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Lost:Game  作者: shun
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第十話 4thゲーム



「皆様3rdゲームお疲れ様でした。現在の生き残った参加者の数は10人となっております」


無機質な声が3rdゲーム終了を知らせる。今回は死者を最小限に抑える事が出来た。


だが不安が全部無くなったワケでは無い。まだゲームは4つも残っているのだ。このままでは一人が生き残れるのかすら危うい。


「……どうかしたんですか小鳥遊さん?」

何やら難しい顔をしている小鳥遊に音無が声を掛けた。小鳥遊はハッとして答える。


「あ……!いや、何でもないよ」

こうは言ったものの、小鳥遊にはもう一つ不安な事があった。霧島の存在である。


確かに生き残りを懸けた《Lost:Game》で他人を気にする小鳥遊はおかしいかも知れないし、霧島の方が正しいかも知れない。


だが霧島はやはり危険だ。気を抜いていたらすぐにでも殺されてしまうだろう。ゲームでは無く参加者に殺されるなんて絶対に御免だった。



するとロストがゲーム開始を告げた。

「それでは、4thゲームを開始します。4thゲームは参加者で2人1組のペアを組んで頂きます。それではまずご自由にペアを組んで下さい」


ついに来た。音無は前回の《Lost:Game》ではペアの一人に裏切られて失格してしまったのだ。


「音無さん、僕と組もう」


「当たり前です。そのために小鳥遊さんを誘ったんですから」


隣同士にいた2人は言わずもがなペアを組む。周りの参加者達も焦りつつも順調にペアを組んでいった。


見ると霧島も既にペアを組んでいた。相方は小柄な女性で知的な雰囲気だった。



全員が組み終わるとロストはゲーム内容の説明を続けた。


「4thゲームは脱出ゲームです。これから皆様にはペアの方と協力しながら迷宮からの脱出をしていただきます」


4thゲーム・《狂気の脱出》


・スタート地点はランダム。ゴールは迷路の中心にある。


・制限時間は30分。時間以内にゴール出来ないと失格。鬼に殺される。


・参加者は手首に腕輪を付ける。


・ゴールするためにはペアの腕輪とペアと自分の2人分のコインが必要となる。どれかが欠けるとゴール出来ない。


・コインは迷路内の箱の中にある。箱は迷路内のどこかに置かれてある。


・コインは参加者の数、つまり10枚のみ。


・箱一つにつき一枚入っている。









なるほど、つまりコインが2人分あっても腕輪が一つなら脱出は不可。逆に腕輪が2人分あってもコインが足らなければ、それも脱出は不可というワケか。となるとこのゲームは本当にペアが協力しないとクリア出来ない。


「小鳥遊さん……大丈夫ですよね?」


音無が不安気に確認してくる。

一度ペアに裏切られている音無にとっては確かに不安だろう。小鳥遊は音無の頭に手を乗せる。


「大丈夫だ。それに何回も言ってるだろ?俺は音無さんを絶対に護るってさ」



「それでは皆様それぞれの扉からお入り下さい」

ロストが指示を促した。小鳥遊は頭に乗せていた手を音無の手に重ねる。


「それじゃあ、行こうか」


「……はい!」



2人はゆっくりと階段を登り、扉の前に立った。今回は本当に互いの行動が命取りになる。一瞬たりとも気を抜けない。


だが小鳥遊も音無も不安は一切無かった。何故なら互いが互いを信頼しきっているからだ。さらにこの手の温もりが安心を与えてくれる。


「……絶対に護る」


「それでは4thゲーム・《狂気の脱出》開始します。」














目を開けるとそこは確かに迷路だった。

天井も床も壁も真っ白で、上も下も隙間が無く覗く事は出来ない。


「これだけ白いと頭がおかしくなりそうだな」


「でもためらっているヒマはありません。早くコインを探してゴールを目指さないと」


「ああ、分かってる。本当はゴールを探す役とコインを探す役に分けたいんだが、それをすると危険だ。2人で一緒に行こう」


そう言うと小鳥遊は走り出した。その後ろを音無がついて行く。






一体何回曲がっただろうか。周りが真っ白なせいで少し情報処理能力が低下しているのかもしれない。


「音無さん、少し歩こう」

疲弊した小鳥遊と音無は走るのをやめた。音無はハアハアと肩で息をしている。


「正直、30分で2人分のコインを見つけてゴールするって難しくないですか?」


「あぁ、俺もそれは思った。それにこれだけ走ってまだ他の参加者とすら会えないのも妙だがーー……」


小鳥遊が何かに気付いた。


「どうかしたんですか小鳥遊さ……あっ」

音無もそれに気付いた。思わず声を失う。


「……マジかよ……!」


そこはスタート地点だった。何と小鳥遊と音無はさっき居たハズのスタート地点に戻って来てしまったのだ。


「……くそ、やられたな」

どうりで誰とも会わないワケだ。何故なら小鳥遊達はずっと同じ所をグルグルと回っていたからである。


この全体の白色はやはり脳への刺激を減らして情報処理を狂わせるための仕組みか。


「音無さん、次は左から行ってみよう。それからこの白色はそういう仕組みだ。気を付けてくれ」


「はい、分かりました」


2人はさっきの時間を取り戻そうと必死にゴールとコインを目指して走り出した。















「……よし、コインみっけ」

開始5分、霧島と木村のペアは早速コインを発見する事が出来た。


「さっきの箱はもうコインが取られてたから少し焦ったけど、コイン見つけられて良かったですね」


「あぁ、そうだな」

霧島はそっけなく答える。


「……それにしてもコインの場所に何か法則性でもあればもっと楽なんですけどね。この迷路って中心にゴールがーー」


「……それだ!」

霧島が何かひらめいた。木村は思わず驚いて声をあげた。


「な……何が……?」


「クク…、ハハハハハハハハ!」


霧島は木村の事なんて気にせず、いきなり大声で笑い出した。そしてコインを握りしめるとこう言った。


「……いい事思いつーいたァ……」







残り時間……23分。

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