おでんVSカレー
-夕方-
カラスが鳴く帰り道
主人公は険しい顔で帰宅していた
険しい顔の理由は
(今日の晩御飯をどうするか
『おでん』にするか『カレー』にするか
どちらも三日は持つ……
料理が面っ倒だから三日は持つようなものにしておきたい……
カレーはカレーパンとかにできる……
おでんは後でいろいろ加工が可能だ……
実力はほぼ同じ……どうするべきか……)
「ねーママ、あそこに怖い顔をした人がいるよー?」
「しっ、そんなことを言っちゃダメでしょ!」
「うぉっ!?あいつの上すごくね?」
「すげぇな、カラスが旋回してるぞ」
主人公はそのような言葉も気にせず道を進んでいた
(おでんにするべきかカレーにするべきか)
主人公はため息をつきながら目を閉じた
目を閉じても険しい顔はそのままである
(おでんかカレーか……
いっそのことカップラーメン……
いや、ダメだ、せっかくの肉が腐ってしまう……)
「おお、勇者よ、よくぞ来てくれた!」
突然誰かの声が聞こえ、主人公は目を開けた
目の前には玉座、王らしき人物がいる
その横には大臣らしき人物がいる
(どうやら俺の感覚が変になったようだ
どこかの国っぽいところに来ているような錯覚が見えるぞ)
「勇者よ、どうした?具合でも悪いのか?」
王らしき人物が言う
(そうだ、これは錯覚だ
何をしても大丈夫だろう。
仮にこいつが王だとしても無礼を働いても許されるだろう)
「ここはどこだ?」
「おお、そうか、すまなかった。
突然召喚されてよくわからない状況に陥ってるだろう。
だいこん大臣よ、勇者に説明してやってくれ」
はっ?だいこん大臣?
罰ゲームの真っ最中のところなの?
「私がだいこん大臣だ」
王らしき人物の横にいた大臣らしき人物がそういいながら近寄ってきた
「だっ、だいこん大臣?」
「そうだ。勇者である貴方を呼んだのも私だ」
「俺、勇者として呼ばれたの?」
「そうだ。国のことをよく考えてくれる若者で呼んだら貴方だったんだ」
「これ現実?ドッキリ?俺の精神が異常になったの?」
「現実だ。ドッキリの類でもない。
……私が出した召喚陣に触れたからここに来たと思うんだが……」
目を閉じて歩いてたから知らねぇ……
「本題に入ってもいいか?勇者よ」
「あ、ああ、いいぞ」
「我が国、おでん大国には『たまご姫』という『あつあげ王』の娘がおってな……
どうした勇者よ?小刻みに震えているが具合が悪いのか?」
これって現実なんだよな!?
つーことはこれって異世界召喚ってやつか!?
なんで元の世界の食料の名前なんだよ!?
笑いたくなるだろうが!
けどここで笑ったらこの世界を全否定してしまうことになる
堪えろ!堪えるんだ俺!!
「い、いゃ、具合は悪くなぃ……続けてくれ」
「そうか……
それで隣国、カレー帝国がたまご姫をさらっていったのだ!」
おでんの次はカレーですか!?
この世界は俺を殺そうとしてんの!?
腹筋崩壊で殺そうとしてるの!?
「カレー帝国のギュウニーク王子がたまご姫と婚約しようと結婚式の準備まで上げておるのだ!
しかし我々おでん大国は弱小の国でな……
ならば勇者に頼んでしまえと思い、貴方を呼んだのだ」
「勇者よ、カレー帝国のギュウニーク王子にさらわれたたまご姫を助けてくれまいか?」
あつあげ王よ、俺は先にお前らに殺されそうだ
「もちろん成功の報酬としては何でもやろうではないか」
おおっ、いい報酬だな!
「この国に永住もできればたまご姫と結婚も可能だ。
勇者よ、たまご姫を助けてくれまいか?」
この国に永住したら腹筋が死んでしまうわ!!
たまご姫と結婚した日には『今度からたまごって呼んで』って言われたら
呼ぶたびに笑いをこらえなければいけなくなる!
「わかった。たまっご……たまご姫を助けに行きましょう」
「おおっ、ありがたい!
おい、だいこん大臣よ!
勇者に護衛を付けるのだ!カレー帝国は凶悪だからな……」
「はっ、わかりました!
ささっ勇者よ、こちらへ……」
こいつらまじめな話なんだろうけど
俺にとっては爆笑の原因です
俺はだいこん大臣について行った
「私は兵士長の『もーちきんちゃっく』だ」
「私は一般兵の『がんも』です!勇者様の護衛に着けるなんて光栄です!」
「俺は参謀の『ろーるきゃべつ』だ。以後よろしく」
あっ!やばい腹痛が!!
