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第2章:桜の季節

この章から女の子が出てきます。

ちなみに出てくる女の子には元になった子がいます。


※桜の季節ですが、一言も桜に関する言葉は出てきません。

「始業式から遅刻は、ありえないよな」

以前の教訓にし、俺は余裕が出るほどの時間に家を出た。

さて、新学年になり新しいクラス編制が張り出されている掲示板に行くか…。


俺は、目的の場所へあまり意識もせず足を向けていた。


「やっぱり、人いっぱいいるよな…誰だって自分の新しいクラスがどこか早く確かめたいよな。」

俺は、人を押し退けて見るか、それとも人が少し退くのが待つか悩んでいた。

視合わした感じだと、トオルは―――いないな…こういうのには、早く知りたそうで敏感そうなのにな…。



人混みの中に一生懸命背伸びをして掲示板を見ようとする子に目が止まった。

長い黒髪が砂浜に打ち寄せる海の波のようにゆっくりとなびいている。


「あの中に割り込むのは、無理だな。」

今の掲示板の周りいるのは、野郎≒男ばかりだ。

あの女の子とは、体格差が違いすぎるから、どうなるか目に見えている。

「困っているそうだし、助けてあげよう。」

俺は、その子に向かって歩き出した。

―――待て。俺はそんなことが出来たことがあったのか。

―――記憶の中で、違う自分が話しかけているようだった。


それを聞いた時、一瞬踏み出す足を止めたが気にせず、再び歩き出した―。


「あの、すいません。」

「―――――――」

背伸びすることと掲示板を見たいことに集中していて聞こえていなそうだった。


「あの〜すいません。僕が見てきましょうか?」

今度は、分かってもらえるように肩に触れて揺すった。

「―!?…なんでしょうか?」


今度は気づいてもらえた。でも、要件が聞こえていなかったようだな。


「掲示板が見えないなら、僕が見てきましょうか?」

「えっ!?…いいのですか?」


素直そうに答えてくれて良かった。

ここで、もし…「なにアンタ?気安く話しかけないでよ」と言われたら、ショックだよな…。


「ええ。俺もまだ見ていないしね。それにこういうのは早く知りたいでしょ?」


「はい。それじゃよろしくお願いします。」

律義に頭を下げられた。

「頭を下げるほどのことではないと思うけど…頼まれたのだからしっかりしないと」

俺は、野郎が沢山いる掲示板に向かって行ったが、あることに気がついた

「名前が分からない…。」

重要なことを聞き忘れていた。俺はあの子の名前が分からない。

「今から聞きに戻るのも、なんだか嫌だよな…」

でも、このまま名前が分からないままより良いと思うから―――戻ろう。


「はぁ〜…俺、なにやっているんだよ…アホか」

俺は、気が重いまま女の子の元へ戻った。


「ごめん。行く前に名前を聞くのを忘れていた。」

俺は、軽く顔を伏せながら名前を知らない女の子に聞いた。

「―――そうでしたね。私も言うのを忘れていました。てっきり知っているかと思いました。」

あれ?俺とこの子面識があるのかな?―――俺には、憶えがないな…。

「私の名前は桜川(さくらがわ) (ひなた)です。」

桜川…ね…うーん…悪いけど聞いたことがあるようで無いような感じだな。

「えっと…桜川 陽…さんですね。俺は光坂修一。それじゃ、桜川さんもう一度行ってきます。」

「よろしくお願いします。光坂さん。」



うーん…あの受け取り方は俺のことを知っている感じだな。

もしかしたら、トオルに聞けば何か分かるかもしれない。

俺は考えながら、再び掲示板の方へ向かった。


さっきより若干、人は減ったがそれでも混雑はしている。

「こんな状況になるなら解決策作れよ。先生や生徒会の人のやつら」

ブツブツ言いながら、俺は人ゴミ集団へ突入していった―――。


激戦(罵声や殴る蹴る行為の連発)だった。相手が男だから容赦なかった。

「俺と同じAクラスだったとはな…偶然が重なるもんだな。」

この学校はアルファベットによるクラス編制で、だいたいA〜Eまである。


桜川さんのもとへ俺は行き「Aクラスだったよ、どうでもいいけど俺もAクラスだから一緒ですよ。」

ホントどうでもいいことだな…。

「そうなんですか、わざわざ見に行ってくれてありがとうございます。」

桜川さんは、ほんわかとした笑顔で言ってくれて、俺も心が和んだ。

「どういたしまして。困ったことがあったらお互い様ですからね。」

俺がそう言うと彼女は用事があると、その場から去って行った。


しばらく経った後、トオルがやってきた。

「よう。おはよう修一。俺のクラス分かるか?」

新学期からこんな調子かよ…トオルらしいけどな。

「いや確認していない。自分の目で新しいクラスを確認するのも一つの楽しみだと俺は思っているからな。」

「そうだな、それじゃ掲示板を見に行ってくる。」

トオルが戻って来た時、どんな表情や声を出すかな。


数分後…


トオルはニコニコ顔で戻ってきた。

その顔から察するに結果が良かったそうだ。しかも…

「ラッキー!また修一と一緒のクラスだ!また一年間よろしく!」

というわけだ。2年生になってもトオルと一緒のクラスになった。



「―――トオルに聞くことがあったんだ。」

「なんだ、修一?」

2年の教室に向かっている途中で俺は、朝のことを話した。

「で、話に出てきた桜川さんって分かる?」

「何言っているんだよ。1年の時クラスメートだっただろ。」

そうだった?

「そうだよ。修一が覚えていないとはな…」

トオルはそう言っているが、本当にそうだろうか。

俺の記憶には、本当に身に憶えがない―――なんだ?この違和感は?

―――ど忘れかもしれないな。以前に短期・長期休暇が終わり、学校が始まると時々、人の名前が思え出せないことがあったから、今回の桜川さんが憶えだせないのも一緒だな。



教室に入ると桜川さんが自分の席なのだろうか…一人でポッツリ座っている。

―寂しい雰囲気・静か・影が薄い。俺は、その姿を見てそのようなことを感じた。

なんだか、見ていられなくなった俺は、彼女に話しかけていた


「朝はどうも。用事はもう済んだの?」

「え!? あ、はい。」

「そうか。そうそう俺の隣にいるのは―――」

「松崎くん。光坂くんはトオルと呼んでいる人でしょ?」

「…あぁ、そうだよ。」

「今年もよろしくね。光坂くんに松崎くん。」

「こちらこそ。」

「俺もだぜ!桜川!」


俺達を知っているということはトオルの言うとおり一緒のクラスだったんだな。

今は憶えだせないが、一緒に過ごしてゆくうちに憶えだしてゆくだろうな。


その後、教室には同じクラスや違うクラスの人達がやってきて、少し経ったら担任の先生も来たから俺達との会話は終了した。


この新クラスでの1年は、天国か地獄か…。それが分かるようになるには、時間がかかりそうだ。


今回は1週間で次話投稿ですが、今後先は分かりません。


これは、私の頑張り次第です。


最後に、読んでくれてありがとうございます。

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