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木のこと
木が折れそうな体を支え
あの時、その身に降りてきたものを
太陽の熱へと
大空の風へと
必死に押し上げようとしている
鳥は枝のしなやかな力を受けて
優しい羽ばたきを空に返した
木もまた望んでいる
空に溶け込むものへ
自らの生そのものを捧げることを
その身の傷から木は
人の残酷さを知るだろう
風の一粒一粒から
人の不器用な苦しみを知るだろう
陽の一筋一筋から
人の求める純粋な愛を知るだろう
木は理解する
自らの命を形にした力が
人に使われ
人に返り
ついには人に受け入れられることを
木は姿を変えていく
どの母よりも、どの父よりも古く
木を見つめてきた力によって
木は大きくなる
人の熱、人の息、人の思いが
木の命を震わせる