つかおかしいだろ!!
特に兵士長!!!『もーちきんちゃっく』なんて名前がおかしすぎるだろ!!
ほかの二人が普通に見えてしまうわ!!
そんな名前にするなら人間の姿じゃなくて、おでんの具材になってればいいんだよ!!
「どうした?勇者よ?腹を抱えておるが……」
だいこん大臣よ、原因は兵士長です
俺が腹を抱える理由はやつ一人になっております
「い、いゃ、べつっに気にしないでおkぇ……」
笑い声を出さないようにプルプルしなが腹から声をひねり出した
「本当に大丈夫なのか?」
「いやいや、だいこん大臣。
きっと勇者様は召喚されたばっかでお疲れなのであろう。
しかし、そのような姿をお見せしまいと気丈強く踏ん張っているのであろう。
ここは心の準備として今日は休んだほうがいいのかと思います」
ナイス!よくいった参謀ろーるきゃべつよ!!
「ふむ、なるほど。
それなら友好を深めるためにもこのメンバーで食事と就寝を共にするのはどうだろう?」
兵士長!お前の名前が変わってくれるならいいだろう!
「それいいですね!」
がんも兵!!後押ししやがった!!!
「そうだな……
あとはお前たちに任せる。勇者様を頼んだぞ」
そういってだいこん大臣は部屋から出て行った
今更だが、護衛としてついてくる三人の見た感じを言っておこう
ろーるきゃべつ参謀 髭がかなり特徴的
がんも兵 女性 紫の髪
危険人物もーちきんちゃっく兵士長
三人の中で一番背が高い 顎が無駄に長い 顔が縦に細く白い歯が目立つ さらに鼻が長い
見た目だけでも笑ってしまうわ!!!
もーちきんちゃっくっていう名前を知らなくても笑ってしまうわ!!
グーギュルルルル……
部屋の中で鳴る 誰かの胃の音
「すいません、私です……」
恥ずかしそうにがんも兵が言った
「そうだな、そろそろ晩飯の時間だからな。
よし、食堂に行くぞ!」
もーちきんちゃっく兵士長がさわやかに言った
頼むから俺の視界に映らないところで声が聞こえないところで言ってくれ
さすがは城だな
ちゃんと食堂があるんだな
しかし問題は出てくる食い物だ
おでん大国っていうぐらいだ……おでんが出てくるのでは?
「勇者様どうかしましたか?おかしい顔をしていますが……」
「いや、どんな食べ物が出てくるのかわからないからな……」
「勇者よ、俺が思うに不安なんだろ?
しかし安心せい、きっと勇者の国にあるものだと思うぞ」
ろーるきゃべつ参謀がそういう
「よし、みんな待たせたな!」
兵士長が持って来た物は……
カレーだ
え!?カレー!?
おでん大国でカレーを食うの!?
おでん大国ってカレー帝国と対立してるんでしょ!?
なのにカレー出てくるの!?
「やったぁ!今日は『バーモンスープ』だ~」
何その名前!?
一文字変えたらデーモンスープだよ!?
敵のところの料理でしょこれ!?
「どうした勇者よ?これなら勇者も知っていると思うんだが……」
ろーるきゃべつ参謀……確かに俺は知っている
けど食べ物までもが俺を殺そうとしているのか!?
なんでバーモンスープだよ!?
絶対あの有名な会社のところのやつの名前をとってきただろう!?
「どうした勇者?冷めないうちに食べるほうがいいぞ」
お前はその長い顎をどうにかしろ!
真正面に座るな!!俺にカレーを食べさせない嫌がらせか!!
「……いただきます」
俺は下を向きながら食べ始めた
あ、美味ぇ
人参やじゃが芋が入ってて美味い
牛肉も入っていて……
ギュウニーク王子……ブフゥッ!
「はははっ、勇者、そんなに焦って食べてもバーモンスープは逃げないぞ」
「そうだ勇者よ。
おかわり自由だから、あわてずともまだ量はあるはずだ」
「そ……そうか」
まさかカレー帝国にはニンジンとかジャガイモがいるのか?
「な、なぁ、カレー帝国は強いのか?」
俺が聞いたらろーるきゃべつ参謀が答えてくれた
「……そうだ。
ギュウニーク王子率いるカレー帝国にはニンジン兵士長という強いやつがいる。
ニンジン兵士長のつぎに強いと言われているジャガイモ兵士というやつもおる。
他にも悪名高いタマーネギ参謀がおってな……どうした勇者よ?」
「い、いや、思った以上に手ごわくてな……」
笑いをこらえるのがつらい
「そうか、勇者だから覇気を感じ取っているのか……
しかしまだおってな……
ナッスン騎士やトーンカッツー騎士など恐ろしく強いやつらがいるのだ」
ナスカレー……カツカレー……
「さすが勇者だな!
