第二話 Firstゲーム
現在10月20日17時30分。
《Lost:Game》が始まるまであと30分だ。
だが小鳥遊は承認メールを見て、一つ気になった事があった。開催される場所が何処にも書いてないのだ。これでは行こうにも行く事が出来ない。
小鳥遊は音無にこの事を聞こうと電話をかけた。この時間はまだ学校だろうか?
「はい、もしもし」
「あ、もしもし音無さん?よかった〜、今ちょっと時間大丈夫?」
「…《Lost:Game》の事ですか?」
流石に察しがよかった。
小鳥遊は続ける。
「あぁ…。《Lost:Game》が開催される場所なんだけど、一体どこでやるのか知らないか?もし前回と同じなら音無さんは知ってると思ってさ」
「開催場所ですか?それはーーー」
そう音無が言おうとした時だった。
急に頭がボーッとし、目の前が揺れる。
小鳥遊は思わず床に倒れこんだ。
(何だ…これ…は……)
小鳥遊の意識はそこで途切れた。
「…さん…。小鳥遊さん!」
音無に呼ばれ、小鳥遊は目を覚ました。
頭を押さえながら小鳥遊は辺りを見回す。
「…くっ…、どこだここは…?」
そこは異様な空間だった。
壁は真っ黒に塗られ、辺りは扉だらけで部屋の広さもかなり広く、部屋の高さは三階分ぐらいはある。部屋の正面にはステージのような物もあった。
周りをみると何人もの人が居た。ざっと50人は居るだろう。中にはまださっきの自分のように気絶している人も居る。
「…そうだ…!確か俺はあの時…!」
小鳥遊は自室で意識を無くしたのを思い出した。なるほど、開催場所を知らさなかったのは《Lost:Game》に勝手に連れていってもらえるからだったのか。
「これが《Lost:Game》が警察に捜査されない仕組みなんです。」
確かにこれでは警察も捜査しようにも場所を特定する事が出来ない。
「すいません、私が初めに言っておけば…」
音無が少しばつが悪そうに言う。
「あ、いいよいいよ。気にしないでくれ」
そう言って小鳥遊が音無をなぐさめた時だった。
正面のステージの上に設置されているスピーカーから無機質な声が流れ、部屋中に響き渡った。
「ようこそ皆様《Lost:Game》へ。私は《Lost:Game》支配人、ロストでございます。」
その場に居た全員が前のスピーカーに注目する。ロストと名乗る《Lost:Game》支配人は淡々と続ける。
「それでは今から総勢54名による己の全てを懸けたゲーム、《Lost:Game》に挑戦していただきます。ですがその前に皆様、ご自分の懐を調べて見て下さい。」
そう言われて小鳥遊はズボンのポケットを調べてみる。するととんでもない代物が出てきた。
「…拳銃…⁉」
横を見ると音無も拳銃の存在に驚いていた。
「こんなの…前の《Lost:Game》じゃ無かったのに…!」
スピーカーからの無機質な声は続ける。
「そちらは皆様が気絶なさってる間にこちらが用意させていただいた拳銃でございます。使い方は自由です。周りのライバルを撃ち殺すも良し、自殺に使うも良し。ですが弾丸は充填されている六発が最大なので、そこは考えてお使い下さい。」
辺りはざわついている。音無も拳銃を握る手が震えていた。
だが何故か小鳥遊は拳銃を目の前にしても落ち着いていた。精神がおかしくなってしまったのかと自分でも思った。
「では皆様に《Lost:Game》の主なルールをご説明いたします。《Lost:Game》は全部で七つからなるゲームで構成されています。これを全てクリアし、生き残った方が優勝となります。ですが敗北してしまった方々には罰として死んでいただきます。」
「!!」
全員が目を見開いた。するとある男がスピーカーに向かって叫ぶ。
「そんな馬鹿な事があるか!前回とルールが違うだろうが!俺は前回参加して敗北し、罰として片腕を無くしたが、命を奪うまでは無かったハズだろ⁉」
ロストは答える。
「前は前、今は今でございますよ。もし気に入らぬのならここから出て行って下さい。…出来たら…の話ですがね」
誰も叫ぶ事が出来なかった。
負けたら死ぬなんて冗談じゃない。
ロストはこちらの状況など気にもせずに言う。
「ではFirstゲームの内容を発表します。
皆様には右の扉から広がる空間で鬼ごっこをしていただきます。」
ロストが説明した鬼ごっこのルールはこうだ。
Firstゲーム・《死の鬼ごっこ》
・制限時間60分
・範囲はステージの全て
だがエリアは六つに分けられていて、10分ごとにランダムでエリア一つが封鎖される。封鎖されたエリアには入る事は出来ない。
・鬼は《Lost:Game》側が用意した五人
捕まればその瞬間、殺される。
異常だった。異質だった。異様だった。
《Lost:Game》は人の命なんてただのゲームの駒としか考えていなかった。
横を見ると音無が泣いて小鳥遊に頭を下げた。
「すいません…まさかこんな事になるなんて思って無くて…。私…、小鳥遊さんに何て謝ったら…!」
小鳥遊は音無の頭を撫でた。
そして優しく微笑みながら言う。
「大丈夫だ。俺の事は気にしなくていい。今は自分が死なない事だけを考えるんだ。」
「…っ、でも…!」
「キミは俺が護る」
するとスピーカーが不快に鳴った。
「それでは皆様、Firstゲームを開始します。右の赤い扉からお入り下さい。」
「時間だな、行こうか」
小鳥遊は音無の手を握り扉へ歩く。かつての妹に似ている音無をほっておく事は出来なかったのだ。そして二人は扉の前に立つ。
扉のノブを握り、小鳥遊は決心した。
ーーこの子は俺が必ず護る。ーー
そして音無と小鳥遊はノブを回す。
「Firstゲーム、開始します」
何だか逃走中みたいになっちゃいました。




