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人生の沼、くるしい現実




【大好きだよ!陽人!いつまでも一緒に居ようね!】

【世界で一番幸せ!浮気したら許さないんだから】

【二人だと冬でも、あったかいね~】

【ファーストキスあげてもいいよ・・・///】

【・・・初めてだったんだから、責任とってね///。】



 全てが色鮮やかな眩しい思い出のはずなのに、全てが憎い。


2020/10/15(木)

トゥーントゥン♪

『ごめんね、陽人 他に付き合ってる人がいるの もう連絡もしてこないで』


 簡単な一文の内容、無料通話アプリ【LIME】で夜の10時を回るころに送られてきた文字のナイフ。


 戸田陽人がいつものように仕事から帰って風呂を出た直後にする、毎日のルーティーンの発泡酒を開けようとした瞬間の出来事である。


「・・・なん?で?!?!!???!?!?!?!?!?!?!?」


 驚き 焦り 絶望 不明 動悸 色んな感情が全身を駆け巡る

理由?なんで?いつから?どうして?理由?相手は?えっ?なんで?

パニックになるには十分な出来事。


 焦って電話をかけるも彼女・森田由奈は出ない。

prrrrrrr・・・prrrrrrrrrプツッ・・・


 「由奈・・・」

 賃貸の1kに陽人の悲痛な声が染み込んでいく。



2020/10/16(金)

ppp!!ppp!!ppp!!ppp!!

 ・・・最悪な寝覚めだ。

ほとんど眠ることなんて出来なかった。

大学のサークルで一緒になってから知り合い、就職してから2年。正式に付き合った交際期間は6年にも及ぶ由奈との関係。

そろそろ結婚も視野にいれて指輪代も貯めていた矢先に突然の別れ話。それも、相手は分からないけど浮気されていたなんて・・・。


 どんなに失意に打ちひしがれても、仕事にはいかなければならない。

こんなに長い期間付き合った人も、お互いの好きな食べ物や趣味を共有した相手は由奈が初めてだった。本当につらい。でも会社は・・・仕事はそんなことは関係ない。


「行くか・・・」

 重い足取りでアパートを出た。いつもの見慣れた風景も、今日ばっかりは灰色である。


 プァー―――――!!!!パップァーーーー!!!!


 激しい衝撃が俺を襲う。

「あ・・・・れ?なんかあったかい・・・」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


―精神体スキャニング開始―


・・・スキャン終了・・・


最大HP⇒100

物理攻撃力⇒6

魔法攻撃力⇒1

物理防御力⇒5

魔法防御力⇒1

器用さ⇒5

素早さ⇒7

運気⇒3


のステータス値を確認。


限定固有スキル ≪NTR‐ネトリネトラレ‐≫を習得しました。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「っっっ痛ぅ・・・」

「あれ?なんだ此処どこ?」


 眼前には真っ白い空間が辺り一面に広がっている。

そして何故か俺は全裸だ。


 「!!!!!!!??????!?!?!?!?!!???」

 俺のサムがボブになってる?!!?


 ーーようやく目覚めましたか 迷える羊よーー


「こいつ、脳内に直接・・・」


 ーーあなたは地獄での一生を終え、再び転生の間に召喚されましたーー


「地獄?俺が今まで生活していたのは地獄だったのか?」

混乱が混乱を呼ぶ、でも今は辺に頭がスッキリしてる。

さっきまでモヤがかっていたはずなんだけど。。。。


 ーー左様、きみたち人間の醜い欲望渦巻く、現世と呼んでいる世界はまさしく地獄ーー

 ーーきみたちは死んだ後に選ぶことができる、記憶や精神をすべてリセットして再び地獄。。。もとい現世の生物として転生するか、記憶を有したまま異界の民としての生をはじめるかーー


「生物って、人間に生まれ変わる訳じゃないのか?」


 ーーきみたちの世界では命は人間だけではないだろう?虫や獣だって、立派な生命だーー


「なるほど、、、ね。ただ、そんな話を聞いて戻りたいと思う奴なんているのか?」


 ーー僕はありのままの話しかしない。嘘はつけないのでね。ただ、他の担当者たちは都合のいい

様にしか話をしない。精神を強く持てば記憶を保ったまま転生できるとか大概の場合、再び人間に転生できるとかね。ノルマがあるんだ。転生予定者を再び地獄に送るノルマがーー


「嘘はつけない?ちょっと待ってくれ。いろいろと情報が多くて追い付かない。何よりなんで、俺はこんなに冷静でいられるんだ?たしか最愛の彼女に浮気をされて、失意の底にいたはずなんだ。」


 ーー僕は正しさの神・ストール 間違えを正し、裏切りを憎しみ、正直を是とする善神の一柱。だから嘘は嫌いだし、嘘を付けないーー


「そうか・・・難儀だな。とりあえず聞きたいことが山ほどあるが、俺は死んだんだな?」


 ーーそうだ、君は仕事に向かう途中で車道にふらついて飛び出し、トラックに突き飛ばされて死んだよ。信じられないかもしれないけど、現世では死んでるーー


「ありがとう。どのみち生きていてもツライ事の方が多かったしな。新卒で入社した会社もひどい職場でな。朝から晩まで働いて手取りは月13万。休みも週一で辛かったけど彼女と結婚したくて頑張っていた所にトドメの一撃を食らったところだったんだ。」

 

 ーー君たちの世界は持つ者が常に世界を掌握し、生まれた地域や環境で、おおよその人生が決まる世界だったからね。その状況を覆せる者は異世界では勇者や英雄と同等の精神力や運気を持っている場合が多いんだ。さ、人生相談はこの辺りにしてどうする?ーー


「おっと!そうだったな!とりあえず、悩んでいても仕方ないし俺は、元居た世界以外に行きたいよ。もうツライ思いはなるべくしたくないんだ。」


 ーーそれが君の選択肢。誰のものでもない。君自身が選んだ答えは何者にも文句を言う資格はないから。・・・・・それでは、新しい道に祝福を!!!ーー







 体が光に包まれる、鬼が出るか蛇が出るか・・・新しい世界で俺だけの新しい人生をはじめるか! 









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