もう敵国のことを考えてるなんて!」
兵士長、とりあえず歯を光らせないでくれ
カレー食った後でその歯の白さは病気だろ
「ああ、敵国のことはまぁまぁわかった……」
そういって俺はカレーを食い始めた
そういえば隣にいたがんも兵は?
さっきから何も話してこないけど……
……ってうぉい!?
なんだこの尋常じゃない皿の数!?
皿に埋もれてるんじゃないの!?
なんでこんな異常なことに気が付かなかったんだ俺!?
あ、笑い堪えてたからだ
「ごちそうさまでした」
がんも兵が食べ終わったようだ
一応俺も横を凝視しながら食ってたけど
皿の数を数えたところ83皿……
どんだけカレー……バーモンスープが好きなの!?
とても女の子が食べる量じゃないよ!?
俺でもこれ一杯で腹いっぱいだよ?
兵士長だって2皿、参謀は1皿だよ?
どんだけ食ってんのこの子!?
がんも兵……恐ろしい子!
「勇者、私と手合わせをしてみないか?」
兵士長がそう言ってきた
「食後の運動か。いいぞ」
俺は手合わせをすることにした
さすが城だな
なんといっても広い
闘技場みたいなところまで用意されてるなんて
「使用される武器は競技用の剣、
死ぬことはないから安心せい。
審判は俺がしよう」
ろーるきゃべつ参謀が説明した
「手加減はせんぞ勇者!」
兵士長が悪役みたいに言う
「それでは、はじめ!」
兵士長の攻撃!
ミス!勇者には当たらない!
勇者の攻撃!
兵士長は剣を斜めに構え防御した!
勇者は力を込め押し切ろうとした!
しかしはじかれてしまった!
兵士長の攻撃!
勇者ははじかれた反動で剣を戻すことはできない!
「もらった!」
勇者の攻撃!
蹴りが顎にクリーンヒット!!
「ぐぶふぉ!」
「え?これってありなんですか?」
「うーむ……一応剣での戦いだが、最終的には剣で決着をつければいいからな……
ありだな」
勇者の攻撃!
兵士長は悶えてる!
しかし勇者の攻撃が来たと同時にバックステップ!
勇者の目つぶし!
足元の砂が兵士長の目にダイレクトアタック!
「え?これもありなんですか?」
「うーむ……<略>
ありだな」
兵士長は目を閉じたまま前方を切りつけながら走った!
当たり前だが勇者には当たらなかった!
勇者の攻撃!
兵士長は奇跡的な勘で防いだ!
兵士長は目が見えるようになった!
兵士長は距離を取るためにバックステップをした!
勇者はその隙に攻撃を仕掛けるために一歩近寄った!
兵士長も負けずと剣で攻撃しようとする!
しかし勇者の一歩はほんの少しでどちらの攻撃も今は届かなかった!
今は……というのはどういう事か?
そのまんまの意味、どちらの攻撃も当たらなかったのだ
二秒後、勇者が投げた剣は兵士長に当たった!
「え?<略>」
「<略>
ありだな。
……という事は勇者の勝ちだ!」
「ははっ、さすが勇者だな!
負けてしまったよ……」
「いや、そっちも凄かった。
けっこうきつかったからな」
「勇者がいた世界はこのようなことをするのか?」
「いや、俺は違うからな……」
兵士長、あんたは強かった
けどな、バイクでひったくりをしたやつをダッシュで追い回したり
拳銃を持っているオッチャンにケンカ売られたときは素手でリーダーをつぶしてやったり
警察の方と仲良くなっているやつは俺だけだから、きっと
他にも学校の三階から飛び降りたりするから
そんなやつだったから俺は。他のやつと戦えば兵士長のほうが勝つよ
「そうか、とりあえず手合わせは終了!
明日に備えて寝よう!」
兵士長がさわやかに言った
三人と会った部屋に戻った
「それじゃあ就寝!」
兵士長がそういうと部屋の電気を消した
部屋は二人しか寝れなかった
理由は全く使われないと思われるデカいテーブルが邪魔をしており
ベッドが二つしか置かれていない
椅子は12個あった
絶対邪魔なだけだから
会議とかの部屋でも邪魔なだけだから
会議専用ならベッドを置くなって話だし
就寝用ならこんな馬鹿でかいテーブル置くなって
しかもさ、気を使ってるのかどうか知らないけど
横で寝てるのがんも兵だよ
年頃の男の子に年頃の女の子を与える作戦ですか?
