いざ、広場へ!
「おっ、これは中々いい感じじゃないですか!」
門をくぐった私はそう言いました。
……何がいい感じだ、ですか。
説明をしましょうよ、私。
そうですね、今、私の目の前には西洋風の広場ですかね?
いわゆる広場的な空間が広がっていますよ、と。
えー、真ん中に明らかに設計ミスととれる程にバカデカイ噴水がありますね。
……でかすぎないですかね、ちょっとしたプールですよ。
広場がメインなのか噴水がメインなのかもう分からない感じになっちゃってるじゃないですか。
まあ、そんな奇妙なものの存在に疑念を抱きつつも、周りを見渡しましょうか。
人が……いっぱいいますね。
……当たり前ですよ、なんですかその感想は。
いなかったら大問題ですよ。
過疎じゃないですか、サービス終了のお知らせですよ。
まあ、他のプレイヤーの方と、そうでないゲーム内のキャラクター、いわゆるNPCたるものでしょうね。
……しかし、多いですね。
ちょっと人口密度が高くないですか?
まあ、その原因はあの中央で幅をきかせているクソデカイ噴水さんにあるのは明確。
なにやってるんですか、設計者さん。
まあ、賑やかなのは結構なことじゃないですか。
プレイヤーあってのゲームですよ。
遊び手が多いのは素敵なことじゃないですか。
ええ、こんなにも多くの人が……そういえば人ばっかりですね。
確か、種族設定で半魚人が選択できたはずなんですが。
……まあ、不人気なんでしょうね、もしかしなくても。
そもそも半魚人の定義ってなんなんでしょうね、陸地で生息できるものなんでしょうか?
そうでなければ、ゲームスタートと同時にゲームオーバーですよ。
逆リアルタイムアタックですよ。
全一ですよ。
半魚人の方々は、お手手をつないで仲よく一等賞ですよ。
オンリーワン、誰も傷付かない優しい世界。
……なんでしょうかね、分からないですけど。
とりあえず棒立ちしてても仕方ないので、アクションを起こしましょうか。
そうですね、あそこの槍使い……かな?
デカイ槍、噴水に負けじとデカイ槍を携えている女性に話しかけてみましょうかね。
「初めまして、こんにちわ!」
私は景気よく挨拶を繰り出しました。
……恐怖ですよ、現実世界だったら。
広場でいきなりどこの馬の骨とも知らねー奴に突然、笑顔で話しかけられる。
恐怖以外の何物でもない、貞子さんだって震え上がりますよ、そんなことされたら。
お化け界の大型新人ルーキーですよ。
……なんですか新人ルーキーって、「新人」が重なっちゃってるじゃないですか。
重なり合って響き渡ってるじゃないですか。
まあちょっと、どんな反応が得られるのか楽しみですよ。