コイ日記

作者：風紙文

◯月×日

今日から、日記を書くことにした

というのも、今日、私に恋人が出来たからだ

告白はこちらからで、彼も好意を持っていた。両想いの良いカップルの誕生だ

なのでこの日から、記念と記憶として書くことにした

◯月△日

今日、初めてのデートをした

何てことない、近くのショッピングモールを一緒に回っただけ

だけど隣にいる人が違うだけで、こうも見える景色や気持ちが変わるとは思わなかった

◯月◇日

この日、私は彼に伝えておいた

ちょっと遠くへ行くので、しばらく会えない。と

彼は分かったと頷いてくれた

早く、目的を達成しようと再確認した

□月●日

次に彼と会ったのは、病院の一室だった

長期の入院になる。学校へもしばらく行けない

それを聞いても彼は、嫌な顔せず頷いてくれた

うん、彼を選んで良かった

□月▲日

彼は学校帰りに毎日お見舞いへ来てくれた

行けない学校での話を毎日しに来てくれた

今日も強い雨が降りしきる中、彼はやって来てくれた

しばらく行っていない学校の話はどれも楽しくて

笑うと彼も揃って笑ってくれた

だから、本当に申し訳けない気分が浮かんでくる

◆月◯日

彼がここへ来るようになってから、随分の時間が過ぎたらしい。日記を読み返して改めて思った

彼は部活のある日以外は毎日のように来てくれた

具合を聞いてきて、プリントを持ってきてくれて、今日あった出来事を話して、そして帰る。その繰り返し

……そろそろ、切り出す時なのかもしれない

◆月●日

一向に良くなる気配は無い。いつ治るかも分からない。もしかしたら、ずっとこのままということだってあり得る

こんな状態だけど、愛してくれますか？

彼は、もちろんだ。大きな決意と共に、言ってくれた

ありがとう

病人の　を愛してくれて

ありがとう

こんな　を、愛してくれて

本当に、ありがとう

そして…………ごめんなさい

……この最後のページ。誰にも読まれることはないから、ここに書いておく

彼は今日も、病室に訪れて、具合を聞いて、お話しを……している

私の…………妹と

双子の妹は生まれつき身体が弱く。同じ高校に上がることはなかった

それからずっと、ここで入院している

ちゃんとした高校生活、とまではいかなくても

せめて、恋だけでもさせてあげたい

入試の時に見たという彼を探し当てて、姿が瓜二つの私が告白する

しばらくしたら、弱った私のような妹に合わせて

そこからは、彼と妹が、恋人どうしで過ごしている

でも、もしもあの時の質問を断られていたら

今頃、どうしていただろうか……

彼には悪いと思っている

けど、上手く行った

妹に恋をさせる為、私が故意に行った作戦は、成功したのだ

少女が少年との恋の日記にして、少女が少年に企んだ故意を書いた日記でもあったのでした。

旅人のような言葉遊びを、現実風に書いてみました。楽しんでいただけたでしょうか？

そして、コイをした彼女を、アナタなら、どう思いますか？

それでは、