ベッドの近くにランプがあるんだよね
それを挟んで寝てるんだけど
「スゥスゥ」っていう寝言と共に寝顔がめっちゃ可愛い
やばい、これはあれだ
孔明の罠なんだぞ
ハマってしまえば『今です!』って言われるのがオチだ
落ちつけ俺、落ち着くんだ俺、だけど……
可愛いのは可愛いな……
いや、待て、彼女はがんも兵だ
名前ががんもなんだ、そう、がんもなんだ
さっさと寝てしまおう
変な気が起きないうちに
---
「勇者様起きてください~」
誰かに体を揺さぶられる
「勇者様おはようございます」
えーと……あっ、思い出したがんも兵だ
そういえば元の世界の俺の家、冷凍されたギュウニークが台所に……
間違えた。牛肉が台所に出しっぱなしだ
腐ったかな……
「二人とも起きてるか!?」
扉を勢いよく開けて入ってきたのは……
……顎魔人
……じゃなかった危険人物X
……でもなかったホワイトトゥース
あ、思い出した
危険人物もーちきんちゃっく兵士長だ
「どうかしたんですか?もーちきんちゃっく兵士長?」
「さっきカレー帝国が『たまご姫とギュウニーク王子が本日結婚する』という新聞を配っていた!」
えらい急展開だな
「え!?早すぎじゃないですか!?」
「ギュウニーク王子が無理やり結婚式を始めるらしい……
王様には言ってある!行くぞ勇者!」
「兵士長……あわてすぎだと思う。
せめて自分の装備ぐらい見ておけよ……」
兵士長の姿は寝間着姿であった
「よし!準備はできた!」
兵士長が自らに気合を注入している
とりあえずこの世界で少しわかったことがある
魔法がない
参謀であるろーるきゃべつが弓を装備しているからだ
普通杖を持つだろ?お前の髭だと……
さっきがんも兵に確認のために聞いてみたけど
「そんなものありませんよ~」
って言われた
「勇者よ!早くいくぞ!」
「ああ、って走っていくのか?」
「いや、ちゃんと乗り物は用意している!」
兵士長が何かの合図を出すと何かが走ってきた
……馬だ!
「これに乗っていくのか」
「そうだ、このバサシに乗っていくんだ!」
はい?
やっとある程度慣れたのにこの世界は相変わらず俺を殺そうとしてるの?
普通に馬でいいじゃん
なんで馬の後を名前にしちゃったのかな?
「どうした勇者?腹痛か!?」
「いぃや、別に気にするな……」
とっとりあえずさっさとバサシ……馬に乗ろう
一応これでも騎乗体験はあるんだ
「よし、それじゃあカレー帝国に向けて出陣だ!」
~カレー帝国~
「大変ですギュウニーク王子!」
「どうした、タマーネギよ?」
「おでん大国の奴らが攻めてきました!」
「ふん、どうせ雑兵の集まりだ。ナッスンとトーンカッツーでどうにかなるだろう」
「いえ、一人見知らぬものがいまして……」
「なあに、心配はいらんだろう。
やつらにそれほど強いやつなどいない。
だからこそ大々的に新聞を出したのだろう?」
「はっ!そのとおりでございます」
「ならばもういだろう。
私はたまご姫との結婚の準備を進める」
ギュウニーク王子が準備のために外に出る
……
「ハーバネロいるか?」
「さきほどからおります」
「そこまで天井に張り付くことが好きなのか」
「要件はなんでございますか」
「ニンジンとジャガイモをナッスン達について行かせろ。
あとお前もついていき戦闘になれば加勢しろ」
「仰せのままに」
そのままハーバネロという天井に張り付いていた人物は消える
「どうも嫌な予感しかしない……」
~勇者たちの現在地~
「もうすぐカレー帝国の領土だ!」
ふむ、どの辺がカレー帝国の領土かわかりやすいな
おでん大国の周りは薄茶色の草がよく生えていた
カレー帝国の領土だと思われるところには黄色い草が生えてるぜ
絶対これカレールーが大地に落ちて草が変色してるんだよ
だから黄色なんだよ
「勇者様、早くいきましょう!
結婚を阻止しないと!」
『そうはさせない……!』
前方から二人の人影が……
見た目から文句を言っていいだろうか
片方の顔の形は横に広い、これはまあいい
もう片方のほうの顔の形が……ナスだ
もうあいつがナッスンだよ絶対。
「私の名はナッスン、王の命令によりこれ以上の進行はさせない……!」
顔が横に広いほうがナッスンだったー!!!
