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木漏れ日
光の海が音もなく
ゆっくり揺れる木陰で
生命を繋ぐ見えない光は
激しく脈打ち
そんなにも
出会いを待っている
小鳥の声を聞いて
頭上の潮騒が答える
この地上の小さな行為と
光を生みだす大きな意志は
共に歩んでいるのだと
だから木の葉と光の
新しい音楽に耳を傾けぬ者がいても
嘆かなくてよい
世界とは秘密そのものなのだ
扉すら見えはしないのだ
このまばゆいほどの光の海に
気付かない者でも
その肉体のなかには同じように
脈動している熱がある
燃える血の流れがある
少しだけ
少しだけでよいのだ
首を動かしてわずかに見上げれば
空からの陽の光とは思えぬ
内からあふれる歓びを感じるだろう
導きと志向によって出会い
同じ光を見る者が
今、遠くからやってくる
歳月が、限りない歳月が
この出会いの環を広げていく