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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

"灵魂之乡(前編)"

掲載日:2026/02/25

僕たちの祖国である天界の政情が不安定な事は、瞭然だった


この悪魔との国境帯にさえ、天からは連日、メギドの炎が降り注いで居る

それ自体の被害も甚大なものだったが、炎の蓄積で、僕たちは日に日に住む場所を喪い始めて居た


常ならば天界から理由を説明する使者が来る筈だったが、今回はそれすらが無い

生存者の中には、「神は我らを見捨てた」と考える者も増え始めて居た



当然のごとく

生存者の最終避難地であるこの洞窟には、悪魔も押し寄せた


最初の頃は武力衝突も多かったが、いつの頃からか戦闘は無くなった

生存者が、両陣営ともに傷病者だけになってしまった為だ

気が付けば、照明に燃やす松明すらが贅沢品になり、今ではこの洞窟は、傷病者の息遣い以外にはあらゆる物が喪失されたかに思えた




悪魔達の食事は、身分に相応しく最低の衛生環境だった


近頃は、この暗闇でも多少は眼が視える

鍋を覗き込むと、中には皮を剥がれた洞窟鼠が幾つも浮かんで居て、僕は吐かない様にするので精一杯だった



「また来たのか」


悪魔側の生存者代表である少年が、うんざりしたように僕を視る


「僕だって」


「こんな『鼠食べ』共のアジトなんか、好きで来てるんじゃない」


僕もうんざりと答える

こんな狂った怪物と口など本当は聞きたくないが、最早、事ここに至っては、天使だ悪魔だと言っていられる状況では無いと、僕は感じ始めて居た



「お前は」


悪魔が言い返す


「俺達が、好きでこんなもん食ってると思ってんのか」


「この『草食べ』共が」


確かに僕達も、生きるために洞窟のヘンな植物を食べて居る

そんなに違いは無いのかも知れなかった



「…………済まない、言い過ぎた」


仲間が着いてきて居ない事を確認した上で、頭を下げて謝罪する


別に言い過ぎたとは思って居ないが、争いが不毛な事は、ここ数日でかなり具体的に明らかになって居る

実際に発生した戦闘行為で、死傷者が両陣営に相当数出たためだ


「医薬品の交換について、相談が有って来た」


話を逸らす意味も兼ねて、本題に入る

相手方にとっても差し迫った課題であったらしく、意図の通りに会話は進むかに思えた



悪魔達が怯えたように一斉に、洞窟の入口に眼を向ける


視覚に頼れない洞窟暮らしのせいか、僕にも聞こえて居た

洞窟の外から少なくとも二名の、鎧を来た何者かが近付いて来て居た

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