じゃあまさかナスの形してるのが……
「我が名はトーンカッツー、ナッスンと同じように王の命令だ。
これ以上の進行は殺してもよいと言われている」
とんかつだったー!!!
「くっ、まさか最初から強敵が来るとは……!」
兵士長、俺にはあの顔以外強敵とはおもえないんだが
「勇者よ、顔はあんなんだが強敵だぞ。
気を付けるんだ」
何に!?
顔以外気を付けるところないだろ!?
体格とか普通じゃん!
「誰の顔が『あんなん』だ!!」
ナッスンが切れた!!短気すぎ!
てかお前のほうがまだましだよ!トーンカッツー見てみろよ!
お前がもう一人いるんだぞ!?
「ゆるさん!決闘しろそこの顎野郎!!」
ナッスンが兵士長に決闘挑んだよ!?
『あんなん』って言ったのはその後ろのろーるきゃべつ参謀だよ!?
向こうからじゃ見えないのか……
「誰が顎野郎だぁぁぁぁぁああぁあぁ!!!」
お前も沸点低いな!!けどナッスンが言うとおりだよ!
「いいだろう……私に決闘を挑んだことを後悔させてやる……!!」
「ふっ……調子に乗って決闘を承諾したこと、お前は後悔するだろう……!!」
え、これどうするの
「よし、なら審判は俺とそこのトーンカッツー騎士でしよう」
「ふむ、それならフェアだな」
というわけでろーるきゃべつとトーンカッツーが審判に
え、俺どうすればいい?
がんも兵と一緒にギャラリーですか?
「よし、それでは一本勝負の死闘『はじめぇっ!!』」
兵士長の攻撃!
ナッスンは攻撃をよけた!
ナッスンの攻撃!
ナッスンは乱れ突きを使った!
兵士長は盾で防御した!
兵士長の攻撃!
ナッスンはバックステップでよけた!
ナッスンの突撃!
兵士長はサイドステップでかわした!
兵士長の攻撃!
兵士長は目つぶしを使った!
足元の砂がナッスンにクリーンヒット!
負けずとナッスンが目つぶしを使用!
兵士長の目にダイレクトアタック!
「これってありなんですね……」
「普通やったら批判の声が届きそうだけどな……」
俺とがんも兵はギャラリーなのですることがない……
いつの間にか兵士長とナッスンは剣を合わせていた
どちらも力押ししているようでどちらも引けを取らない
……イライラしてきた
バサシを馬刺しにしてやろうかと思うほどイライラしてきた
俺はこっそり兵士長とナッスンが争ってる近くに行った
「お前……強いな」
「お前こそな……」
……
「さっさと終わらせろやぁぁぁ!!」
俺は剣をナッスンに突き刺した
「ぐぶふぅ!!」
「なっ!お前卑怯だぞ!!」
「うるせー!!敵がなんと言っても所詮は敵だ!
お前らだって姫をさらった卑怯者だろうが!!」
「それでも決闘中に邪魔をするなど……」
「そんな規制知らねえ!!」
俺は剣をトーンカッツーに向けて投げていた
「……ぐふっ、なんというやつだ」
「勇者様!?ひどすぎるんじゃ……」
「いやいや、ひどくない。
決闘を認めたのはそこの四人だけで俺とがんもは認めてない。
それに俺は決闘のルールなんぞ知らん」
「それでも普通は介入しないだろう……」
「俺普通じゃないから!」
「私が勇者に負けた理由がわかったよ……
敵をどう見ているか、その違いだったんだな」
兵士長は同じ人として殺すのを少しためらっていたんだな
俺は敵なら躊躇わないけど
「今は感想よりも早くカレー帝国に行きましょう!
みなさん、早くバサシに乗って!」
がんもがそう言って目的を思い出させる
『待ちな!!』
デジャヴですか!?
こちとら急いでるのに
「ここから先は……」
「我々がお相手しよう……」
「ニンジン兵士長とジャガイモ兵士だと……!」
ろーるきゃべつ参謀、説明乙
で、また顔の形がやばいんだが
人参みたいに細いやつとジャガイモみたいに丸いやつ
……人参みたいなのがジャガイモ兵士だな!
「左にいる細長いのがニンジン兵士長だ。
ジャガイモ兵士は横の丸いやつがそうだ」
そのまんまだったー!!
裏を読んだ自分が恥ずかしい!
