫道具は危ないものばかりです。


そして、誰かに毛布をかけられ私の視界は真っ暗になりました。


外は明るいのになぜカーテンで暗くするのですか?

カーテンをしているのになぜ電気を付けないんですか?


毛布をかけて暗い中で私が怪我をしたらあなたは責任を取ってくれるんですよね?

(私は犯人と思われる同じクラスの女を見た。いつも私にちょっかいをかけてきて、比較対象としてマウントを取ろうとしてくる女だ。するとしたらこの人しか思い付かない。)


暗い中でハサミを持って怪我をしたら先生は責任を取ってくれるんですよね?





少しざわざわしていた皆も手を止めていたからか静かになっていた



副担任の男がたまたま一部始終を知ったようで黒板の近くで話始めた



ハサミはこう持つだろう?



どこから持ってきたのかハサミを手に持っている


切れる方を上にして指をハサミの輪にはめている




女の先生は申し訳なく思ったのか

教室のカーテンを明け始めた


これで明るいところで片付けられる



一方私は人に渡せるように閉じた刃の方を握っている




危なくないように刃を閉じてこう握るだろう?


男の先生は話を続ける



ハサミの輪から指をはずして刃が開かないように輪の上の方を刃を上にしたまま握っている



クラスのほとんどが衝撃を受けているように感じた




君の持ち方は他人(ヒト)に渡すときの持ち方だね



私は先生に向かって歩きながら話始める




先生、


刃を上にしていると誰かを怪我させる危険や、どこかを傷つける可能性があります。


例えば、ずっと包丁を構えているようなものですね。


それが薄暗ければなおさら…



こういうことですね。





先生に近付いたところで先生の首に向かって刃を向ける



人に渡すときの持ち方は何かあったとき自分以外は傷付かない。

傷付ける意志が無いとして自分の方に刃を向けて持ちますが…



薄暗ければ何が起こるか分かりませんよね。


さらに毛布をかけられたらなおさら…



転ぶかもしれない。


針が落ちていれば刺さるかもしれない。


ハサミで怪我をするかもしれない。



カーテンを開けてくれてありがとうございます。



話は以上です。





私は裁縫道具をまとめて机に戻ったとき


私が座るスペースがないくらいに机と椅子が近付いていた


私の前の席の子は私の机ギリギリまで後ろに下げたようだ


私の後ろの席は毛布をかけてきたあの女だ

前に近付けてきたようだ



片付けが終わったら机を少し後ろに下げるから、後ろの人が下がったら順番に下げてと先生は片付けを始めるときに言っていた


そのせいか


後ろの女に私は



少し下げてもらえる?

後ろの人は下がってるみたいだから。



女とその後ろの席の間が広く開いていることを伝えると恥ずかしくなったのか下げてくれた


おかげで座って片付けが出来る



斜め前の友達を見ると、もうほとんど片付けが終わっているようだった



急がなければと思い


あと後ろの缶にジャージを入れて、教科書は鞄に……と考えながら








まとまった荷物は

私とA子の分がB子の家に一緒に送られた


荷物整理も合わせてB子の家に遊びに来ていた


B子の家は2階建て、築何年か分からないけど

木造建築で年期は経っていそうだ


B子の部屋にお邪魔したが、兄の部屋が隣にあって扉が開いているから部屋がくっついているように見えなくもない


B子の兄の部屋と一部B子の部屋を囲むように廊下がある

廊下が無いところに窓があった




B子服貸して。

汚れちゃって。


来る間に汚れたのかは分からなかったが今着ている服から着替えたかった



良いけど…。



とB子がタンスを開いたり閉じたりしている



貸せるようないい服がないよ。

全部洗濯中…。


あ!

前に泊まったときの服があるよ!



ありがとうー!!


下着はこれにするとして



服はせっかくだから出来れば借りたいんだけど…


と女の子の部屋なのを良いことに服を脱いでしまった私は半裸で歩き回っている



そのとき誰かの後頭部が窓から見えた


きゃっ!

ここ、2階だけど地面低いんだね…。



そうなんだよね、

近所の人窓から声を掛けてきてさ。


窓は2箇所開いている

網戸がないのかほとんど見えて見られる状況だ


早く服を着なければと辺りを見回すとワンピースを見つけた


これにしようと思ったとき




嬢ちゃん達ちょっと良いかい。


とおじさんが窓から声を掛けてきた



私は目の前にあったベッドに隠れるように床に座り、腕を組みベッドに伏せて上半身を隠そうとする


B子もなぜか同じような格好をしている

どこか脱いでいたのだろうか



何ですか?


とB子が訪ねると


おじさんは営業を始めた




この家、売るつもりはないかな?


親がいないだろう?


この土地欲しい人が多くてさ、君たちならマンションとかもっといいところに住めると思うんだ。




困っているB子を見たとき


A子がなぜか半裸の状態で仁王立ちでおじさんに論破を仕掛けていた



親がいないからって何?

営業なのは分かるけどね。

私たちだけで住んじゃいけないって訳?

それは関係ないんじゃないの?



ごもっとも



A子はその方面から言ってくれたから


私は違う方から攻めることにした



見つけたタオルケットで体の前を隠しながらおじさんに向かって話す



私たちまだ大学生なんです。

奨学金借りて、頑張って勉強してるんです。

アルバイトも掛け持ちしたりして……


あと、この場所はお母さん達が残してくれたのもあって、大好きなんです。


お願いですから、私たちから大切な場所を取らないでください。



目に涙が溜まる

少し前に無くなった私の親戚を思うと本当に泣きそうだった



B子の親は本当はいるけど今は仕事中だ

なぜいないと言われたのかも分からない


私は大学生だが

A子はもう社会人だし

B子は専門学生のはずだ


私の嘘も嘘だけど…




嬢ちゃん達いくつなんだい?



聞かれた言葉に


B子が自信をもって



二十歳(ハタチ)よ。


と答えた



そうか。まだハタチか。

頑張れよ!!



そう言っておじさんは去っていった




本当は26だけどね

まだ若く見えたってことかな?


おじさんの言い方は信じているように聞こえた





これで当分は来ないでしょ。


と言うA子


B子はありがとうと良い、私にもお礼を言った



私はこれを借りるね。


とB子に言うと、薄いピンクと白でフリルの付いたワンピースを着た




B子の親戚が遊びに来たのか

幼稚園位の男の子と女の子が2人走り回り始めた


一緒におやつを食べましょう。



お姉さまが声をかけてくれる

おばさまは子ども達を見ているようだ



パソコンを少し教えてくれない?

式を入れたいんだけど、よく分からなくて。


お姉さまは私たちに声をかける


エクセルですか?


そう。



A子とB子を見ると首を傾けたり頭の上に?が浮かんでいるように見えたから私が一緒に見てみることにした


子ども達が走り回っているのを横目で見て

気配を感じながら







私そこで目が覚めた


目覚まし時計が鳴る10分前だった

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