「ふっ、先ほどの戦いは見せてもらったよ。
私は君と戦いたい、決闘を挑む」
ニンジン兵士長が俺に剣を向ける
「だが断る!」
「えっ!?」
驚いたように声を出すニンジン兵士長
「コホン、先ほどの戦いは見せてもらったよ。
私は君と戦いたい、決闘を挑む」
「だが断る!!」
「断るな!!」
「だが断る!!」
「プライドっていうものはないのか!?」
「そんなもの意味ないだろ!」
「いや、それでも決闘を受けろよ!」
「だが断る!!」
「そうか、なら後ろを見てみろ……」
「だが断る!!」
「いや、見て、お願いだから」
「だが断る!!」
「お願いだから!そこの兵士がどうなってもいいのか!」
……チラァ
がんも兵が何者かにつかまっている
どうやら首筋にナイフを当てられてるようだ
手は後ろのほうでつかまれてるようだ
「どうだ?置かれている状況が分かったか?
分かったらおとなしく私と一対一の決闘を……」
「卑怯だぞお前!」
『それお前が言うセリフ!?』
兵士長とろーるきゃべつが息ぴったりで言ってきた
「ふっ、だから『さきほどの戦いは見せてもらった』といったのだ。
さぁおとなしく死ね!」
「決闘から死ねに変わってるよ!?
あ、そうか
自身がない意気地なしのたかが兵士長だから人質を取って相手を殺さないとだめなのか。
なるほどなるほど、さっすが臆病者の卑怯者のカレー帝国が誇る兵士長だな」
「貴っ様ぁ……!!」
キレてるキレてるざまぁ
「m9(^Д^)プギャー」
「いいだろう……決闘だ!」
カレー帝国の奴らは簡単に挑発に乗るな
「だがお前が勝った瞬間にあの女はこの世からいなくなると思え!」
はいはいどうせそういうと思ってたよ
ニンジンの攻撃!
ミス!勇者に当たらない!
勇者の攻撃!目つぶし!
ミス!ニンジンに当たらない!
ニンジンの攻撃!
ミス!勇者に当たらない!
勇者の攻撃!目つぶし!
ミス!ニンジンに当たらない!
しかし勇者が投げた兜に当たった!
「その兜はさっきの奴が持ってたやつだ。
ちゃんと持って帰って葬儀してやりな」
「貴様ぁ……」
ニンジンの攻撃!
勇者は肉壁を使った!
「お前は人間として情けはないのか!」
ろーるきゃべつからお叱りを受けた
「いや、あいつもそんなもんだろ。
敵はよくて味方はダメって事はないだろ」
ナッスンにニンジンの攻撃は吸収された!
勇者の攻撃!剣を投げる!
しかしニンジンは紙一重でよけた!
剣が突き刺さる!
「終わりだな……」
ニンジンの攻撃!
「馬鹿め、俺の武器は左手にある……!」
勇者はナッスンを装備した!
勇者の攻撃!ジャイアントスイング!
ナッスンの頭部がニンジンの腹部に直撃!
「止めだ!」
勇者の攻撃!
「待った!あの女がどうなってもいいのか!?」
「え?何言ってんのお前?
どの女のことを指してるんだ?」
「そこでつかまってる女の事だ!」
「あれ?もしかして幻覚でも見てる?
さっき兵士長が普通に助けたよ?
ちょっとやばそうだったから剣を投げ飛ばしたけど」
「まさかっ……!」
ニンジン兵士長が後ろを見ると
ハーバネロが死んでいる
死因は胸に刺さった剣であろう
その横には顎が無駄にある男とさきほどまでとらわれていたはずの女が無事にいた
「馬鹿な!?ジャガイモ兵士はどうした!?」
「決闘に見入ってる時に撃ち殺すのは造作もないでしょ」
ジャガイモ兵士は矢が刺さって死んでいた
「貴様ぁ!!卑怯だぞ!!」
「人質取ったお前が言うな!
……まぁ、お前だけは殺さないでおこう」
「……敵に情けをかけるつもりか」
「いいシーンですけど、勇者様が持ってる武器、ナッスンですよね……」
「いいや、情けはかけない。
カレー帝国の現状を知るために洗いざらい吐いてもらおうかと」
「へっ……!?」
「誰かそこの俺の剣とって。
ちょっと今から拷問にかけるから」
「ちょ、ちょっと待て!
話す!話すから!」
「ほら、勇者受け取れ」
「さんきゅー兵士長」
「いや話すから!拷問の準備始めないで!」
「さてどうするかな?
『都合によりお見せできません』や『都合によりやっぱりお見せできません』とか
『都合により超お見せできません』とかあるけどどれがいい?」
「いや、だから話すって!!」
「みんな~、向こう向いて耳をふさいで目を閉じて~」
「ちょっ待っ」
~しばらくお待ちください~
「で、有力な情報は得られたのか勇者?」
「ああ、城の三階にたまご姫はいるらしい。
あとギュウニーク王子は結婚式の準備をしているようだ」
「さっきの人生きてるんですか……?」
「生きておらんだろう。
断末魔だけはよく聞こえたからな……」
「いや、生きてるよ?今は」
「勇者よ、お前の感覚が恐い」
「大丈夫大丈夫!こんなもの慣れればどうってことないから!」
「勇者、お前の世界はどうなってるんだ……」
「普通だ!」
「あ、見えてきましたよ!
あれがカレー帝国です!」
おお、これがカレー帝国
壁は黄色、屋根は赤色
まさしくカレーだな
色からカレーだよ
「よし、バサシから降りて一般人に成りすましながら入るぞ!」
「むぅ……まだハーバネロは帰らぬか」
タマーネギは嫌な予感がずっとしていた
そして的中した
突然窓が割れたのだ!
「何者だ!」
タマーネギが外を見ると何という事だろう!
おでん大国の奴らが来ているではないか!
「馬鹿なっ!
これは一大事だ!ギュウニーク王子に伝えなければ!!」
「勇者様なぜ石を投げたのですか?」
「正々堂々宣戦布告をしただけだ!」
「正々堂々でないことは確かだが
勇者よ、お前の宣戦布告は不意打ちなのか」
「一般人に紛れ込む作戦が台無しだな……」
「よし突撃するぞ!」
俺はバサシに乗って突撃した!
「自分たちの足じゃないんですか!?」
「どうせ敵の城だから。土足で入るならバサシで入っても同じことだろう!」
「なんという無茶苦茶な……」
敵襲ー!!敵襲ーー!!
「何事だ!?」
「大変ですギュウニーク王子!おでん大国の奴らが襲ってきています!!」
「何!?
ニンジンやジャガイモはどうした!?」
「おそらく……全滅かと」
「くっ……
仕方ない、私が直々に対応してやろう」
「ギュウニーク王子!お待ちください!」
「タマーネギよ、頼みがある。
私がもしも死んでしまったら……城の者たちを死なせないように頼む」
「王子……」
俺たちは広間みたいなところに出た
「やべぇ!俺たまご姫知らねぇ!!」
「大丈夫だ!俺と兵士長が知っている!!」
そうか、なら安心だ
『よく来た、おでん大国の者たちよ』
声が聞こえたほうを向く!
禍々しいオーラを放つ人物がいる!
まるで俺の家の台所の上に置かれている牛肉が腐ってるかのようなオーラを出している!!
「勇者よ!俺は姫を探そう!そいつは任せた!」
「勇者!私は姫を探す!そいつの相手は任せた!!」
待て!それは敵前大逃亡という作戦じゃないか!!
「って、がんもは逃げないのか?」
「はい、勇者様の護衛ですので」
いい子だ
髭魔人や顎魔人はかなわんて
やがて先ほどの声の人物が正体を現した
身の丈ほどもある大剣を振り回せる巨漢だ!
「よく来たな、勇ある者たちよ……」
勇無き者は先ほど敵前大逃亡という戦略を使用して逃げました
「俺は勇者だ!さっさとたまご姫を返してもらおうか」
「ふっ、ことわるといったら?」
「力づくで返してもらうまでだ!」
「勇者様が悪役に見えるのは私の気のせいでしょうか」
ギュウニーク王子が現れた!
勇者の攻撃!
しかしとても巨漢とは思えない速さでギュウニーク王子はよけた!
ギュウニーク王子の攻撃!薙ぎ払い!
勇者は伏せてよけた!
すかさずギュウニーク王子の攻撃!縦斬り!
勇者は盾で防いだ!
「くっ……!重いな」
「いつまで耐えられるかな」
「まだ持ってたんですか勇者様……
傍から見るとひどい光景になってますよ」
「なんの必殺!身代わりの術!」
勇者は盾を身代わりにし、よけた!
すかさずギュウニーク王子の攻撃!縦斬り!
勇者は横に剣を構えて防いだ!
「ぐぅ……やはり重い!!」
「今度ばかりは耐えられまい……」
「馬鹿め、俺はこの状態になるのを待っていた!」
「何!?」
「俺は別に力自慢じゃないが、お前には勝てる」
「ふん、強がりを」
「強がりじゃないさ」
「そうか?徐々にお前の剣は下がってるぞ?」
「ああ、そうだ下がっている。だがな、
勝利の瞬間ほど油断するものはないんだぜ?」
「っまさか!」
突然左胸に突き刺さる激痛!
背後から一刺しされたらしい
先ほどまで視界に入っていた女兵士は見当たらない
なぜならギュウニーク王子の後ろにいたからだ
「やりましたよ勇者様!」
「貴っ様ぁ……!!」
『勝利の瞬間ほど油断するものはない』
ギュウニーク王子は最後の力を振り絞るようにがんもを殴り飛ばした!
がんもは壁に打ち付けられた!
「……っぁ」
「ふははっ、貴様らの勝ちだ。
私はもうすぐ死ぬだろう……」
ズシンッと巨漢が倒れる
しかしそんなところじゃない
「がんも!大丈夫か!!」
俺は急いでがんものそばに行った
「……っうぁ」
これはやばい
まともに話せない状態か
骨が何本か逝ってる可能性が高い
「勇者!たまご姫を見つけたぞ!」
「勇者よ!無事か!?」
安否を確認するぐらいなら逃げるなよ
「俺は無事だががんもがやばい!!」
「何!?
それなら早くおでん大国に戻るぞ!!」
「待て!兵士長!!
治療ならここでも受けられるだろう?
ならこちらでやったほうが安全だ!」
「俺としては敵国の治療施設に信頼はないね!
俺はおでん大国に帰国する!!」
俺はがんもを背負い、バサシに乗り、バサシを飛ばした
「待て!私たちを置いていくな!」
「さっさと追うぞ兵士長!」
---
「……ぁ様、
……ぁしはもうダメだと思います……」
「喋るな!傷口が開くだろうが!!」
「……ぁが国でもなぉせなぃと……」
「だから黙ってろって!!」
「勇者よ!何か考えがあるのか!?」
「ああ、あるとも。
なければこんな行動しねえよ!!」
「その考えはなんなんだ勇者!?」
「今は説明する時間すら惜しいよ!!
だからさっさと移動だけに集中しろ!!」
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「おし、おでん大国に到着だ!」
俺はバサシを乗り捨て、走って行った
「待て勇者!
くっ、すまんがバサシを頼む!」
「わかった!さっさと行って来い!」
『うおぉぉぉ姫様の帰還だぁぁぁぁぁ!!』
『姫様ー!!』『たまご姫ー!!』
住人達は姫が返ってきたことで大喜び
しかし今は切羽詰まってるんだ
俺は急いで王のところに行った
「よくぞ使命を果たしてくれた!勇者よ!」
「んな御託はどうでもいい!
さっさと報酬を準備してもらおうか!」
「あ、ああ、だいこん大臣早く聞いてやれ」
「勇者よ、何がお望みだ?」
「俺とこいつを俺の元の世界に返してくれ」
「……それでいいのか?」
「いいからとっとと元の世界に戻しやがれ!
早くしないと死んでしまうんだよ!!」
「いや、この国にも治療する場所はあるし、なんなら最大の……」
「戦争中の医療機関なんてろくな物がないわ!!
引き留めようとするな!さっさと送り返せ!!」
「そ、そうか。それでは……」
バァァァァ!!
足元に召喚陣が現れる
俺は躊躇なく飛び込んだ!!
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「うぉっ!?あいつの上すごくね?」
「すげぇな、カラスが旋回してるぞ」
「って背負ってんの何?」
「彼女じゃないのか?」
「よく見てみろよ、かなりの重傷みたいだぜ」
どうやら元の世界に戻ったようだ
とにかく病院だ!病院!!
俺は病院に向かって走って行った
-1日後-
肉は奇跡的に腐ってなかった
-3ヶ月後-
「まさか勇者様に助けてもらえるとは思いませんでした」
「いや、なんだか無我夢中で……」
「ふふっ、ありがとうございます」
がんもはなんとか完治した
3ヶ月で治ってよかった
「勇者様、結婚しませんか?」
Why!?何言いだすのこの子!?
「私はこちらの世界のことを知らないんです。
いろいろと教えてもらわないと困っちゃうじゃないですか」
まぁ、そうか
無理やり引き連れてしまったのは俺なんだし
「わかった、結婚しよう」
「えっ」
突然がんもが驚いたように声を上げる
えっジョークだったの?冗談とかだったの?
「あ、え、」
かなり口をパクパクしている
言葉が見つからないのか?顔がどんどん赤くなってるように見えるけど
「大丈夫か?」
「だっだいじょうでつ!
気にしないでください」
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まさか勇者様がすぐに答えるとは思っていませんでした
ほんのちょっとイタズラ心で言っただけなのに
真剣に考えてくださるなんて……
確かにここの世界のことを知りたいという気持ちもありましたけど
本当は勇者様が好きなので一緒にいたいという気持ちが本命です
「ところで今日のご飯は何ですか?」
「すき焼き」
『感想』『疑問』『指摘』
なんでも受け付けます